今年は出張多発で、私用込みではあるが、この時点で既に秋田−東京 6 往復である。平年の 2 年分くらいに相当する回数だ。たった 2 ヶ月で。
マイレージがたまるのはありがたくないこともないが、体にキツい。そのうちやるだろうなぁ、と思っていたのだが、案の定、風邪を引いた。
発症した日はちょっとびっくりした。扁桃腺が腫れる、とか、喉の奥が、とかいうのは経験があるが、喉が全面的に痛い、というのは初めての経験。その夜は数時間しか眠れなかった。
そんなんで始まった風邪なので、微熱なんてどうでもよくて、とにかく咳が辛い。困った。
咳とくしゃみの俚言形は多い。当然だな。
日本人は、平均すると年に 5〜6 回、風邪をひくそうだ。医療分野でも、その収益の何割かを風邪が占めているとか。
風邪の特効薬を発明できたらノーベル賞ものだ、という話はよく聞くが、そんなものができて、すぐに治っちまうようだと、製薬会社は逆に収益源なんじゃないか。
咳。
「咳をする」は、近畿の一部や四国で「
たごる」「
たぐる」、瀬戸内西部から九州北部で「
こずく」「
こずる」。「
せく」というところもあるようだ。宮崎の「
いき」は咳そのもののこと。確かに「息」ではある。『秋田のことば (秋田県教育委員会編、
無明舎出版)』によれば秋田には「
しゃんぶぎ」という形があるらしい。これは「しわぶき」だろう。
くしゃみ。
秋田では「
あくせん」という形が紹介されているが、これに似たものは全国に多い。
古語に「くさめ」があるが、「くしゃみ」の名前は単純に音。なんかウソみたいだが、「
はくしょん」と言う地域もある。
「しわぶき」って死語だと思ってたが、「しわぶきひとつ (たてずに)」という表現は意外に多い。熟語として残っているのだということは理解できるが、聞いたことってほとんどないんだよな。
なんだか、「くしゃみ」のことを「しわぶき」系の表現で呼んでいるところもあるようだ。まぁ、確かに似たようなもんだといえば似たようなもんだが。
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今年は花粉の当たり年なんだそうである。こんなんでも「当たり年」って言うんだ。
俺は、今のところアレルギーはないらしいのだが、もともと上気道は強くないから、今年になってデビューってこともありえない話ではない、と戦々恐々である。
勿論、「花粉」なんて専門用語の俚言形なんてない。でも、「花粉」ではないにしろ、あの、花の先っちょにある粉について、なんらかの名称はあったんじゃないかと思うんだが。科学的にはともかく、雄蕊
(おしべ) と雌蕊で実ができる、ってことは知ってたんだろうし。
花粉症対策には、吸わず・付けず・持ち込まず、という大昔の非核三原則を思わせる鉄則があるらしい。
で、外から帰ってきたときは、玄関の外で花粉を「
ほろう」わけだ。多分、「払う」なんだろうけど、花粉とか砂とかを、服を叩いて落とす、という行為は、ちと「払う」ではしっくりこない感じがある。「払い落とす」だとそうでもないので、「払う」には「付着物を落とす」という意味が弱い、と俺は感じているのだろう。
「
ほろう」は「
ほろぐ」だったりする。「う」なのか「ぐ」なのかは、命令形でわかる。「
ほろげ」と言ったら「ぐ」。
今シーズン、猛威を振るっているらしいインフルエンザ。日本語では「流行性感冒」と割と緊張感の無い名前で呼ばれる。そもそも「感冒」って?
漢和辞典に寄れば、「冒」には「ふれる」、という意味もあるようなので、「寒さにふれる」が「寒冒」ってことか? 漢方関係のホームページでは、「感冒」と「寒冒」は別物という記述もあるようなのだが。
英語では、“influenza”を短くして、“flu”と呼ばれることがある。
勘のいい人は“influence (影響)”に似ている、と思うだろう。“influenza”はイタリア語からきたものだが、「星の影響」という意味なんだそうだ。
喉は、うがい薬なり、塗布する薬なりで消毒するわけだが、これって、薬が患部にヒットすると激痛が走る場合がある。
逆にいえば、激痛はともかく、終わった後にヒリヒリする感じが全くないとしたら、それは喉が荒れてないか、適切な殺菌・消毒が行われていないってことである。
つまり、その痛みを楽しみにしていることになるのだが、これって変態?