GW に笑点を見てたら
U 字工事という漫才師が出ていた。
はじまって一発でわかる栃木弁がおかしい。隣県の茨城とはりあって、でも負ける、という自虐ネタとか、ローカルとまでは言わないにしても土の匂いのする小ネタ満載で面白かった。正直、オチが今ひとつだったような気はする。
ググったらかなりの数がヒット、結構な人気コンビのようだ。名前から球児好児の弟子かと思ったが、そういうわけではなかった。考えてみたら、そうだったら「青空」ってつくはずだもんな。
まずは栃木弁の特徴を整理しておこう。
『都道府県別 全国方言小辞典(
三省堂)』によれば、北部方言と南部方言に分かれる。特に北部方言は東北弁に似た特徴を持っている。『最新 一目でわかる全国方言一覧辞典(
学研)』には、ガ行が鼻音化する点は東北弁的だが、ダ行がそうならないところが違う、とある。
また、無アクセント地帯である。「無アクセント」というのは、アクセントが無いのではなく、アクセントの位置がその時々で移動して固定しておらず、したがって、意味の弁別に寄与しない、という意味。
また、無敬語地帯でもある。実質的に丁寧語しかない模様。
Wikipedia によれば、栃木弁を使う芸人としては、U 字工事のほか、東京ぼん太、マギー司郎がいるそうだ。これに、立松和平を加えると、栃木弁の傾向はなんとなく掴むことができる。ザ・たっちの名前も見られるが、彼らのは「幽体離脱」を何度か見た、というだけなので言葉遣いについては全く記憶が無い。
なお、U 字工事の二人の出身地は、北部も北部、福島とか茨城に接しているあたりである。
上記の本から面白そうな表現を拾ってみると、「
あらいまて」というのは台所での洗い物のこと。びっくりしたのだが、ググっても 30 件もなかった。
「
きどころね」は「仮寝」と説明があるが、秋田でも居眠りのことを言う。
県南では、「濡れる」ことを「
くさる」と言うらしい。これなんかは意味分野が隣接してるだけに他の地域の人は混乱するだろうなぁ。
大阪弁以外の漫才で数年前にブレークしたのが、
博多華丸・大吉。
彼らの漫才で気になるのは、児玉清の物まねは持ちネタだからいいとして、ほかの芸人をネタとして持ち出すこと。最近、そういうのは多いし、好き好きではあろうが、俺はそういうのちょっと苦手。せっかく正統的で面白いんだからオリジナルで行ってほしい。
福岡の方言は、さすがに古来から要衝の地だったせいか、東部・南部・西部にわかれる。
と思ったんだけど、地図見たら意外と南北に長いのね。有明海に接しているというのは、正直言って、知らなかった。これって、京都府が日本海に接してることを知ってビックリするのと同レベルだな。すまん。
南部はこれも無アクセント地帯。東部と西部は基本的に東京式アクセント。
まぁ、武田鉄矢を筆頭に博多弁を使う人は多いので、それでなんとなく把握している人も多いだろう。
「
うたちー」は東部で汚い、卑劣、という意味だそうだが、秋田の「
うだで」と形が似ている。これには卑劣と言う意味は無いが、気持ち悪いもの、嫌悪感を表現する言葉である。
「
たっぱい」で体格を言うらしいが、身長の「たっぱ」と関係ある?
特徴的な語尾の「
くさ」が、古語で習う「ぞなむかや連体、こそ已然」の「こそ」の変化したものである、ということは
前に書いた。
「
〜きる」は可能を示す助詞だが、汎用ではなく、能力可能である。その人がそれを実行する能力があるかどうかを示す。「
る」「
らる」は状況可能。個人の能力ではなく、それができる、やっていい状況かどうかという意味。
華大は福岡吉本出身だが、札幌吉本出身がタカアンドトシ。
尤も、彼らの言葉に北海道方言の特徴はほとんどない。札幌だからだと思われる。
テレビでは、おそらく局側から要求されるからだろう「欧米か!」をやるが、ライブではやらないらしい。受けたネタによりかからないところはすごいと思う。
小ネタの羅列は飽きるので「エンタの神様」は見なくなったが、これはケータイの普及と関係がある、という話がある。ワンセグとか取り込んだ動画とかで細切れに楽しむため、一つ一つのネタが短くなければ見てもらえないのだそうだ。
結果的に製作側としては、一つの番組に多くの芸人を出すことになるが、それについて、テレビは紹介するだけ、視聴者に選んでもらう時代になった、とディレクターだかプロデューサーだかが言ってるのを聞いたことがある。
やる気ないらしい。