☆特集 : 職場のストレス病●テクノストレス症候群
「テクノストレス症候群」は、ワープロやコンピューターなどが職場に導入されることにより生じてきた心身の病気です。
OA化が進む職場に対応できなかったり、逆に過剰に適応しすぎて疲れがたまりすぎたり、対人関係が煩わしくなってしまうことが心の病気を招きます。
ワープロやコンピューターのVDT( = "Video Display Terminal")作業は、長時間行い続けると、眼精疲労などのいわゆる「VDT症候群」と呼ばれる様々な身体症状が現れることがあります。
このときに休みが取れれば通常は回復しますが、1日休んでも疲労が取れなかったり、精神面にも影響が出るようでしたならテクノストレス症候群が疑われます。
テクノストレス症候群の主な症状 「身体症状」
・眼精疲労や視力低下
・動悸やめまい
・頭痛・肩こり
・首筋や背中の痛み
・吐き気や胃痛「精神症状」
・不安障害(漠然とした不安感や恐怖)
・強迫神経症
・うつ状態・鬱病「行動での症状」
・出社困難症
・過度の飲酒
テクノストレス症候群の主な特徴 @ OA作業に従事
・目が疲れたり、チカチカする
・肩こり、頭痛A 職場に不適応
・OA機器についていけない
・OA機器にのめり込むB 性格的な特色
・プライドが高い
・内向的
・傷つきやすい↓ 不安愁訴や精神症状に
☆@〜Bまでの条件が重なると、テクノストレス症候群にかかりやすくなります。☆
(『NHK きょうの健康』 1996年2月号 より)
テクノストレス症候群の予防と治療
予防や治療のためには、疲れを溜めないように、生活の中でどこにどんな無理があったかを知り、その無理を軽減したり取り除いたりするように努力することが大切です。
たとえば、こまめに休養する、仕事の量を減らす、などです。
勇気をもって配置転換を願い出ることも解決につながる場合があります。
内科的な治療で身体症状が取れなかったり、精神的な症状が現れた時には精神科、心療内科などの専門医にかかるようにしてください。
・VDT作業で疲れを溜めない6箇条
@1時間ごとに10〜15分ずつ休む A目にあった眼鏡やコンタクトレンズをつける B休憩時には遠くを見たり、軽い体操をする C照明に配慮する D1日に6時間の作業が限度 E十分な睡眠をとる
☆出社困難症
「出社困難症」とは、一般に職場のストレスが原因で、自分では「職場に行きづらい、仕事がイヤだ」という気持ちは無いのに、職場に行こうとしても行けなくなる病気です。
主な原因としては次の3つが考えられます。
- 過剰適応
周囲の期待に応えようとして自分の能力以上の仕事を抱え込んだり、仕事を他の人に振れなくなることで起こる。
仕事に生き甲斐を感じていたり、能力に自信がある人が陥りやすく、納期がない仕事が大量にある状況下で起きやすい。
- 過剰反応
職場での自分の評価を気にしすぎる。
ちょっとした注意も、自分が否定されたように感じたり、「仕事ができないヤツ」と思われているのではと疑い深くなる。
- 職種不適応
自分の意にそぐわない職場に配属された人が、職場に幻滅を感じ、将来に希望を感じられなくなる。
出社困難症の対応
出社困難症人は鬱病や退却神経症であるなど、専門家の助力が欠かせない状態なのですが、家族や職場の人は「単なる怠けではないか」と思い、本人の苦しみに気づかないことがあります。
早めに精神科・心療内科などを受診するように勧めると共に、次のような手助けを心がけてください。
- @ゆっくり休ませる
「頑張って」などと励ましたりせず、本人がリラックスできるように配慮しましょう。
- A不安を乗り越えるための手助けをする
電車に乗るのが怖いようでしたなら、一緒に付き添うようにしましょう。
- B悩みを理解する
心の病では、家族が本人の悩みや苦しみを聞き、理解しようとすることが大切。
- C職場側の理解やサポート
職場環境に問題があって起こることが多いのですから、そのことを理解し、十分に休める雰囲気を作るようにしてください。
復帰後には本人とよく話し合い、体制を変える、配置転換をするなどの対策をとるように。
また、本人が仕事を抱え込まないように、「NO」と言いやすいような環境を作るようにしましょう。