2000 年に
NHK でやってた「ふるさと日本のことば」
*1の本があったので買ってみた。いきなり全部というわけにもいかないのでまずは第一巻の
北海道・東北版。
子供向けなのか、字がちょっと大きめで、かつ、ふりがな付き。
まずは北海道。
この本、全体に訳に問題がある。
例えば、床屋での世間話。「秋鮭は
どうだい?」に「釣れるの?」と訳を当てている。これ、意訳としては正解だが、ほかで「
きかない」を「なまいきだ」としているのとは明らかに異質。
雪かきはいろいろと表現のある言葉だが、「
雪はき」「
雪きり」とも言うらしい。多分、少しずつニュアンスは違うんだと思うのだが。
ちょっと調べたら「雪切り」って道具があるようだ。平たいスコップで雪を四角いブロックに切って投げたり運んだりすることがあるが、それ専用の道具らしい。
「
雪はき」の方は、箒で掃くようなことを想像してはいかんようだ。
開拓で西洋の技術や言葉が持ち込まれた、ということの例として「
カイベツ」というのはどうかと思う。不適切だとは言わないけど、「
カイベツ」は別の現象の例として使うものだと思うのだが。
因みに、
昔書いたが、「ダイコン」が「
デャーコン」になることから、「キャベツ」の原形は「
カイベツ」に違いない、ということで生まれた言葉。「過剰修正」の例である。
「
まぎり (小刀の類)」がアイヌ語だとは知らなかった。
「
三平汁」もそうらしい。「
サンペ」というのは「心臓」のことで、鮭の内臓が入ってるから「
サンペ汁」なのだそうだ。
青森県。
津軽と南部の違いを見せるために同じニュースを訳してある。
で、「青森県内」はを津軽弁では「
青森だばねさ」としているのだが、これがわからん。分解不能。
こっちにも不適訳。「
はぐらんおごすんた」を「とても暑い」としている。「はくらん」は「霍乱」で日射病のこと。それくらい暑い、ってことだから間違いではないが、意訳しすぎである。
このニュースは夏の海のことで、「日光浴を楽しんでいる」を「
浜さのどばっていました」は、これまた意訳が過ぎる、つか、ウケ狙ってないか。これはつまり、「日光浴」を示す言葉が方言内部になかった、ということなのだろうが。こういうのを聞くと居心地が悪くなる。無理に方言語彙で表現する必要はあるまい。南部は南部で「
日焼けっこしてる」、これも意味が違うと思われる。
津軽でも南部でも「暑さ」のことを「
ぬくみ」と言っているにはちとビックリ。
「
へっちょはぐ」という表現が出てくる。意味は「苦労する」だが、由来は不明。「
へっちょ」は「へそ」のこともあるようだが、「
はぐ」との関連がわからない。宮城で、田下駄を指す「
うざに」というのがあって、「
うざにはぐ」で「苦労する」という意味になるようだが、それとの関連はいか
次はなぜか秋田県。どういう順番なんだろう。
五城目の朝市の「
茄子かしぇっか」は説明がいるんじゃないかな。これは「食わせる」である。それが秋田では「
かしぇる」「
かへる」になるわけだが、この場合の意味は「食べさせる」ではなく、「茄子を売ってやろうか」ということである。朝市だから。
新しい食い物屋に行って、「ここは何を食べさせる店なの」と聞く人がいるが、それと同じ。
「肌」が「
はんだ」になる、というのを、「鼻にかける」って言ってるけど、そうかなぁ。まぁ、かかってるかなぁ。
自転車屋での会話。訳というより区切りがおかしい。