守り人シリーズ



『神の守り人 帰還・来訪編』は、シルクロードのオアシス都市が舞台のようだったが、シリーズ第1作の『精霊の守り人』は、まるで京都が舞台のように思えた。女用心棒バルサが第二王子のチャグムを守る話で、脇役もでそろう。

『闇の守り人』は、バルサが生まれ故郷のカンバルに帰る話。彼女がなぜ国を出なくてはならなかったのかが詳しく語られる。

『夢の守り人』は、カンバル国からの帰途、バルサが歌語りの旅芸人を助ける話。ここでは呪術師トロガイの人生も語られる。この3部作で、いちおう完結しているようだ。

『虚空の旅人』ではバルサが出こないので、いわば外伝。新ヨゴ皇国の皇太子となったチャグムが、新王即位の儀式に招かれてサンガル王国へ出かけていく話。サンガルは、王族の女たちが支配する国。似たような話に、フランス映画「女だけの都」(1935)がある。

『蒼路の旅人』は、『虚空の旅人』の続編。外伝もサブシリーズ化してしまった。サンガルを助けるために派遣されたチャグムは、タルシュ帝国の密偵に捕らわれてしまう。長い航海をするうちに、海での泳ぎを覚え、船の仕事にも慣れていく。そしてタルシュ帝国で見たものとは…。

『天と地の守り人』はシリーズ完結編で、3冊もある。それでも外伝のストーリーもふまえているので、広げた風呂敷を閉じるのにはぎりぎりの分量。ラストまでぐいぐい引っぱっていく作者の力には感服した。

シリーズの1作目がアニメになったおかげで、物語の中でバルサは安藤麻吹の声でしゃべっている。再読する楽しみが増えた。

(2007-10-16)