2004年6月27日 2004サロマ湖100kウルトラマラソン     T.K

Page1 Page2 Page3 Page4 Page5

第4章 爽やかな幕開け
スタートラインをゆっくりと超え、100kmの道のりへ足を踏出すと、自分が走ることによって起こる風
がとても爽やかに感じた。ペースは6分/km程度。左右に広がる牧草地や広大な畑の中を進んで
行く。時折、堆肥の臭いも漂うが、まあこれもサロマのひとつの演出? 気温はまだ朝早いという事
もあって暑いというところまでは至らない。ペースも抑えているので、気持良く走れていた。
今回からコースが一部変更になり、5kmで一度スタート地点へ戻ってくる。スタート地点には参加者
の知人が数多く詰めかけていて、再出発?していくランナーに大きな声援が飛び交っていた。
K枝もこの応援者のうちの1人だったが、私が通過した時はよそ見をしていて、こちらは気づいたが、
私の存在には気づいて貰えなかったようだ。サムズの他のランナー達は、でんでんむしさんが、私
のやや前方に見え隠れしていたがR555さんやケソさん、カープさんはこの時点では見つけられず…
各々、違うドラマへ向って走り出していたようだったが・・・

第5章 再会
5km地点を過ぎるとまたまた、牧草地&広大な畑の中を走る1本道が舞台となる。途中の緩やかな
上り坂では、坂の頂上付近からランナーが空の中に吸いこまれていってるようにも見えた。空は、
快晴では無いが雲は薄く、太陽の光が強く差し込んでいた。『爽やかな気温はいつまで続くかな?』
なんて事を考えていたら、応援バスの第一ポイントに到着。ここではK枝にも気づいてもらえた。この
応援ポイントを超えると林とサロマ湖に挟まれた道へと変化して行く。このあたりで、でんでんむしさん、
カープさんを前方に発見。さらにR555さんが横に並んできた。スタートから1時間以上経過した時点で、
仲間が4名も揃うなんてことは珍しい。最初からグループで行く事にしていたら、難しくも何とも無いの
だが、100kmの距離を走るとなると、他人のペースに合わせて走るというのはなかなか困難だし、
リスクもある。自分のペースを守って走る。これが一番大事な事だと思うのだが、この時点で4名が揃
ったと言うことはここまでのコンディションが偶然一致したと言うことか??? この隊列は竜宮台の手前
付近まで続いた。途中巨人軍団の親分さんとカープさんが肩を並べる一方で、ヤクルトのユニフォーム
を着た選手が折り返してきたりして、セ・リーグのペナントレースを思わせる場面もあった。(スタート前には
阪神の格好をした人もいた。)また毎年庭先で太鼓を叩いて応援してくれる親子も今年も健在。サロマ
湖もホノルル同様、自分にとって”行く場所”ではなく”帰る場所”となるつつあるような… 
まだこのあたりでは体力的にも余裕があり、仲間達とのランニングを楽しんでいた。ちなみに10kmの
通過タイムは、1:03:28(スタートのロスが約2分)、ほぼ6分/kmで入っていたようだ。

第6章 それぞれの道へ −竜宮台折り返し
竜宮台では今年もサロマ湖太鼓を叩く子供達がランナーに勇気を送っていた。隊列の前方を行くでん
でんむしさんが、サロマ湖太鼓のテントの先からトイレへ向ってコースアウトしたのが見えた。私はR555
さんが毎年入っているというトイレで第1弾を決行する予定だったので、でんでんむしさんが向ったトイレ
はパスして先へ進んだ。このポイントが切っ掛けとなり、隊列は崩れ始めた。隣を走っていたR555さんに
『トイレ行ってきまーす!』と声を掛けると『私もー』ということで、揃ってコースアウト。コースに戻るのは
私のほうが早かった模様で隊列は完全に崩れ、別々のサロマ湖100kmへ踏出して行く事になった。
私自身は、トイレストップの前にちょっと気になる兆候が現れ始めていた。それは道路の傾斜(左下がり)
のせいで、右足首内側(くるぶしの上付近)に違和感が起き始めていたのだ。これはトレーニング中にも
頻繁に起きていた現象で、10kmを過ぎると発生するが40km過ぎても走れなくなるような状態にはなら
ないのでそれ程心配はしていなかったが、やはり100kmとなると多少不安はあった。そこで走路を歩道
の上に取り、出きるだけ平坦で傾斜の無いコース取りを心がけた。竜宮台の折り返しからしばらくすると
20km関門が現れる。通過タイムは2:04:32(10km→20km 1:01:04)。トイレタイムがあったので、
ほぼ6分/kmといったところか。ここまでのペースは順調だったが、早くも左足の後ろ側に軽い張りが発生
していた。でんでんむしさんが並んできたのは25km手前だったか? 私が『早くも張りが出てきましたよ』
と話しかけると『マジですか?暑さのせいですかね?』との応えが…でんでんむしさんはまだ好調なよう
だった。サロマ湖100kmウルトラマラソンは早くも参加者全員に別々のシナリオを書き始めているようだっ
た。そして『暑さのせいですかね?』という言葉を聞き、やっぱり暑くなってくるんだと言うことを再認識し、
首に巻いたクールネックを水に浸し、ポーチに装着していたボトルに水を注いだ。

