もぐら氏の『県民性丸わかり! ご当地あるあるワイド SHOW』に借りた文章、後半。
岩手の「
落ち着き」。
調べてみると気仙沼の風習らしいのだが、結婚披露宴の前に新郎新婦が食べる うどんと餅のことを言うらしい。
もとは、嫁いできた新婦が食うものだったそうだ。由来は諸説あって、遠来からやって来る新婦が空腹だから、宴会の前に腹を落ちつかせる、などの理由。国会図書館の
リファレンス記事や、岩手のイベンターの
記事が見つかる。それが披露宴の前に食べる、という形に変わったのだろう。
マンガでは、満腹でドレスが入らなくなった、というオチに。
今川焼。
「大判焼き」「回転焼き」というのは聞いたことがあるが、茨城の一部では「
おやき」と呼ぶそうな。長野に同名で別のお菓子があるよね。今治には日切焼 (
ひぎりやき) というのがある由。
Wikipedia にいろんな呼び方の一覧がある。「
太鼓焼き」はイメージしやすいね。
山形に「
からかい」という料理があるらしい。
調べてみたら、乾燥させたエイのひれで、それを煮込んだもの。
山形市役所や
観光協会にレシピが書いてある…それ、秋田の「
かすべ」やんけ。
夏の料理。土崎の港まつりは「
かすべ祭り」とも言われる。
秋建時報の
記事では、「
からかい」は悪い商人が「唐の貝」と言って高値で売りつけたから、「
かすべ」は「魚のカス」だから、という説が紹介されているが、どっちも眉唾物という感じがする。特に「唐の貝」の方。
割と好きなので自分で作ろうと思ったことがあるのだが、高いのでやめた。A4 くらいの袋に入ったのが千円近くするんだもの。
「
御樽 (おんたる、おたる)」というのも初めて聞いた。
熊本の習慣らしいのだが、宴会に包むお金。
ただし、包むのは主賓もしくは偉い人。
偉い人はわかる。普通はタダになるであろう主賓がお金を包むのには驚いた。
もともとは本当に樽を差し入れたらしい。
宴会の時に「○○さんから御樽いただきましたー」とかやるそうだ。
まぁ、オフィシャル性が高い会だと、主賓がなんか差し入れる、ってこともあるような気はする。あんまり出たことないからよく知らないけど。
岩手から、学校の廊下を走ってたら「
走って歩ぐな」と怒られた、という話。
「走る」と「歩く」が並んでて奇異に聞こえるが、「歩く」には「うろうろする」と「徒歩で移動する」の二系列がある、ということを
こないだ書いている。これは前者で、この「
走って歩ぐな」は「走り回るな」という意味。
ある女性、彼氏の浮気現場を押さえた。だが、辛い。その気持ちを友人にメールした。
「
この悲しみは太い」
九州の人だということが一発でわかる表現。
「太い」は径のサイズにかかわらず「大きい」ことを指す。たとえば高層ビルなんかも「
太か」と表現される。
この女性の場合も、辛い心を吐露したわけだが、残念ながら「気づかない方言」だった。地域外の人は、申し訳ない、と思いながらも吹き出してしまう。
これで笑ってしまうのは自然なことである。咎めてはならない。違う、ということに気づいたら、笑うなり、不愉快になるなりの心の動きが生じるのは当然だからだ。
笑ってはいけない、というのは思いやりとか友情のレベルの話であって、方言とは直接の関係はない。
以上。
そう言えば、今年はもぐら氏のホームページのマンガ、全然読んでない。どうやら俺は本人が思ってるより忙しいみたいだ。
その辺については、今年最後の文章で総括する予定。
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