Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第990夜

がんづぎなびぱんびん (前)



 妄想ニホン料理国内編、10/23 放送分。
 今回は、宮古島と岩手は遠野
 なんか急に沖縄関連が目に入るようになってドキドキする。この番組は元々全国を紹介するやつだからいいが、アニメで取り上げられた時には「え?」と思った。やっぱ、もう一遍、行け、ってことか。宮古島は、宮崎からだと那覇で乗り継ぎ、ということになるようだ。

 それはさておき、宮古島 (みゃーこ) からのお題は「なびぱんびん」。ヒントは以下の通り。
1. 「なび」とは「鍋」のこと
2. 台風の時によく作る料理
3. 子供が大好き
 1. はストレートなヒントだが、2. がキーになるであろう。これをどう解釈するか。

 話は変わるが、ネット界隈では台風と言うとコロッケらしい。
 2ch での「台風が来るので念のためにコロッケ 16 個買ってきた」という書き込みが発端だそうだ。

 字幕が多数出た。那覇出身のゴリ (ガレッジセール) でも宮古島の言葉はわからないらしい。驚いた時の感嘆詞が、那覇では「あぎじゃびよ!」、宮古島では「あっがいたんでい」。「とてもおいしい」が、那覇では「でーじ まーさんどー」、宮古島では「だいず うまむぬ」。
   みゃーくじまからんまーんまぬ なびぱんびんぬ やきひーさまちーよー
   宮古島のおいしいなびぱんびんを作ってみてよ
 どこで切れるのわからない。ほかのも併せて、「なびぱんびんぬ」は一塊だろうということはわかるし、先頭部分に「旨い」が入っているようだという見当はつくのだが、「みゃーくじまからんまーんまぬ」なのか「みゃーくじまからんまーんまぬ」なのかわからない。
   んなまから なびぱんびんぬ つふぁっとー
   今から なびぱんびんを作りますよ。
   くいがど みゃーくぬ なびぱんびんさい。んまし ふぁいみーる
   これが宮古島の なびぱんびん です。おいしいから食べてみて。
 このあたりはわかる。

かじ」が「台風」。これはどっかで聞いたことがある。

 さて、挑戦するのは岩手の人たち。
 一組目は苦戦。名前の「びん」から、「ビンビン」でスタミナ料理、と NHK が冷や汗をかく方向に行きかけたものの、「ビーン」という方に軌道修正、小麦粉で伸びる生地を作ることにしたが、納得いかなかったようで路線変更。
 3. のヒントについては、子供が好きな野菜、ということで、トマト・とうもころこしをチョイス。これは、あ、そうか、と思った。野菜を嫌う子供は珍しくないが、確かにこの辺りは好きかもしれん。
 2. については、手元の材料で手軽に作れるものだろう、と想像。上記の野菜に肉やソーセージを加えてミネストローネ風の鍋を作り、そこにパンを投入。ここで、出演者から「えーっ」という声が上がったが、パンの鍋ってあったような気がする。
 試食では旨かった模様。鍋物だと思うから驚くわけで、洋風に作れば問題ないと思う。
 二組目は、台風→戸を閉める→暑い→冷たいもの、と連想、餅と果物を合わせたデザートに仕立てた。これは旨そう。なお、1. のヒントについては、中身をくりぬいたスイカを鍋に見立てることでクリア。

 さて、正解は、宮古島風お好み焼き。一組目の、「手元の材料で手軽に作れるもの」という推理が当たっている。停電しても、火があれば作れるわけだ。
 小麦粉と卵 (とぅなか)、はいいとして、味付けは宮古味噌。あと、いりこ (さりず) がそのまま入る。これにニラとランチョンミート (多分、SPAM で、これが「子供が好き」の要素) が入る。
「鍋」というのは、この番組にしては親切なヒントだったわけだが、一組目のようにこれで「土鍋」を想像してしまったりもするので実はミスリード。使うのはフライパンである。

 沖縄本島では、この料理を「ひらやーちー (平焼き)」と呼ぶそうだ。

 で、「ぱんびん」とは何か。
 宮古島では揚げ物をさすようで、サーターアンダーギーも宮古島では「さたぱんびん」となる。
 ロシアの言語学者、ニコライ・ネフスキー*1は「はんぺん」だとしているそうだ。番組によれば、愛知の一部では、「魚肉を練った揚げ物」のことを「はんぺん」と呼んでいる由。

 岩手からの出題については来週。



*1
  Nikolai Aleksandrovich Nevsky. 留学中にロシア革命が起こったため帰国を断念して、大阪外大などで教鞭をとり、アイヌ語・西夏語などを研究したが、帰国後、スパイの嫌疑をかけられ、粛清された。
Wikipedia のほか、などにもまとめらている。
 宮古島に記念碑があるそうだ。()





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