第7章 ショック!? −スペシャルドリンクが・・・−
コースは再び牧草地&広大な畑という単調な景色に差しかかっていた。左側には折り返してきたランナー
が豆粒のように小さく見えるが、誰だか認識できるほどの大きさではない。応援の方も道路の交差点
付近に時折現れるだけで、静かな雰囲気が漂っている。25kmを過ぎるとランナーもまばらになりつつある。
調子が良ければ(不安が無ければ)割りとあっけなく走り去ってしまう場所なのかもしれないが、私自身
は苦労していた。軽い張りだった左足が明らかな張りに変わってきつつあったのだ。また右足の違和感
も徐々に増幅していた。天気も良い、風も爽やか、気温もそんなに暑いというほどの実感は無い。気分
良く走れる条件は揃っているのだが、自分自身の具合があまり宜しくない。そんなに悪い訳では無いの
だが、この先の距離を考えると不安が先に立ってしまう。(ある意味、自分で自分の首を締めてると言え
なくも無い。) そんな状況でさらにショックな事が… 30km地点にスペシャルボトル(フルーツミックスジュースの
ペットボトルに塩の入った小袋を貼りつけていた。)を預けていたのだが、見つからないままに通りすぎてし
まったのだ。もう一度戻って探せば良いのに、そんな機転が働かず、エイドを去ってしまった。後半の塩分
不足に備えて早めの塩分補給を図ろうと思い、塩を貼りつけていたのだが、それを取りそこなってしまった。
塩を補給できなかったという思いよりも、やろうとしていた事ができなかったという気持が強い。この思い
は取りそこなった瞬間ではなく、時間が経つにつれ徐々に後悔となって増していく事になった。
30kmの通過タイムは、3:05:26(20km→30km 1:00:54)。ペースは決して悪くない。でも何か波に乗れ
ない感じがしていた。

第8章 虫が・・・ −田舎道からオホーツク国道へ−
30kmの関門を過ぎると2度、左折をして、進んできた道とは別の道を折りかえしていく事になる。ちなみに
景色はずっと一緒。ここでちょっとしたアクシデントが発生した。牧場の横を通過した時、口で息をした瞬間に
虫が口の中に入りこんだのだ。これが口で止まらず勢い良く気管支の方まで飛びこんでしまった為、大きく
咳き込んでしまった。『ひょっとして肺まで???』、そんな心配もしたが、暫らくすると咳も落着いたので事無き
を得たが、あの虫は何処へ??? ちなみに虫が肺まで入ってしまったらどうなるんだろう?なんて心配もして
いた。まぁそんな事もあったが、足の張りや足首の違和感は長く走り続けていると慢性化してきて、慣れ
のような感じになり、気にはならなくなってきた。というよりも他に意識すべき事が現れたと言ったほうが正
しいかもしれない。それは暑さだった。この時点で午前8時30分頃。太陽が高くなるにつれ、徐々に暑さを
感じるようになってきたのだ。それを感じたのは、牧草&畑の道を右に曲がり、国道へと向う道の途中だった。
それまで前後左右遮る物が何も無く風が気持ちよく吹き抜けていたのが、左側に林が現れ、風を感じる事
が出来なくなった時、強い暑さを感じた。こうなると水分補給や身体への掛水を行って体温を外から冷す事
など注意しなければ行けない事が増えてきて、少々の痛みや張りなんかには構っていられなくなる。
走る以外にすべき事が増えると、エイドでのロスタイムが増えて来る。でもそこをケチってしまい脱水症状や
熱中症を起こしてしまえば、完走すら危うくなる。”あくまでも完走”この言葉を思い出し、用心深く進む事に
した。コースはオホーツク国道へと移った。ここから先は路肩部分を1列もしくは2列程度で走らないといけ
ない。景色に変化は現れるし、高低差も出現するので、これまでのように飽きる事はなくなってくるのだが、
なにぶん路肩ということで、走りごこちは余り良くない。そしてこの日早くも2度目のトイレタイムを取った。
『量は少ないが、まだでそうな気がする』というあまり好ましくない症状が発生した。小田原から自宅までの
マラニックを行ったときにもたまに起きた症状だが、脱水気味の時に起こる。水分の摂取量が早くも足りなく
なっているようだった。対処方法は、ペースを落として水分の補給をしっかりと行うこと。これしかない。
残尿感があるからといって、水分補給を控えていると、重度の脱水症状に陥ってしまうので気をつけ無け
ればいけない。実際トレーニングの時に一度、過ちを起こして丸1日残尿感に苦しめられた時があった。
トレーニングは40km程度だからそれで済んだが、100kmとなったら倒れてしまうかもしれない。ちょっと恥ず
かしい事だがこれって意外と重要な気がする。オホーツク国道に出て坂を2度ほど上り下りすると40km関門
が現れる。通過タイムは4:10:09(30km→40km 1:04:43) ペースを抑える為に、抜かない人を決めた。
それにうってつけなのは、青いゼッケン(サロマンブルーメンバー)だった。サロマを10度以上も完走している
鉄人の後ろに付いて、少々遅いと感じても我慢する。この走り方を始めたら若干、余裕が出てきたような気が
した。大きな牧場にたくさんの牛、その前を1列になって走っていくランナー。何頭かの牛は好奇心の目を、
ランナーに向けている。香りはちょっと微妙だが、ほのぼのした景色。ただし虫には気をつけろ!
そんな感じの場所だった。

Page4


戻る