Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第783夜

体操方言



 ネットのニュースで「おらほのラジオ体操」というのを知った。
 このニュースの記事は要領を得ないが、Facebook ページに寄れば「石巻発の地域コミュニティ再生プロジェクト」だそうである。
 まずは、YouTube の動画を見て欲しい。

 すさまじい。
 つか、強調してねぇか? いくらなんでも‘2’を「」とは言わんだろう。でも一貫して「」だなぁ。言うのかな。
 冒頭の「背伸びの運動」が「背伸びっこすっぺし」になってるのは微笑ましい。
 ラストの「おっきぐ息ば吸い込んで吐きすと」がちょっとわからん。
 秋田弁で、「飽きる」ことを「飽ぎする」と言うのだが、それと同じで「吐く」を「吐きする」と言うのだろうか。
 これは CD も出ていて、\500 のうち \200 は義捐金になるのだそうな。

 これは地震関連で話題になっているわけだが、こういうのは全国にありそうだ、と思ってググってみた。が、あまりない。今年はこういう空振りが多いな。
 沖縄にいくつかある。
 石垣島のものは「スマムニラジオ体操」というのだそうで、「スマ」は「島」であろうが、「ムニ」がわからん。石垣経済新聞の記事に寄れば、「スマムニ」で「島言葉」のようなのだが。
「斜め」に相当する言葉の翻訳に苦労して、「横」と「上」を組み合わせた、などのエピソードが紹介されている。
 残念ながら、CD になっているせいか、音源が見つけられずに聞けなかった。

 宮古島のものは、ぱんだる 50CC というユニットがやっている。これは YouTube にあるので聞いてみたが、まぁ、基本的にはわからない。
 が、数字の掛け声の「ひてぃ」「ふた」がそれぞれ‘1’と‘2’であろう、というのはわかった。となると「いつつ」と聞えたのは‘5’か。
「の運動」だけははっきりわかる。

「スマムニラジオ体操」を探していたら、テイチクの「『ラジオ体操シリーズ』好評配信中!」というページが見つかった。
 麻生しおりという人の「ラジオ体操第1 津軽弁」が、伴奏が三味線で楽しい。あのメロディーがところどころチョーキングかかったりしていて面白い。
 この人、伊藤秀志と組んだりしているようだ。

 どうやら、大阪弁や土佐弁のものもあるらしいのだが、どれもこれも「ネット配信」で、買わないことには聞けないし、歌詞 (?) も分からない。まぁ、「買えよ」ってことなのかもしれないが、ちょっと今回のネタとしてはパス。

「ご当地体操」というカテゴリもあるらしい。体操を並べてあるだけとはいえ、Wikipedia にもずばりの記事がある。
 なんとなく作ってみました的なものもあれば、1949 年制定の「茨城県民体操」のように歴史があるものもある。
 歌詞があるとは限らないので、ここから方言ネタを拾うのは骨なのだが、長崎の「がんばらんば体操」はさだまさしが作ったもので、ちゃんと歌詞がある。たしか、NHK の「今夜も生でさだまさし」で見たことがあるような気がする。そういや、また「年の初めはさだまさし」が近づいてきたなぁ。
 長崎県のホームページに歌詞と振り (?) がセットになって紹介されている。
わいばかろうてでんほうてでん行っけん」がわからない。形から言って、「わいばかろうてでんほうてでん行っけん」だろうと思う。「ほうて」は「這って」のような気がするが、前半が不明。
 調べてみて、「俺をかついででも」らしい、と見当をつける。こないだ紹介した「からう」ね。それでも全体の意味がわかんないけど。
 その後の「おめーてさらこうで」もわからない。「おめーて」は「叫んで」らしいというところまではたどりついたが、「さらこうで」は「歩こうよ」か? 「歩く」って「さるく」じゃなかったっけ。

 昔の派遣先が、ラジオ体操を朝の日課にするところだった。
 当然、かったりーなー、と思いながら適当にやっていたが、一ヶ月くらい経過したところで肩こりが解消していることに気づいた。あれって本当に有効なんだ、と失礼ながら、マジに驚いた。
 その派遣業務は三ヶ月くらいで終わり、ラジオ体操をすることもなくなって、見事に肩こりは復活したが、誰かと肩こりの話をするたびに必ずこの話はする。ほんとに効くって。
 しかし、最近は、体操といえば「サラリーマン NEO」の「テレビサラリーマン体操」、という状態の俺が言っても説得力の欠片もないのだった。




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