Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第460夜

日曜の夜、午後 6 時



 弘前に行ってきた。
 例によって MTB レース参戦ツアーである。
 ルートは、秋田北 IC をかすめて昭和町に出て、五城目から森吉町、鷹巣、大館から 7 号線に乗って青森に入り、大鰐を通って、というルート。
 途中で飯食って 4 時間半だから、実質 4 時間、というところか。ちょっと前を走る車に恵まれず、かなりロスしている感じだが、まぁこんなもんだろう。
 その一泊二日で拾った言葉色々。

 前から気になってはいるのだが、大館辺りには、面白い地名が多い。「今度渡橋 (こんどわたるはし)」とか「商人留 (あきひとどめ)」とか「女神橋 (めがみばし)」とか。どういう由来なんだろう、と想像が膨らむ。
 まぁ、地名には深入りしない主義なので、面白そうだなぁ、あたりでやめておく。

 道路といえば道の駅。にもちょっと話題にしたが、あの後、五城目にもできたので、数は更に増えている。
 野菜の直売をやっているところも多く、ここのところ、どういうものかピーマンとナスがお好みなので、大分、気にはなるし、せっかく青森なんだからリンゴにも目は行くのだが、いかんせん、安い。
 安くて何が困るかというと、安いのが小分けだったら喜んで買うのだが、安くてたっぷりなので、独り者の俺は間違いなく持て余す、ということで逆に買えない。ピーマンが十数個で \100 ってものすごく安いが、ピーマン 10 個食うのに一体どれくらいかかる? ということでパス。
 ピーマンの隣には「なんばん」。唐辛子である。
「ジョミ」というジュースがあった。
 ラベルを読むと、「ガマズミ」の実を「ゾミ」「ゾノミ」と言うのだが、それから名づけたものだとのこと。「ジュース」とくっつけたのか?
 残念ながら、ガマズミと言われてもなんのことやらわからない。写真見て、うーん、見たことあるかも、というくらいのあいまいな記憶のみ。みのさんも紹介したらしい。
 わかんなかったのが、「とりことまらず」。なんか、木の枝を細長く切ったもの、と言う感じ。1cm×5cm くらい。内側が妙に鮮やかな黄色。木の枝を模したお菓子か、とも思ったが、あきらかに樹皮。
 ひらがなでググったところわずかながらヒットした。それが全部、「とりことまらずって何?」というやりとりで、決定打にならず。
 カタカナで検索したら、「メギ」という木がそうらしい、ということがわかる。「コトリトマラズ」という名前もある由。いずれ、細かい刺が生えているため、鳥がとまらない、というのが命名の由来。「ヨロイドオシ (鎧通し)」という呼び方もあるそうな。
 で、調査を続けたところ、煎じて目を洗うのに使う、ということが判明。「目木」なのだった。なるほど。
 
 碇ヶ関で、「ヘッチョ仕出し」という仕出屋を発見。一緒に行った友人と、あれは一体どういう名前だ、と盛り上がったのだが、家に帰ってから思い出した。「ヘソ」だ。中心にある、とかそういう意味のネーミングだろう。あった場所が村の中心地かどうかは部外者にはわからないが。
 その近くには、「あめりかや」という温泉宿もある。なぜ碇ヶ関でアメリカ。

 それを確認してて見つけたのだが、アメリカヤマゴボウという植物がある。これも、写真で、あー見たかも、って感じではあるが、これブドウじゃねぇか、まっとうなネーミングとしては。

 飯は 5 度。
 昼は鷹巣のラーメン屋。まずくはなかったが、順番間違えやがってエラく待たされたので紹介してやらない。
 夜は弘前の飲み屋。帰ろうとしたら土砂降り。そしたら傘をくれた。とてもありがたいので紹介する。鍛冶町のけん太
 朝はホテルでパンとコーヒー。昼は、弘前城前の追手門ってレストラン。そばに野菜たっぷり乗せてリンゴ酢をかける、「津軽野菜麺」という意欲作。酢が苦手なら醤油系もあるそうな。
けの汁」は「粥の汁」だそうで、野菜やらなんやらを細かく切ってある。うまい。汁気が少ないので、酒の肴にもいいかもしれない。味噌だ、醤油だ、と意見が分かれているのは家庭料理だからだろう。
 夜は、碇ヶ関の道の駅で「じょっぱりうどん」。名前からして新作郷土料理のようだからあんまり期待してはいなかったのだが、野菜・山菜・肉がたっぷり入った味噌仕立てのうどんで、これもうまかった。友人が食った「爆猪菜飯」というのもうまそうだった。
 そういや、宿の隣に「情張り鋸や」って店があったな。
 で、その道の駅のレストランで見たのが「あどはだり」。ものとしてはマルメロの羊羹だったが、名前の由来がわからない。
 調べたところ、「おかわり」のことらしい。「あど」は「後を引く」の「後」か。「はだる」は「ねだる」らしい。
 やたらと津軽三味線のページがヒットするが、そういう名前の有名な曲があるようだ。
 このレストランの店員さんたちは、若い人ばっかりなのだが、客が、茶を注ごうと席を立つと、急須を持ってささっとかけよってくるなど、実に気が利いている。

 矢立峠の道の駅と碇ヶ関の道の駅は、車で 10 分程度しか離れていない。
 確かに、こっちは秋田、あっちは青森ではあるが、もうちょっとばらして設置してくれたほうが、利便性は高まるだろう。
 それに、売りであるはずの産直の売店はことごとく 5 時で閉まる。
 8 時と言いたいところだが、五城目の道の駅で 8 時過ぎに小休止したところ、誰もいなかった。やってないから人がいないのだという見方もあろうが、交通量から考えて、いないからやってないのだと思われる。さすがにそれは要求できない。
 でも、せめて 6 時じゃねぇかなぁ。




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