Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第820夜

夏の龍




 近所の子供達が成長して幼児から児童にランクアップしたのだが、それにともない遊んでいるときの声もパワーアップした。夏休みともなると 6 時から遊びまわるので迷惑なことこの上ないのだが、子供の声が聞こえない町になるよりはいい、と思って我慢している。
 精神的に余裕がある場合は、聞き耳を立ててみるのだが、結構、面白いことをしゃべっている。なにか悪いことをした子を「卑怯だよ」とか言って指弾しているのはなかなかの迫力である。こないだ「何の色」てな遊びをしていたが、あれはどういう遊びだったんだろう。
 そういや、彼らの言葉遣いは秋田弁風でないなぁ。

 子供達の言葉で前から気になっているのは、人 (主に親) を呼ぶときの「来て」で、これが:
   
 と頭高で、しかも「き」が有声音なことである。
 たまに
   っち
 と「こっち」まで頭高の子もいる。
 ただ、これは秋田弁からの逸脱である、と断言するのはちょっと危険かな、とは思っている。というのは、子供達がこれを言うときは大概、叫んでおり、力が入っている。東日本的な伝統に従って「き」を無声音に、かつ頭低にしたのでは発音しづらい。そのための一時的な変形ではないか、という気もするのである。
 まあ、無声音・頭低になるまえに、「」になってしまう可能性もなくはないのだが。

 子供達が使う中で面白いと思っている表現に「買う」がある。買い物についてきて、親にお菓子とか食玩とかをおねだりするときである。
 欲しいから「これ買う。買う!」と駄々をこねるのだが、買いたくて、買う財力があるのなら、買うがよい、と思う。
 逆に言えば、どれだけ暴れようと、実際に買うのは親であって、彼らではない。「買って」が正しい。まぁ、駄々に「正しい」も「正しくない」もないが。

 実は数年前に一度だけ、ラジオ体操の音楽が聞こえてきたことがある。それはさすがに勘弁してくんないかな、と思ったが、一日で終わった。苦情が行ったのではないだろうか。住宅密集地なので、それはいくらなんでも、である。

 方言のラジオ体操については、去年、ちょっと触れた。

 そういやよく、皆勧賞だと最終日に景品がもらえた、てなことを聞く。あれって本当なのかな。
 というのは、皆勧賞って事は、あの長期休みの間に、宿泊を伴う移動を一度もしない、ってことである。それって、そうそうあること?
 現に俺の場合、家族旅行というのはほとんどしなかった家なのだが、祖父母の家へ行く、というのは夏も冬も必ずあり、それも泊まりを伴うので、ラジオ体操の皆勤賞というのは―度もない。
 ということを考えると、皆勤の対象者は何人もいないはずで、企画するだけ無駄なんじゃないの、って気がするのだがどうなんだろう。
 と思って調べてみたら、行った先でラジオ体操をやってれば、そこでハンコをもらう、というのは OK らしい。なるほどね。
 
 長期休みといえば自由研究。
 学研の「科学」の付録の温度計・湿度計を使って家の中の温度と湿度を記録したことがある。これは小学生。どうまとめたのかは覚えていない。
 社会では、模造紙に江戸時代の年表を作った。内容は、手持ちの百科事典の丸写しなのだが、このときに徳川家康が「国家安康」で難癖をつけたことを覚えたはずである。子供心に、なんじゃそりゃ、と思った。
 なんでか知らないが、「沸点」に興味を持って、色々な液体の沸点を調べたこともある。これは中学生か? ただ、沸騰とは何か、というようなところまで踏み込んだわけではなく、グラフと数字を並べておしまいだったような気がする。我ながら企画倒れだな、と思いつつ、軌道修正のしようがなくて、そのまま提出したはずである。
 NHK の気象通報を聞いて毎日の天気図を書いたこともある。これも今にして思えば物量作戦。台風とか、実際の天気と関連付けた文章も添えたんだっけか。
 工作のほうでは、沖縄海洋博にインスパイヤされて、海上都市の模型を作ったことがある。お中元とかが入っている薄い箱に青いセロファンを張って、一定の大きさの区画に区切って色んな建物を並べる、という構想だったのだが、その建物のアイディアがあっという間にネタ切れになった。結局、一つおきにプールやマリーナ (セロファンが下にあるから、中をくりぬいた紙を張ればプールになる)、とかそんなプアな代物だったはず。実在の建物の真似をするのをよしとしなかったのではないか、という気もするのだが、どうせなら実在の建物をきっちりコピーすればよかったんだな、と今にして思ったりする。
 まあ、竜頭蛇尾は昔から、ということである。




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