マンガ評論は読んでも不満が残るマンガを読む合間に、マンガ評論をまとめて読んだ。 『B級学』では、内田春菊、望月峯太郎、横山光輝、唐沢なをきの4人について詳しく論考している。しかし第1章の東大講演を含めて、少し冗長すぎる。あまり熱く語ることで、何も印象に残らなくなってしまう。著者は、1年ちょっと前にマンガ評論ブームであったというが、そんなブームは本当にあったのだろうか。私は知らない。 『漫画鏡』は、朝日の記者がいろんな人にインタビューして記事にまとめたもの。しかしこれは長い話を余りにも短くまとめたせいか、物足りないできになっている。インタビュー相手の人選にも、疑問あり。これが朝日の限界か。私がデスクならかなりの記事をボツにしただろう。それでも著者が書いた架空対談はおもしろい。 『マンガの力』は、他の2冊よりも読んで安心感がある。やはり評論はこの水準を保ってほしい。「漫金超」に発表された「田辺のつる」の作者高野文子、いしかわじゅんの評論集『漫画の時間』、山岸涼子の『日出処の天子』、美内すずえの『ガラスの仮面』などを高く評価していて、私の好みとひどく似ている。それでも単行本を書く以上、なぜ書き下ろしにしないのか。大いに不満である。 あちこちに書き散らした小論をまとめて本を作るという安易な出版は、もうやめたほうがいい。そういうものはインターネットで公開してほしい。それに索引くらいつけるのは、これからは常識にしたいものだ。索引のない本を買わなことにしよう。そうすればきっと出版社も考えるにちがいない。
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