こないだの秋田魁新報の「地方点描」という
コラムで「万歳楽」というのを取り上げていた。
まず辞書的な説明をしてしまうと、「万歳楽」というのは雅楽の曲目 (?) の一つである。「まんざいらく」と読む。おめでたいときの曲らしいが、弥勒菩薩の出現の様子だとかいう説明もある。
ググってみたら、
泣き相撲のサイトで、「緑児泣きたるは万歳楽」という言い回しを見つけた。なんかよく知らんけど、NPO が実施していて全国巡業している模様。トップページの英文説明で“japan”と書いてあるが早く直すといい。
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で、方言の話。
この「万歳楽」が変化した「
まじゃらぐ」「
まんぜらぐ」などの形が、地震のときのおまじないとして使われているらしい。
へぇぇ、と思ってググってびっくり。もう、「方言」などのキーワードを追加するまでもなく、「万歳楽 AND 地震」だけでおまじないに到達できる。よく聞きますよね、みたいなことを書いている人もいてビックリする。初めて聞いたわ…。
で、これは地震が起こってしまったときのおまじないで、その後について弥勒菩薩のお力にすがる、という趣旨なんだとか。
前に、「
くまじゃら」って言葉を紹介したことがあるが、これって「
まじゃらく」なんじゃないだろうか。
「
まじゃらく まじゃらく まじゃらく まじゃらく」って唱えてる間に、切れ目を見失って、「…
まじゃら くまじゃら くまじゃら」から「
くまじゃら」になったとか。
*2
ほかに地震除けを探してみると、「
きょうづかきょうづか」というのが見つかった。
俺くらいの世代だと京塚昌子という女優を記憶している人もい多いだろう。「肝っ玉かあさん」「ありがとう」なんかが有名で、割烹着をきたお母さんというイメージが強い。地震を押さえ込んでくれそうな感じもする。
失礼な冗談はさておき、この「
きょうづか」は「経塚」である。やっぱり仏様が関係ある。
九州ないし沖縄で使われる。「
ちょうちか」という形もあるようだ。
またイメージの話だが、どうも沖縄で仏教というと、へぇぇ、と思ってしまう。まぁ、仏教が入らなかったと思うほうがどうかしてると思うんだけど。単なるエキゾチシズムだろうな。
災難に関するおまじないといえば、「くわばらくわばら」であろう。菅原道真絡みで諸説ある。もとは雷除けだが、展開されて人為的なことにも使われることがあるようだ。
「つるかめつるかめ」というのもある。これはどう考えたって「鶴亀」だろうが、俚諺形かな、と思ったこともある。俺が最初にこれを知ったのは、『県立地球防衛軍』というマンガで、舞台は九州、作者の安永 航一郎は大分出身。実のところ、それ以後 (1983 年の作品)、ほかの状況で見たことも目にした事もない。まぁ、ザッと調べた範囲では俚言ではないようである。ちゃんと調べたらどうかは解らないが。
さて、地震雷、と来た。
世の中にはオヤジを除けたいと思ってる人もいるだろうけど、人権問題になりそうだからさておくとして、火事は。
結論から言うと見当たらない。
探し方がいい加減なのは認めるとして、おまじないを唱えてる場合じゃないからじゃないだろうか。小さいうちは人間の手で消し止めることもできるわけだし。
言葉ではなく、家につける飾りの類のおまじないは色々あるようだ。お札もあるしな。
他の災害はどうだ。
台風とか雪とか探したんだけど、これも見つけられなかった。
このあたりになると、時間が長い。どっちも日が単位になる。おまじないなんぞ唱えてもしょうがない、って感じがする。それを言えば雷もだけど、何時間も鳴り続けるってことはないしなぁ。
災害を離れると、足が痺れたときのおまじない、なんてのもある。
「
しびれ、京へ上れ」と言うらしいのだが、なんで京都。必ずしも西日本ではないらしい。あるいは、西日本から下ったものかもしれないが。
「どれにしようかな」と同じで、これに続くフレーズには色々とバリエーションがある。調べてみると面白いかもしれない。夏休みの自由研究にどうか。
実際には、座った姿勢のまま足の指先を床に押し付けると痺れが引く。これで窮地を脱したことが何度かある。
地震の話はおしまい、って
前に書いたが、再び取り上げることになってしまった。
だって依然として不透明なんだもんね。ニュース見てても、ルポの類はほとんどが地震関係。
国会が政争オンリーになってしまってうんざりしてる人も多いとは思うが、そういう連中を選んだ (もしくは投票せずにほかの人の判断にゆだねた) のは我々自身であることも忘れてはなるまいよ。