Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第988夜

トラベルジューシー (後)



 沖縄県には鉄道はない。ゆいレールというモノレールがあるだけで、それだって那覇空港から首里までの 12km だけである。
 なのでバスが発達しているのだが、これはルートを把握していない旅行者には使い辛い。というわけでタクシーが便利だ。しかも安い。10 分位走っても 5〜600 円だったりする。
 ゆいレールの首里駅を降りるとタクシーが待ち構えている。歩いて行くつもりだったのだが、運転手の女性が、20 分かかりますよ、と言うのでさすがに気が変わった。実際、首里城公園の入り口までは結構な距離があった。
 ただ、歩いて行く場合、首里城公園の横を通るので、それを横目に楽しむ、というつもりであればさほど苦にはならないのではないか、という気がする。どうせ中に入ったら一時間歩くわけだし。
 帰り、「首里駅へ」と言ったら、運転手が無線で「ステーションご案内です」と言った。あれは何だったんだろう。

 玉殿 (たまうどぅん)で。

 遥拝所があるのもすごいと思ったが、「うちかび」が気になる。右の写真は波上宮のもの。
「打ち紙」と書いて、故人があの世で使うお金で、燃やして祖先へ送るものだそうだ。
「拝み」という言い方も独特だとは思うが。


 ゆいレールの老人向け乗車券。「がんじゅー」は「頑丈」で、元気であること。

 最後にちはや書房という古本屋。「水木しげるに強い」という特異な店なのだが、昔の SF も結構並んでいた。時間がなくて数十分しかいなかったが、もうちょっといたかった。
 沖縄の古本屋は基本、沖縄の歴史に強い。当たり前だろう、と思うかもしれないが、秋田の古本屋はそうとは言えない。これは地元出版社の数とその出版点数の違い、および、県外の出版社が題材にしようと思うかどうかの違いであろう。
 戻ってきてから、日本の古本屋 で宮崎市と秋田市の古本屋を確認してみた。どちらも三軒しかない。那覇市は 12 軒だった。どれも新古書店は含まない。*1
 これって、その町の文化の何かを示してると思うのだがどうか。


 お土産を買った店のレシート。
にふぇーでーびる」というのは「ありがとう」という意味だが、「にへでびーる」というビールも見かけた。全体としてはたぶん、「またキラク花城にいらしてください」だと思うんだが…。


 ちはや書房に行く途中で見つけたカフェ沖縄式という店の古酒カレー。旨い。
 つか、牛肉より豚肉の好きな俺にとっては、沖縄の食はマッチしていると言えるのではないか、と思った。
 手や鼻の乗った丼もあったが、見た目から優先順位は低いにしろ、トライしてみたい。

 夕方の便で宮崎へ。
 アグーを食ってない。
 サーターアンダギーを食ってない。
 泡盛を飲んでない。
 行ってない古本屋がある。
 ジュンク堂のような巨大書店にも沖縄の本はたくさんあるはず。
 ゆいレールで左右に移動しただけである。
 グスクが見たい。
 戦争にかかわるものを何も見ていない (空港の周囲は軍用地だが)。
 というわけで後ろ髪を引かれる思いで飛行機に乗った。
 11 月はピアノの発表会があったり、マイナンバーカードを受け取りに秋田に戻ったり、と忙しい。大観光地である沖縄は 12 月から込み始めるはずである。俺は俺でおそらく年明けからは休みが無くなる、と中々厳しいと思うが、もう一遍行こうと思っている。宮崎から行ければ安くあげられるが、秋田に戻ってから羽田経由でもいい。
 たまった有給を強制行使して、船でゆっくりとかいうのもいいねぇ。


 旅のお供に、と、単行本を持ってるのにわざわざ文庫版を買った坂木司の『ホテルジューシー
 結局、第一章を読んだだけだが、知ってる地名が出てくるとより楽しくなる。
 モデルになったホテルがあるらしいので、そこに行ってみるのもいいなぁ。  



*1
 そのうち現地に行って確認しようと思うが、Google ストリートビューで見た感じでは、宮崎市の古本屋は一軒だけかもしれない。 (
)





"Speak about Speech" のページに戻る
ホームページに戻る

第989夜「がんづぎなびぱんびん (前)」へ

shuno@sam.hi-ho.ne.jp