歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」

十月大歌舞伎(夜の部)

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    目 次

1. 出し物
2. 配 役
3. 夜の部・話題と見どころ
4. 歌舞伎評

5. 感 想

1. 出し物(仮名手本忠臣蔵通し狂言の内、夜の部)

五段目  山崎街道鉄砲渡しの場
        同   二つ玉の場
六段目  与市兵衛内勘平腹切の場
七段目  祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
       同 奥庭泉水の場
       同 炭部屋本懐の場


2. 配 役
■五・六段目
早 野 勘 平  勘 九 郎
千崎 弥五郎   橋 之 助
斧 定 九 郎  信 二 郎
母 お か や  上村吉弥
一文字屋お才  東 蔵
不破数右衛門  我 當
女 房 お 軽  玉 三 郎
■七段目
大星由良之助  吉右衛門
遊 女 お 軽  玉 三 郎
大 星 力 弥  扇   雀
赤 垣 源 蔵  秀   調
矢間重太郎    十   蔵
富森助右衛門  右 之 助
鷺 坂 伴 内  坂東吉弥
斧 九 太 夫  芦   燕
寺岡平右衛門  団 十 郎
■十一段目
大星由良之助  吉右衛門
大 星 力 弥  扇   雀
竹森喜多八    亀   鶴
小林 平八郎   歌   昇

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3. 話題と見どころ(夜の部)
五段目
 狩人となった勘平(勘九郎)は、山崎街道でかつての同志千崎弥五郎(橋之助)と出逢い、名誉挽回のために仇討資金の調達を約束します。一方、お軽の父の与市兵衛は、その資金をお軽(玉三郎)を祇園に売ることで得ようとし、その前金五十両を手にしますが、斧定九郎(信二郎)に襲われて、金と命を奪われます。勘平は、その定九郎を猪と間違えて銃殺。懐の五十両を着服します。

六段目
 お軽を連れに来た祇園の一文字屋お才(東蔵)の話から、勘平は自分が与市兵衛を殺したものと早合点。お軽を送り出した後、姑や来訪した千崎と不破数右衛門(我堂)の詰問にあい、思いあまって切腹します。その直後に疑いが晴れ、仇討ちの連判状に名を連ねることを許された勘平は、安堵して息を引き取ります。

七段目
 世間の目を欺くために、祇園で遊興にふける由良之助(吉右衛門)のもとに、息子の力弥(扇雀)が顔世御前からの密書を届けます。その内容を、遊女となったお軽に見られた由良之助は、身請けと称してお軽を殺そうとしますが、それを悟ったお軽の兄の寺岡平右衛門(団十郎)は、自分が代わってお軽を手にかけ、その手柄で仇討ちに加わろうとします。事情を知った由良之助はそれを許し、お軽には生きながらえて供養をするよう諭します。

十一段目
 討入りのときを迎えた志士たちは、高家の炭部屋に隠れた師直を追い詰め、ついに本懐を遂げます。
 (出典 歌舞伎座発行のパンフレット)

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4. 歌舞伎評
10月大歌舞伎
歌舞伎 歌舞伎座
通し狂言 「仮名手本忠臣蔵」

充実の配役、一級品の勘平

 討ち入りから三百年とあって、仮名手本忠臣蔵が歌舞伎座と国立劇場で上演される。
まず歌舞伎座。充実した配役だ。
 大序。雁治郎(判官)、吉右衛門(師直)、勘九郎(若狭之助)の見えが立派。吉右衛門が好色と意地の悪さをたっぷりと作る。
 三段目は進物と刃傷の場。吉弥の伴内が必見。上方和室の味がユーモラスに生きる。吉右衛門は微妙な音遣いのせりふまわしを聞かせる。ただ刀を差し出す息がはずれた。判官が制止されるけんか場は、形はあるがエネルギー弱し。
 四段目は判官切腹と、城明け渡しの場。雁治郎の品位と憂いが、切腹を浄化する。顔世の魁春には、自分のせいで夫を死なせた悲しみが深い。由良之助の団十郎は、せりふも息が詰んでいる。城の前で、主君の血をなめて復讐(ふくしゅう)を誓う場面は心が震える。石堂の富十郎が、腹に落としたせりふまわしで情味を出す。九太夫の芦燕に老獪(ろうかい)さはあるが、時代味が欲しい。
 「道行」は勘九郎の勘平と福助のおかる。陰惨な四段目のあとだけに2人の美しさが際だつ。翫雀の精進が好ましい。
 五段目は山崎街道鉄砲渡しと二つ玉の場。信二郎の定九郎は、もう少し突っ込んだはうがいい。
 六段目は勘平切腹の場。勘九郎は手順の美と言われる音羽屋型に添い、一級品の勘平を見せる。勘平との別れに抱き合う玉三郎のおかるの背中が悲しい。吉弥の母おかやも着実。
 七段目一力茶屋は、吉右衛門の由良之助。遊び感覚は弱いが、押し出し、せりふとも申し分がない。玉三郎は兄の平右衛門(団十郎)とのやりとりが面白い。団十郎も派手に作った。
 十一段日の討ち入りは短いのがいい。       (編集委員・山本健一)   25日まで。
(出典 朝日新聞 2002.10.19 夕刊)

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4. 感 想
 仮名手本忠臣蔵は前に都民劇場に入っていたときに見たような気がします。やはり良くできた芝居だと思います。勘平、お軽の話はいつ見ても悲しい。一力茶屋の場も緊張があり、静と動とが程良く混じり合っています。
 役者はすっかり代替わりしましたが、見慣れると良い役者が育っているという感じです。
 家内も年に二回ほど歌舞伎を見、しかもイヤホンガイドがあるので、少しずつ好きになっているようです。

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[Last Updated 10/31/2002]