こないだ東京に行って来た。
特段、用事があったわけではない。単なる憂さ晴らしである。
先月は久しぶりに残業三昧で、何もできなかった。ピアノはレッスンも練習もできなかったし、
ポロのノーマル タイヤへの切り替えは、寒い天気を口実にできることもあって 4/29 まで引っ張った。ここの文章だって、ポロ絡みで長文の原稿を用意してなかったらどうなったことやら。
前にも書いたような気がするが、派遣先は体面を気にする大企業なので、よっぽどのことがないかぎり休日出勤は認められない。逆に言えば、どんなに忙しくてもまず土日の休みは保証されていると言っていいわけで、その隙をついて上京したのである。
機内では持ち込んだノート PC で文章を書いてることがほとんどだが、離着陸前後は使用禁止なので、その間は主に機内誌を読んでいる。
今回の「翼の王国」では、石垣島の星の話だった。
石垣島天文台の赤外線反射式望遠鏡は「むりかぶし望遠鏡」と呼ばれる。
これは公募で決められたのだが、「
むりかぶし」というのは「群れる星 (「群れる」なのか「群れた」なのかはわからないが)」で、具体的には昴 (すばる) のことである。
昴は、比較的近い距離に星が集まっており、しかも星間ガスがその光を反射するためよく目立つ――らしい (Wikipedia の
記事)。
*1
この「
むりかぶし」という呼び方が八重山に特有の捉え方かと言うとそんなことはなく、和名の「すばる」も「統べる」の自動詞形で、つまり一つに集まっている、という考え方に寄った命名である。そういや
前にも書いたな。
Wikipedia には「
六連星」「
羽子板星」という呼び方が紹介されているが、その前に『
日本の星―星の方言集― (
中公文庫)』を紹介して書いたときの名前を再掲すると:
相談星
鈴生り星
ごちゃごちゃほし
などがあったが、その本にはもっとたくさん書かれている。
国立天文台のページに、この望遠鏡の名前を公募したときの
記事がある。
そこから拾うと、まずは優秀賞をとった「
にぬふぁぶし」。
これは北極星で「
子ぬ方星」、北の方向にある星、という意味かと思ったんだが、子どもが出てくる
民話もあるらしい。尤も、どっちが先かはわからないのだが。
同じく優秀賞の「
てぃんがーら」は天の川だそうだ。「川」より「川原」なのかな。英語では“milky way”で「道」なわけだが。
ほかの言語はどうなのかと思って、『
13 ヶ国語で解る新ネーミング辞典 (学研)』で調べてみた。ヨーロッパの言語はどれも“milky way”系である。ギリシャ神話が元らしい。
因みに中国語では「銀河」。そのままやんけ、という気もしないことはないが、日本語のニュアンスでは「銀河」と「天の川」は別物だ、ということである。
北極星は“polar star”系だし、昴は“Pleiades”系である。あぁ、親戚の言語なんだなぁ、と思う。
佳作の「
ちゅらぼし」「
きらら」は説明の必要ないだろうが、「まえせ 105」は所在地の前勢岳と望遠鏡の口径から。
この辞典、去年の秋に上京したときに買ったんだが、これがポンと店頭にあるところは流石に東京 (正確には青山) だと思った。
昴を扱った「
むりかぶしゆんた」という古い歌があるらしい。
琉球王朝の圧政に苦しむ八重山を収めさせようと、神様は南の星に命じたが南の星が辞退したのでずっと南に追いやり、北も北で断ったので北に押し込めた。これがそれぞれ南斗六星と北斗七星。
受諾した昴は天の中央を通ることを許された、という話だそうだ。
さすがに旅行関連の企業が作ってる雑誌だけあって、全国を主体に世界の話題が満載。ときおり方言も紹介されていたりするが、今回は、残業攻勢がたたって帰りは眠ってしまい、読みきれなかったので持って帰ってきた。
もう一つの楽しみは、ショッピングのカタログなのだが、これがつまらなくなっていた。
ページ数も少なくなっていたが、アイディア商品の類がなくなっていて、オーソドックスなものばっかり。読んでいて楽しくない。
コーヒーだのジュースだのが有料 (しかも高い!
*2) になっていたが、これもコストダウン、リストラの一環だろうか。
普通は、一往復でこの二冊を読みきる感じだったのだが、これからは時間が余りそうだ。自分でもってかないとダメだね。