ひょんなことからミキサーを手に入れた。
DJ やったりデモテープ作ったりするのじゃなく、ジュースを作る方。
これまで混同していたのだが、「ミキサー」と「ジューサー」とは全く別のものである。
ミキサーは、大雑把に言えば、細かく砕くもの。だから、クラッシュ アイスやパン粉を作ったりすることもできるが、ジュースが欲しい場合は、水気を足さなければならない。多くの場合に牛乳である。
ジューサーは絞るもの。野菜を突っ込むと、確かにジュースはできるが、絞りかすが出る。これはこれで、肥料にしたり、スープのとろみを出すのに使えたりするそうだ。
作るのが一人前の場合、リンゴなら半分程度なので、ジュース専用に野菜だの果物だのを用意しようとすると腐らせてしまう。加減するか、手持ちのもので作る、という姿勢が必要。まぁこれから寒くなるし、さほど心配は要らなくなるが。
また、リンゴは皮をむいて芯を取る必要があるし (無農薬なら皮もそのままでいける)、ニンジンは茹でるなり電子レンジであっためておくなりしておかないとさしものミキサーでも砕けない。かならずしも手軽ではない。
そもそも、ものすごい音を立てる。使う時間を選ぶ道具だ。一軒家ならいいだろうが、アパート住まいの人は
要注意。ちょっといつもより早起き、という場合は諦めざるを得ない。
というわけで、味覚の秋。野菜から米にかけての話題。
――と書いて気づく。米は野菜ではないのか? 早速、「野菜」を辞書であたる。
大辞林:食用に育てた植物。青物。
大辞泉:食用とする植物の総称。青物(あおもの)。蔬菜(そさい)。
米だって「食用の植物」である。だが、「青物」ではない。どういうことだ、と思ったが、頭をひねってみて理解した。米は「穀物」という分類なんだった。
前に、「ひこばえ」の別形があったがメモをなくした、と書いたが、やっとみつけた。
「
ひつじ」という。「禾」に「魯」という字、あるいは「稲孫」と書く。
これは、稲刈りが終わった後、その株から出てきた芽のことである。
秋の季語で、歳時記にも載っている。したがって、俚言形である、とは断言しづらい。どこかの地域に残っている、ということはあるのかもしれないが、今回調べた範囲では、確認できなかった。もはや使われていない単語のようだ。
まともに育つことはあんまりないらしいからそれも当然か。ただ、それを集めて飯を炊いただか酒を造っただかという話をどっかで聞いたような気はする。
翻って、「ひこばえ」。
大辞林:樹木の切り株や根元から群がり生える若芽。又生え。
大辞泉:切り株や木の根元から出る若芽。余蘖(よげつ)。
これは「若芽」という名前から想像される通り、春の季語。つまり、「ひこばえ」と「ひつじ」とは別のもの、ということになる。
前から気になっているのが「
ひとりばえ」。これも見てのとおりで、「一人で勝手に生えてくる奴」。
ただし、辞書には載ってないし、Google での用例も 200 件しか見当たらない。
意味も、虫が運んだか鳥が運んだか、どっから来たのかわからない、というのもあれば、蒔いたのではなく親からこぼれた種が芽を出したもの、というのもある。はては、ひこばえが大きくなったもの、というのもあって、あんまり明確には定まってないようだ。
その割に、使っている人たちは、あたかもそれが一般的な単語であるかのように使っている。何の説明もしていない。あるいは園芸界では知ってて当然の単語なんだろうか。
岐阜の「
やこめ」、鳥取の「
やっこめ」という単語を拾った。
「焼米」と書く。
保存食であるほか、お供え物とする地域もあるらしい。「炊く」技術が確立するまでは、そうやって食っていた、という記述もある。
尤も、稲のままで焼いたり、米にしてから炒ったり、と作り方も様々である。
数が少ないところを見ると、もともとさほど広範囲に行われているわけではなかったのかもしれない。
上で、野菜と穀物の話をしたが、果物と野菜の違い、というのもよく話題になる。果物は多年生植物だとか言われるが、そうなるとスイカはひっかかる。
古くは果物のことを「水菓子」などとも言った。汁気の多いデザート的なものが果物、という分け方は理に適っていると思う。
クリは、汁気がないし、ご飯に混ぜたりするから果物というにはちと抵抗がある。だが、木の実なので果物なのだ。欧米では、ご飯がサラダ的な位置付けだったりすることがある。となると米は野菜か。
*1
そもそも、人間の食べ方から見た分類だと思うので、その辺はいいかげんにならざるを得ないんだろう。
旨けりゃいい、ということでおさめておきたい。