前に、脇の下で
皮膚炎とか、夏場に靴下で脛近辺が
荒れた、とかいう話をした。俺、意外に皮膚が弱いのかなー、と思ったりもしたのだが、今度は帯状疱疹である。びっくりした。
幸い軽かったようである。帯状疱疹というと、胸から背中にかけてバーっと広がってるのを想像する人も多いと思うが、今回は胸の下のほうで直径 5cm 位がそうなっただけで済んだ。
とは言え、医者に行って、処方してもらった薬を飲み始めてから、効いてる、って感じがするようになるまで結構日数がかかったので、もしあそこで行かなかったら大変なことになってたかもしれない。
帯状疱疹の原因は水疱瘡のウイルスである。子供のころにやった人も多いだろうが、治ってもウイルスは死滅しない。体の中に残っていて、体調を崩したりストレスがたまったりしたときになどに活動を再開する。神経系に取り付くので、それに沿って腫れたり水ぶくれになったりする。
神経系の病気なので馬鹿に出来ないのだが
*1、俺の場合、胃炎も持っていて胸のあたりがチリチリするのはよくあることである。痒みが来る前の一週間程度、そういう状態が続いていて、酒をセーブしたほうがいいだろうか、なんて思ってたのだが、今にして思えばあれが前兆だった。よーく考えてみると、胃炎とは痛む場所の深さが違う。だからってその時点で帯状疱疹を想像して皮膚科に行くなんてのは不可能だったが。
「一病息災
*2」って言葉があるが、それも善し悪しだ、という話。
Wikipedia によれば、「帯状疱疹という病気は、身近な病気」とのことである。本当かよ、と思わないこともないが、元は水疱瘡なんだから決して珍しい病ではないわけだ。
で、俚諺形も紹介されている。
関西以西で使われる「
胴巻き」は、上に書いたように、胸から背中にかけてぐるっと腫れたときのことを言ったのだろう。ストレートなネーミングである。「
たすき」「
おび」も同様だろう。中国地方の「
おびくさ」もそうだろうか。中国四国の「
けさ」「
けさがけ」「
けさよう」は「袈裟」「袈裟掛け」「袈裟様」なのか。なんか着るものに例える表現が多いね。
東北から中部にかけて「
つづらご」というのがある。ネットでは、「ヒヨドリジョウゴの別名で、腫れた様子がその実の付き方に似ているから」「その実を食べると効くから」という説と、神経系に沿って腫れる様子が九十九折りの坂道に似ているから、という説とが見つかった。どっちも民間語源っぽい感じがする。とくに後者。文学的すぎる。
九州の「
へびたん」は、この Wikipedia の記事からのコピーが多くて、「
へびたん」自体の解説が見当たらない。「巻く」って形もあるから「蛇」なのかなぁ、とも思うが、「身近な病気」に忌み嫌われる生物の名前をつけるだろうか、という気がちょっとする。
帯状疱疹は、体の右側だけとか左側だけとかいう感じで発症するものらしいが、これが一周すると死ぬ、心臓に到達すると死ぬ、なんて言い伝えもあるそうな。
今回調べてみて面白いと思ったのは、医療機関が俚諺形を使った記事を上げていること。方言を取り上げたエッセイとしてではなく、「
つづらご (帯状疱疹) にかかったら」という形ではあるが医学的な記事であるのが独特。たとえば「
けんびき」の場合、そうはないようなので、やっぱり「身近な病気」らしい。
この場合、皮膚が強い弱いの話ではないわけだが、すれると痛いので絆創膏を貼ってたら、そこがかぶれてしまった。やっぱり弱いらしい。