彼は突然『あっ!』と叫んだ。そして―という文の、青い字の言葉のような働きをする単語を言う。
「なんと、この前だば迷惑かげでしまって」そう。「何も迷惑だなんて思ってませんよ」「何てことはありませんよ」ということである。
「なもなも」
「今の社会構造でだば何ともさいね」この場合は、前の文に対する反対の意思を表明している。
「なもなも」
「なに、歩って来たなが。車で来るあんでねがった」これも、相手の言ったことを否定する内容。
「なもや。車、パンクしてや」
「どうもこの間はご迷惑をおかけして」「いやいや」こんな具合だ。
「今の社会構造ではどうしようもないね」「いやいや」
「おや、歩いてきたの? 車で来るんじゃなかったっけ?」「いや、車がパンクしちゃって」
なも [1] <名詞> 何も。「わざわざ買い物さ行ったども、なも買わねがった (わざわざ買い物に行ったが、何も買わなかった)」 [2] <間投詞> 否定の意味を示す。いや。「秋田って遠いんですよねぇ」「なも、今だば新幹線ですぐだ (いや、今は新幹線ですぐだ)」という感じか。
「なに、この童だば、遊びに行きてくなもかもねあんだ」と使う。
(なぁに、この子は、遊びに行きたくてどうしようもないんだよ)