カラヴァッジョ


果物かごを持つ少年

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            目 次

1. 光と影の巨匠−バロック絵画の先駆者たち
2. バロック絵画の系譜紹介−カラヴァッジョを原点に

1. 光と影の巨匠−バロック絵画の先駆者たち
 カラヴァッジョは1571年、ミラノの有力者スフォルツァに仕える父フェルモ・メリージと、母ルチア・アラトーリの子として誕生し、ミケランジェロ・メリージと名付けられました。"カラヴァッジョ"は、後年故郷に因んで名乗った通称です。徒弟時代をミラノで過ごしたカラヴァッジョは、当時世界の文化の中心地となりつつあったローマへと旅立ち、ここで創作意欲の赴くままに制作を始めました。自らの意志に忠実であったカラヴァッジョは、制作の依頼に対しても世俗的な要素を採り入れた独自の解釈で取り組んだため、時にはこれらの作品が伝統や品位を欠いているという理由によって、依頼主から受け取りを拒否されることもありました。カラヴァッジョにはこのようなエピソードが数多く残されています。
 カラヴァッジョが画面の細部に至るまで徹底的に追及したリアリズムは、誰もが容易に想像し得る同時代の風俗を加味した場面設定とあいまって、画面の登場人物たちに生き生きとした存在感を与えています。また、光と影を劇的に使ったユニークな明暗法(キアロスクーロ)は、想像力を通して鑑賞者の内面に訴えかける画期的な手法として、伝統や慣習にとらわれない新しい絵画の創出へとつながりました。人々に感銘と同時に困惑をも与えたカラヴァッジョの斬新な画風は、当時の社会に多大な影響力を持っていたカトリック教会の宗教施策とも合致し、やがてその才能を評価した有力な枢機卿らをパトロンに得たことによって、彼は一躍その存在をローマ中に知らしめることとなりました。
 華々しい活躍の一方で、その特異な性格が災いして度重なる喧嘩沙汰を起こし、ついには殺人を犯してしまったカラヴァッジョは、ナポリ、マルタ、シチリアとその後の人生の大半を逃亡生活で過ごし、1610年謎と波瀾に満ちた生涯を閉じたと伝えられています。カラヴァッジョが残した作品とスタイルは、グラマティカ、ジェンティレスキ、サラチェーニ、カラッチョロといったローマやナポリ周辺の画家たちばかりではなく、特にマンフレーディを介してヴーエ、バビューレンなど北方の画家にまで影響を与え、"カラヴァッジェスキ"と呼ばれる追随者たちを生みだしました。西洋美術史上に革新をもたらしたカラヴァッジョの深い精神性は、ルーベンスやベラスケス、レンブラントら17世紀の画家たちにも受け継がれ、バロック絵画として新たな展開を迎えることとなるのです。

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 本展では、カラヴァッジョの生誕430年と「日本におけるイタリア2001年」の開催を記念して、代表作《果物かごを持つ少年》(上部に掲載)ほか、日本初公開となるカラヴァッジョとその追随者たちの作品38点により、バロック絵画誕生の頃をご紹介いたします。
東京都庭園美術館 〒108-0071東京都港区白金台5-21-9
テレホンサービス:03-3443-8500 ホームページ: http://www.teien-art-museum.ne.jp/
交通:JR山手線、東急目黒線目黒駅(東口)より徒歩7分  都営三田線、営団南北線白金台駅(1番出口)より徒歩6分
 (出典 同美術館発行のパンフレット)

2 バロック絵画の系譜紹介−カラヴァッジョを原点に
 カラヴァッジョ(1571-1610年)は、イタリア・バロックの代表的な画家。画面の細部まで徹底的にリアリズムを追求したが、その写実性ゆえに「品位に欠ける」と非難されることもあった。光と影を劇的に使った明暗法と写実性は、グラマティカをはじめヨーロッパ各地の画家に多大な影響を与え、「カラヴァッジェスキ」と呼ばれる多くの追随者を生んだ。深い精神性は、ルーベンス、レンブラントら17世紀の画家にも受け継がれた。
 そのカラヴァッジョに焦点をあてた「カラヴァッジョ 光と影の匠-バロック絵画の先駆者たち」展が12月16日まで東京・目黒の東京都庭園美術館(03・3443・8500)で開催中だ。代表作「果物かごを持つ少年」や「執筆する聖ヒエロニムス」など、カラヴァッジョとその追随者たちの38作品を展示している。一般・大学生1200円。
 (出典 日経新聞 2001.10.22 夕刊)

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[Last Updated 10/31/ 2001]