Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第977夜

空中二万マイル



 盆に帰省したところ、ANAマイレージがめでたく 20,000 マイルを超えた。これは、時期を選べば、特典航空券で秋田−東京が二往復できる値。
 これまで、10,000 を超えたことは何度かあったが、それ以上は俺の搭乗頻度では有効期限に引っかかるので、無理だろうなー、と思ってた領域。
 この一年、秋田−宮崎を往復しまくってるからなー。今年は既に 5 往復。何回か、どうしても席がなくて JAL に乗ったこともあるのだが、それがなければもうちょっと早く貯まったに違いない。*1
 尤も、すべてが秋田−宮崎で貯まったわけではなく、転勤前にすでに数千マイルはあったはずだし、東京に遊びに行ったりもしてるんだけども。
 これだけ乗っても、プレミアムポイントで何かが起こる、ってことはないのだな。それには“Jet set”と呼ばれるようにならないといかんのだ。*2

 これで真っ先に連想した単語は「けち」。いや、そんなこと言ったら ANA が気を悪くするかもしれないんだが、読んでないと思うのでさっさとググってみる。
 まず、「吝い (しわい) 」という語があるので、それや、その変形が見つかる。「しわんぼう」も散見されるのだが、北海道から九州とやたら範囲が広い。古い言葉ではあっても、地域的に偏ってるとは言いづらいところはある。
 その間に「しわい」が別の意味を持っている地域がある。たとえば山梨の「にくたらしい」、愛媛の「しつこい」、島根の「辛い」などなど。
しぶちん」も同様。関西というか、近畿な感じはするが、大方の人がわかるのではないか。
 面白いのは広島・山口あたりの「にぎり」。握りしめたまま放さない、という感じか。鹿児島の「にぎい」は、鹿児島弁特有の規則で語末の「り」が「い」になったものだろう。
 岡山の「こびい」がわからない。
こすい」「がめつい」というのも出てくるのだが、この辺になるとちょっとニュアンスが違うような気がする。「こすい」は「ずるい」、「がめつい」は「出したくない」ほかに「貪欲に手に入れようとする」雰囲気を感じる。

 Wikipedia によれば、「しょっぱい」で「けち」という意味になる方言もあるらしい。どこだかは書いてない。その記事自体は、スポーツ界での俗語の解説だけで、金銭面には触れていない。

 これを書いてて「セコロジー」って単語を思い出した。財布にも環境にも優しい生き方だそうだ。どうやら TBS の番組で森永卓郎が使い始めた言葉らしい。
 ググってみたら、「窓を開け放して、扇風機を換気扇代わりに使って、空気を入れ替えると涼しくなる」というようなことを書いてる記事があったのだが、それは宮崎では通用しない。*3
 暑いと窓を開ける癖があるのだが、宮崎ではそれはやっちゃいかん。屋内よりも外の空気の方がはるかに熱い。特に北国の人間にとっては、クーラーは必須だ。
 まぁ、昼間はつけないけども。ずっとクーラーだと体によくなさそうだし。窓を開けてワンルームにある換気扇を総動員している。夕方、風呂に入ってる間に閉め切ってクーラーを回して、上がったらまた窓を開けて、暑い中でビールを飲む、っていう感じ。こっちに来て、夏場のビール消費量が大幅に増えた。
 寝るときだけはつける。
 帰省したのは一週間だけだったんだが、その短期間で体が寒冷地仕様になってしまったらしく、宮崎に戻ってきた初日の夜はクーラーを入れてても寝苦しかった。

 去年、お盆で迎え火を焚くための木切れが「たいまつ」としてスーパーで売られている、ということを書いたが、秋田でも同じ名前で売ってるのを発見した。写真を撮る隙がなかったのだが、俺がこれまで見つけなかった理由は不明。単に気づかなかっただけなのか、スーパーによるのか。
 キュウリの馬とナスの牛の、樹脂製の奴があって苦笑した。そんな手間かかるものでもないだろう。まさか、もったいない、とかそういう話?
 帰省前に冷蔵庫をほぼ空っぽにしたので、宮崎に戻ってから急いでまつのに行ったところ、「しょろ団子」というのを発見。「精霊団子」であろう。
   
 ググってみたけどほとんど記事が見当たらない。地域も、宮崎・石川・愛媛で、ちょっと地域性を読むのは辛い感じ。ただ、「精霊団子」で検索するとヒット数は大幅に増える。これを「しょろ」と呼んでいる可能性はなくはない。

「マイル修行」という言葉があるらしい。特典を得るために、マイルを稼ぐことを目的に飛行機に乗ることだそうだ。極端な例では、海外まで行ってとんぼ返りする、という例もあるらしい。気持ちはわかるし、スーパーのポイントカードでは不要不急のものを買ってポイントを稼ぐ、ということは俺もやるが、飛行機の場合、乗ること自体で万単位の金がかかるわけで、そうそうできることではないと思う。
 そういや、マイレージの有効期間が今より厳しかったころ、「今月中に一遍乗らないと、それまでに溜めた数千マイルが無駄になってしまう」ということがあって、そのためだけに東京に遊びに行ったことがある。結局、それで 10,000 マイルに到達、後で特典航空券を使ってまた東京に遊びに行ったのだが、何やってんだ、という気は今でもする。



*1
 ANA 派なのには理由が二つあって、一つは、俺が飛行機に乗り始めたころは、秋田−東京は確か一日六便くらいしかなくて、JAL より ANA の方が便利だったこと。もう一つは、機内誌は ANA の方が圧倒的に面白いこと。(
)

*2
「ジェット機で遊び回る金持ち連中 (
プログレッシブ英和中辞典)」()

*3
 ネイティブの中には窓を開けている人もいる。(
)



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