Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第929夜

スーパーな宮崎弁 (前)


 食料品、日用品は主にまつのというスーパーで購入している。
 ここにもポイントカードがあり、\200 で 1pt になるのだが、ユーザーにはランクがあり、ゴールド会員になると \100 で 1pt つくようになる。ゴールド会員になるには、ある月の買い物合計額が3万円を超える必要がある。
 しかし、こちとら一人もんである。食料品と日用品を合わせるにしても、一店舗だけで一日千円は使えない。その店が職場と住居の間にあるのならまだしも、わざわざまわって行かなければならない立地で、買うものが少なければ通勤線上にあるコンビニで済ませることもあるのでランクアップは難しい。
 とは言いながら、実は現在、ゴールド会員である。なぜかと言うと、夏の帰省のときのお土産をそこで買ったから。酒とかお菓子、化粧箱に入った果物 (南香という みかん。旨い) とかを買ったら、昇進ラインに到達した。有効期限は一ヶ月なので、頑張ってポイントを貯めようと、遠回りして帰宅する日々。
 というわけで今回は、スーパーで見つけた宮崎弁。

 いきなり別の店舗から。まえだストアーという店で見つけた例。
さんとな
 葉物野菜だが、ギターが上手そうである。「山東菜」と書くらしい。「さんとうさい」という呼び方もあるそうだ。
 と思ったのだが、Wikipedia では「埼玉県の東南部で栽培されているが生産量は少ない」とある。「東京都の卸売市場では年末10日しか取り扱いがない」んだそうだが、地域性があるんだろうか。にしても、ここ宮崎なんだよな。まえだだけじゃなく まつのでもコンスタントに売ってるけど…。
 沖縄では「シロナー」という由。
 あと、「べか菜」というのも見つかった。やさいづくり.com記事によれば、山東菜が白菜みたいに丸くなる前に収穫したものだそうだ。「べか」は「小さい」で、「べか舟」と呼ばれる小さな船で出荷されていたからだそうだ。
 外来種なのね、と思ったら、そもそも日本で白菜を食べるようになったのは 20 世紀になってからだそうだ (これも Wikipedia)。
べか」なんて聞いたことねぇ、と思ったが、「べか舟」の記事は多数見つかる。山本周五郎の「青べか物語」という小説もあるらしい。これは浦安が舞台なんだそうで、海苔をとるときに使うんだとか。でも、「べか」自身はなくて、「べか菜」と「べか舟」の記事しか見当たらないなぁ。

 もう一つ、まえだから。
れいし
 は? 漢方薬? と思って立ち止まったのだが、どう見てもゴーヤ。
 また Wikipedia に頼ると、「ゴーヤ」が沖縄の言葉なのはわかるとして、和名としては「ツルレイシ (蔓茘枝)」であるらしい。「ニガウリ」は通称。
 さらに突っ込むと、「れいし」というのは「ライチ」のこと。そう、あの楊貴妃が好きだったと言われる果物。見た目が似てるそうだ。
 これは新鮮。なんでかっていうと、秋田では「ゴーヤ ()」以外の呼び方がないから。
 秋田、つか北日本でゴーヤを食うようになったのは最近のこと、おそらく「ゴーヤチャンプルー」と同時に入って来たのではないかと想像される。
 これに対して九州では、以前から栽培されていて自分たちのものとして存在していたのだろう。だから「れいし」が一般的な名詞としてあり、おそらく「沖縄ではゴーヤと言うんだってねぇ」という認識なんだろうと思われる。

 最後は、食い物ではなく、これ。
   
 木片にしか見えない。長さはせいぜい 20cm くらいだが、これは「たいまつ」。
 お盆の時に迎え火を焚くのに使う。最初に見たとき、「なんでスーパーに木切れ?」と思った。いや、木なのはわかるし、松明なんだろうけどさ、とか思ったが。
 実際、お盆の時期には、家の前でこれを燃やしてたし、翌日には燃え残りが散見された。
 で、同時期に小さいゴザたいなのも売られている。「しょろごも」と言う。多分、「精霊菰」。この上にお供えを乗せるんだそうだ。
 このあたりは、日本銀行宮崎事務所記事に詳しい。

 実は上の行、「宮崎支店」って書きかけたのだが、支店じゃないのね。
 秋田は支店である。
 だからエラいってことはない。隣県から遠くて人が行き来できないから機能を一通り持たせなきゃいけない、ってことなのかもしれないし。
 JR 東日本も、秋田は支社だけど、仙台からすぐの山形や福島は仙台支社の支店だし。
 言っててさびしくなってきた。




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