マブヤー関係の単語を整理しておこうと思う。
「
まぶやー」が「魂」であることは
すでに説明した。
前期の必殺技、「スーパーメーゴーサー」の「
めーごーさー」は「拳骨」。
後期の必殺技、「ティーダヤーチュー」の、「
てぃーだ」は「太陽」、「
やーちゅー」は「お灸」。
標準語でも、誰かを叱る事を「お灸をすえる」というが、同じような使い方をするらしい。悪人を懲らしめる技なんだから、まさにぴったり。
なお、ドラマ中では指笛を鳴らす動作で生まれる火花という形で描かれている。指笛が技というのは斬新だが、その動作はかなりかっこいいので、こっち方面の方々はぜひとも見るべし。
実を言えばマブヤーは物語の終盤で特訓を行い、100 個もの新技を身につけてしまう。
さすがに劇中でもそのすべてを紹介していはいないが、聞き取れたところでは、台風の力ですべての物をなぎ倒してしまう「
ハイカジ ツイスター」というのがある。「
はいかじ」は「南風」である。「南風原」が「
はえばる」であることを知っている人も多いと思う。
使うたびに相手を回復させてしまう「ガジャル チョップ」というのも紹介されていたが「
がじゃる」という言葉はないらしく検索してもヒットしない。ヒアリングに失敗しているようである。
マブヤーのパートナーは、犬に姿を変えたシーサーである。
名前がケンなのは、ネイガーとの関連だろうか。それとも単に「犬」か。
さて、敵方。
「
マジムン」は「魔物」という意味の言葉だそうだ。
一方、ハブの忌み言葉でもあるらしい。「
ナガムン」とも言う由。これは「長いもの」。
首領は「ハブデービル」。
「ハブ」の「悪魔」でなかなかうまいネーミングだと思ってたが、「
でーびる」は「〜でございます」に相当する丁寧な言葉遣いなんだそうである。悪の首領なのに、「ハブでございます」とご丁寧な挨拶。
戦闘員は前にも書いたように「
クーバー」で、これは「蜘蛛」。
オフィシャル サイトに「『ショッカー』的な役回りの怪人」と書いてあるが、「ショッカー」ってのは組織名だからな。書いた人は「仮面ライダー」を見てないようである。
そういえば、怪人という言葉。
ネイガーもそうなんだが、なぜかこの戦闘員も「怪人」にカウントしている。さらに、幹部まで「怪人」である。
まぁ確かにライダーでは、幹部達も最後の決戦では変身したりしてたが、ちと違和感がある。
マジムンの狭義の怪人は「オニヒトデービル」。解説の必要はあるまい。「オニヒトデでございます」という自己紹介である。
実は、このオニヒトデービルは主人公――と言うとネタバラシになるのでやめておく。
その主人公の名前は、「叶」と書いて「カナイ」と読む。
後半で出てくる謎のイケメンは「ニライ」である。
二人合わせて、「ニライカナイ」というわけだ。
「ニライカナイ」は理想郷のことである。
ここまで並べてきて、ネイガーと違って、方言形がそのまま使われていることに気づく。
ネイガーの場合、例えば「キリンタポ型の剣」は「キリタンソード」、ハタハタ型のオートバイは「マシンショッツラー」、「
おんじ (次男)」というポジションのヒーローは「ジオン」、という具合に変形を伴っているものが多い。
勿論、「キリタンポソード」では語呂が悪い、ということもあるのだろうが、この辺はひょっとしたら、秋田と沖縄での言語感覚の違い、ということになるんじゃないだろうか、と思っている。
言ってしまえば、秋田はやっぱり標準語を意識しちゃって、気がつかないうちにそっちに寄ってってしまうのかなぁ、と思わないこともないのである。
逆に、沖縄のほうでは、標準語サイドに対して持っているエキゾチシズムを活用しようという意識があるんではないのだろうか。
この辺の感覚は非ネイティブにはわからないと思うのだが。
「
すったげ鳥海キック」って秋田弁を知らない人にはどういう風に聞えているのだろう。
それぞれのエピソードは、沖縄の大事なものを象徴する「マブイストーン」という秘石の取り合いという形で進む。
マブイストーンは九つあり:
ウチナーグチ
石敢當
テーゲー
エイサー
チャーガンジュー
いちゃりばチョーデー
トートーメー
命どぅ宝
カチャーシー
である。
一部を解説すると、「石敢當 (いしがんとう)」というのは、石で作った表札のような魔よけのお札である。「石敢當」って書いてある。T字路とかに貼ってあるらしい。
「
エイサー」は、乱暴な言い方をすると、「盆踊り」である。
「
トートーメー」は「位牌」だそうである。その位牌の中にいる祖先の霊を指すこともあるとか。
この「マブヤー」のシリーズ、なんともう一週、続く。