NHK 宮崎放送局では、「
宮崎熱時間」というローカル番組を持っている。隔月位で宮崎にまつわるいろんなテーマを特集しているらしいのだが、こないだ方言に関する特集をやっていた。去年、今年の初めと続いて三回目だそうだ。
そもそも「
やばたんやこっせん」とは何か。
最初と最後はわかる、というか見当がつく。「
やば」は「やばい」であろう。若者の言葉がテーマの番組らしいし、これは確実。
「
こっせん」は若者の方言で、「〜じゃない?」。大阪弁だと、「
〜なことあれへん?」というような表現があるが、これの「こと」と同じであろう。
だから、おそらく「
やばくね?」という意味ではないかと思われるのだが、中央の「
たんや」がわからない。どこで切れて、どこまでが「やばい」にくっつき、どこからが「
こっせん」にくっつくんだろう。
ま、見ればわかるか。
高校生を 15 人ほど集めている。まだ自治体の配置を把握してないんだが、
延岡・
日向・
宮崎・
小林・
都城・
串間・
日之影ってことだとおおむね全域をカバーしてる、と言っていいのかな。
まずは、相槌の言葉。
「
それなー」あたりは秋田でも使ってる人がいるが、聞くところによるともう古いらしい。今は「あーね」なんだとか。
これについては、「
まじな」「
あね」「
あよ」などのバリエーションがある。どういう違いがるのかというと:
というわけで、少しずつ違う。あるいは、個人的な印象かもしれない。
この番組によれば「
あーね」は福岡が発祥なんだそうで、上の「今は『あーね』」という情報自体も実は怪しい (ネットのアンケートサイトで見た。どこの人かは不明)。
この辺は、単なる若者言葉でなく、流行の側面も持っていそうで、ほかの表現よりも寿命が短いと思われる。
面白いと思ったのは「
じゃかいよ」「
だからよ」で、「そうなんだよ」という意味だと思うが、形としては秋田弁の「
したがら」も同じか。ただし「
したがら」は、呆れているときなど、ネガティブな内容に使われることが多い。あれ、「
だからよ」もそう?
怒りの宮崎弁ということで、とある家族の様子を映していた。子供が夏休みの宿題をやってない、ってことで怒られてるのだが、こういう家庭ってどうやって見つけるんだろうね。
「
くらすぞ、マジで」など、ひとしきり怒られたところにキャスター (とカメラマン) が入っていくのだが、それって教育的にどうなんだろう、と思った。
宮崎弁で怒る、という趣旨なのに「マジで」が入ってるのに笑う。
小林市の高校生が、父親が怒ると、出身地の
えびのの方言が混じって、何を言ってるのかわからないことがある、と言っていた。感情的になってコード切り替えの制御がうまくいかなくなったせいなのだろうが、そういう状況でも「マジで」が出てくるってのは、それがその人の深いところに入っちゃってる、ってことだよね。
宮崎弁を世界に広げよう、ついては隣の大分から、ということで、大分の高校生がゲストに呼ばれている。
「暑い/寒い」が、宮崎では「
あつか/
さむか」なのに対して、大分では「
あちー/
さみー」になる、という概略説明の後、大分でも使ってほしい宮崎弁の紹介。
「よりかかる」という意味の「
なっかかる」は、大分では「
なんかかる」となる。
前に
草刈正雄が好きな言葉として挙げているのを紹介した。
「
ちゃ/
ちゅ/
ちょ」は、「ている」の活用形の音便化。「やっている」なら「
やっちょる」もしくは「
やっちゅう」となるが、大分では「
やっちー」なんだそうだ。
あとは、冒頭で紹介した相槌のうち「
じゃとよー」。「そうなんだよ」ということ。
妙に「美しい」表現が出てこないのがよかった。たとえば「ありがとう」系の、方言が美しいのではなくて、それが示す内容が美しい、ってやつのことだが、それを地域と絡めて称賛することは、そういう表現を持っていないほかの地域を dis ることになるんだってことにそろそろ気づいて欲しい。
正直、焦点がはっきりしない、という印象を持ってしまった。
それはおそらく、これが第三回で前の二回を踏まえているらしいことと、俺がよそ者だからってことの二つが理由だと思われる。