Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第888夜

方言彼女ラブ (後)



「方言彼女0」後編。

 秋田出身のコは、浅倉結希という。
 申し訳ないけど知らないなぁ、と思っていたのだが、去年の雑誌を処分するべく整理していたら、『地球防衛ガールズ P9』という特撮映画の広告が載っていて、それに出ていたことがわかった。秋田に来てないから見てないけど。「特撮映画」と書いたが、河崎実監督だ、と言えば、どういう映画かはわかる人にはわかるはずである。
 彼女が、「方言デート」に出たことがある。
 男が、やたらと歩かされたのか、ヘロヘロになっている。彼女が連れ回しているようなのだが、「おらは米俵担げる男でねばやだ」だそうである。
 ちなみに、米一俵は 60kg だが、これは一人の人間が一年に食う米の量だって記憶してたんだけど、Wikipedia で確認したら違った。「石」と混同してたらしい。
 それぐらいだったら、コツさえ覚えれば担げるんじゃねぇかな。一日中運んでろ、って言われたんならともかく。腰にはくるかもなぁ。
 そのせりふの前に来ていたのが「おしえでけろが」。見当つくと思うが、「教えてあげようか」。
 この「けろ」は「ける」の未然形で、つまり、「くれよう」の変化したもの。
 納得できるようでできない感じがある、って人もいるだろう。なにしろ「教えてくれる」というのは、アニメで悪役がヒーローを叩きのめすときに使う感じの表現。なにそれ、と思うのは自然である。
 実は、こういう受益表現で、「やる」「くれる」のどっちを使うのか、っていうのは地域で異なるのである。
 彼女は男(つまりカメラ)に近づいて、「なんか、おめぇ、いいかまりっこすんなぁ」と言う。「かまり」というのは「香り」で「におい」のこと。まぁ、若い人はまず使わない。

 他の人もそうなのだが、俚諺を一生懸命集めて使っている、という感じがする。
 特にそう思ったのは、ほかの人のとき。
 デートなので、動物園とかその類の施設に行くことが多いのだが、小動物などを見ると思わず歓声があがる。そのときに口にする言葉が、「うわぁー」とか「可愛い」とかの類が、語彙もイントネーションもまるっきり標準語なのである。
 つまり彼女たちは日常的には方言を使っていない可能性が高い。東京で暮らして芸能人をやっている、ということを割り引いたとしても、ひょっとしたら地元でもそんな感じだったのではないか、という気がする。

 面白いのは、福岡出身のみづきあかりが言った「違ぇって」。
 これは明らかに「ちげぇ」である。全体の雰囲気は博多弁風だったが、「ちげぇ」自体は現代の全国共通語形と考えていい。
 それが方言風に聞こえるのだから、やっぱり音で聞く、というのが重要なファクターであることがわかる。

 浅倉結希は、ちょっとファニーフェイスな感じがしないこともないが、おすましするとかなりの美人である。足も細い。番組見ながら、思わず「細ぇ…」って言ってしまった。
 一番、好みの子は大谷澪。大阪寝屋川の人らしい。
 プロフィールを調べてみたら、「カーネーション」「仮面ライダー ウィザード」と俺が見てる番組に結構、出ている。
 で、それ方面のレビューを書いている自分のブログを確認してみたら、俺はちゃんと「このコ可愛い」って書いてるのだった。記憶力には難があるが、好みは一貫している、というわけだ。

 というわけで、「ユルさ」を堪能した。ゲラゲラ笑う、というより、美人も多いし、ニヤニヤ見る番組である。まぁ、悪いけど、DVD 買うほどではないな。でも、次があるんなら、岩手放送にはぜひ放送してほしい。もちろん、秋田の局がやるのがべストではある。秋田のコも出てるしさ。
 ここで紹介したいテレビ番組はあと、「妄想ニホン料理」と「なまり歌選手権」がある。にも書いた通り、「なまり歌」は見るのに三時間以上もかかるので、いつ見たものかと頭を抱えている。年明けにまでずれ込むかもね。

 そういや、888 というぞろ目だったが、特にイベントなし。
 実は、この週末、東京に遊びに行っていて、今、その後片付けの真っ最中。難しいこと考えてる余裕がない。




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