Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第799夜

全自動の罠




 話を洗濯機に戻す。

 先に書いてしまうが失敗だった。携帯電話といい、Blu-ray レコーダといい、ここのところ、数万円レベルの買い物で失敗し続けている様な気がする。 Blu-ray レコーダについてはその内、書く機会もあろう。なお、「ブルーレイ」は、このスペルが正しい。“Blue”ではないことに注意。また、略称は“BD”であって、“BR”“BRD”ではない。

 まず、でかい。前のが二槽式で、今回は一槽の全自動。上から見るとほぼ正方形だから、幅は小さくなっているが、奥行きが増えている。二槽式の横長の奴を想定した設計のアパートなので、この 10cm の差は大きい。まぁ、これは慣れかもしれないのだが。

 香川・愛媛辺りでは、これを「おおばとる」と言うそうだ。おそらく「大場とる」のだろう。
「場所をとる」という言葉の説明に「かさばる」を挙げている記事があった。「かさばる」は、持って歩くのが辛い、というニュアンスなんじゃないかと思うのだがどうだろう。置いてあって動かさない場合、「かさばる」は使いづらいと俺は思う。

 二番目、うるさい。特に脱水中。ドラムが大きいせいか音が響く。前の奴は、別の部屋にいて洗濯終了のブザーを聞き逃すと、洗濯してるのを忘れてしまうくらいだったのだが、今度のはどこにいてもわかる。ちょっと 23 時以降には使えない。
 洗濯の時間は 90 分・30 分・10 分の三種類で、その中間にできない。一人もんだから量から言っても「急ぎ」でいいのだが、脱水もはしょってるようで、濡れてるとは言わないが、持ったときに重い。脱水だけやり直すことになるのだが、面倒くさくてしょうがない。

 津軽弁では「かちゃまし」という言葉がある。「うるさい」なのだが、こういう低い音のうるささには使えないような気がする。「かちゃまし」は音もさることながら、子供が走り回ってるようなニュアンスだと思う。
「はしょる」を方言だと思っている人は多いようで、Google で「はしょる」を入れると、付属候補として「方言」が出てくる。俗語臭があるから方言かもしれないと思うのだろうが。

 細かく言えば、洗濯中は蓋がロックされてしまうので、風呂の残り湯を足そうと思うと、一度止めなければならない、タッチパネルの反応が鈍い、手拭きタオルをかけるところがない、と色々出てくる。最後のやつだけは、百均で解決したが。
 実は、近くのリサイクルショップに二層式があった。それにしようかとも思ったのだが、リサイクルショップの場合は、洗濯機を自分で処分しなければならない、という問題がある。こっちは例によって土曜日しか動けないし、廃品業者の方も休日は営業したりしなかったりなので、スケジュールと照らし合わせたら、二週間も洗濯機二台の生活になることがわかった。10cm で「狭い」と感じるアパートでそれはいかにも厳しいし、郵便局に行ってリサイクル券を買うのもわずらわしい、ということで断念。

 秋田弁ではこの行為は「なげる」となる。まぁ、廃品業者に引き取ってもらうのだから、厳密には「捨てる」のではないのだが、リサイクルショップに売るのと違って廃棄されるわけだから、これはやっぱり「なげる」。
 大阪辺りでは、捨てることを「ほうる」と言うようだが、こういう大きなものも「ほうる」なのかな。なんか大きなものの廃棄には使いづらい語感だと思ったんだが、よく考えると「なげる」だって外から見たらそうかもしれない、という気はする。

 野球で、ピッチャーの投球のことを「ほうる」と言う人がいる。これが嫌いな人も少なくないようである。
 確かに、なんかぞんざいと言うか投げやりな感じもする。
 この言葉を使うのは解説者のことが多い様な気がする。解説者は大概プロ OB だが、あるいは、自分達がやってきたことだからわざとそういう語感の言葉を使っているのかもしれない。悪ぶってる感じもないことはない。

 新品全自動には簡易乾燥機能もあるし、中古との値段の差はそれで埋まる、と思ったが、その乾燥機能もまったく期待外れだった。
 傷がつかないうちにリサイクルショップに売り払って二槽式のに買い換えたほうがいいだろうかと思っているところである。




"Speak about Speech" のページに戻る
ホームページに戻る

第800夜「今日という日に」へ

shuno@sam.hi-ho.ne.jp