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Shuno の方言千夜一夜
第987夜
トラベルジューシー (前)
九州全県を踏破はしたが、これで終わりではない。沖縄に行かなければ、画竜点睛を欠く、というものである。
というわけで、行ってきた。
予約してみてわかったんだが、宮崎−沖縄便って
ソラシドエア
の一往復しかないのね。二、三便あるのかと思ってた。そのせいか行きも帰りもほぼ満席である。
まずは、お迎え。説明不要。
最初に行ったのは
波上宮
。
ここを選んだのに大した理由はない。沖縄に行って海を見ない、って話もないだろうと思って。交通手段は
ゆいレール
に頼るつもりだったから、ゆいレールの駅から歩いて行ける海関連の何か、を探したらここしか見当たらなかった。
*1
きれいな名前だが、もともとは島だった場所にあるそうだ。というか、
Wikipedia
によれば、那覇の町がもともと複数の島からなるらしい。ここは「
なんみんさん
」と呼ばれていた由。
「
まちま〜い
」は、「町歩き」。これは有料の観光ガイドのお知らせ
(二次元バーコードは塗りつぶしてある)
。
次が牧志の
公設市場
。よく観光関係のバラエティ番組になんかでも紹介されるあそこ。一階で買った食材を二階の食堂に持っていくと調理してくれるらしいが、そういう面倒くさいことはしなかった。沖縄そばと中身汁定食を食う。
*2
「
まちぐゎー
」は「市場」のこと。「
まちやぐゎー
」だと個人商店を指すらしい。
この「
コヨヨ
」は方言なのかどうか微妙な感じもする。「来ようよ」の「う」が脱落しただけなのかもしれないし。
二食分食った後、市場外の薬屋に入り、液体の胃腸薬を買う。そこで飲んでいく、と言うと、店のおばちゃんが「
じゃぁ、開けましょうねぇ
」と言う。この言い方は沖縄の人の言葉遣いでテレビやなんかでよく耳にすると思う。帰りに空港で弁当を買った時もおばちゃんが「
はい、四千円お返ししましょうねぇ
」と言っていた。
なお、胃が弱い癖にそんなに食ったのは、沖縄の料理がどれもこれも旨そうだから。一泊二日だから、行儀よく朝昼晩とか言ってると四回しか食えないので、各回頑張っている。この二日で太ったかもしれん。
向かいの古本屋
ウララ
へ。言ってみれば、今回のメインイベントは古本屋巡りである。これも偶然で、行く場所として最初に考えたのはこの公設市場なのだが、位置を確認してたらこの古本屋を見つけて、へぇぇ、と思い、ちょっと調べてみたら、どうやら那覇には個性的な古本屋が何軒もあるらしい、ということがわかった。
ここで、店主の人が書いた『
本屋になりたい この島の本を売る
』と、琉球方言の
本
を一冊購入。
*3
古本屋を探して市場の周囲に密集する商店街を回り、最後は
桜坂劇場
という映画館へ。ここにも古本屋がある。あとカフェも併設されており、いい雰囲気の空間である。
映画を見終わった後、国際通りをかすめて駅に行き、コンビニで豆腐よう
*4
と
ジューシー
のおにぎりを買って宿へ。その日の夜は
オリオンビール
祭り。
「
ジューシー
」は炊き込みご飯のことで「雑炊」と書く。
二日目は
首里城
。
警備会社の人たちもほがらかで「
はいさい
」と迎えてくれる。
ここで、チケットをもぎるお姉さんが「
はいたい
」と言ったので、うれしくなる。
前
にも書いたが、女性形は「
はいたい
」なのだ。
目にする文字は漢字ではあるのだが、どれもこれも俺の知ってる読み方じゃないので、もう楽しくてしょうがない。
問題は、覚えられない、ということ。首里城公園の横に王陵があって、これは「玉殿」と書いて「
たまうどぅん
」と読む。しかし、覚えられないので、後でタクシーに乗った時「どちらへいらしたんですか」と聞かれて、「あー、えーっと、王陵。お墓」としどろもどろになった。
*5
つづく。
*1
これも
Wikipedia
情報だが、那覇の海水浴場はこの横にある波上海水浴場だけらしい。ビーチに行きたかったら遠出する必要がある。
(
↑
)
*2
よく聞く「ソーキそば」は骨付き肉がのったそばで、「沖縄そば」は三枚肉。「中身汁」はモツ煮込みのこと。なお、「
ソーキ
」は「鋤 (すき)」で、あばら骨が鋤に似ていることから。
(
↑
)
*3
この人は、
ジュンク堂
をやめて沖縄に移住、古本屋をやっている。詳しいことはこの本か『
那覇の市場で古本屋 ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々
』に書いてある (と思う)。琉球方言の本と併せて、読んだ後で機会があれば紹介する。
(
↑
)
*4
「よう」は「食恙」という (一) 字。
(
↑
)
*5
これの場合「玉饂飩」とか言ったら怒られるだろうか、とか余計なことを考えたせいもある。
(
↑
)
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