の・ようなもの



 上橋菜穂子『神の守り人』は、既視感のある本だ。扉にある地図をみたとき、マンガ版の『風の谷のナウシカ』を連想した。それもそのはず、絵を担当している二木真希子は、スタジオジブリで原画を描いている人だったのだ。さらに中心部分をよく見ると、そこはアフガニスタンとパキスタンの国境のように見えた。

 さて作品のほうは、来訪編と帰還編の2冊にわかれる。キャラバンや隊商宿も出てくるし、オアシス都市へ潜入したり、短槍を振り回す立ち回りありで、たっぷり楽しめる。児童向けのファンタジーと位置づけられているが、むしろ大人向けの作品だと思う。主役の女用心棒バルサは30歳を過ぎているし、彼女の葛藤は子どもでは理解しにくいだろう。

 本書は、「守り人」シリーズの最新刊。これを読むと第1作から全巻読破したくなる。ファンタジーなどとバカにしている人は、絶対に手にしてはいけません。うっかり読んで上橋ワールドに落ち込んでも、当方はいっさい関知いたしません。

(2003-07-27)