そう言えば、
去年の今ごろも食い物の話をしてたような気がする。
「
たまな」
これは、キャベツのこと。
「玉菜 AND 方言」で検索してみるとわかるが、10 件ほどがヒットする。地域としては、沖縄、新潟、岩手、福岡、群馬。
…散りすぎだ。これも俚言ではないようである。
甘藍 (かんらん) という呼び名もあるみたいだが、こっちはどうか。
出雲弁がひっかっかった。ほかに、兵庫、愛知、富山、広島…これもだ。
ただし、当然ながら、「
たまな」と「
かんらん」の使用地域は重なっていない。
純粋に、ある地域に特有の俚言とは言い難いが、日本全体が「キャベツ」に席巻されていく中で、老人を中心に「
たまな」なり「
かんらん」なりの表現が残っている地域がある、ということであろう。だとすると「方言」ってことになるのかしらん。地域方言じゃなくて世代方言かも、って可能性は残るが。
厳密にはキャベツと玉菜はイコールではないらしい。日本の昔からあったのが玉菜で、それと同じ系列ながら他所から入ってきたのがキャベツということだそうな。
これで見つかったのが「
せんぜい」という単語。
オンラインでキャベツを売っている所らしいのだが、それによれば「農家が自分の家で食べる物を、作っている畑の事」だそうだ。
早速「
せんぜい」を調べてみると、これがほとんど見つからない。この業者ばっかり。一つあったのは、小諸の言葉を紹介しているサイトで、これによれば「前栽」と書く。
これ、どうやら「庭」というのが本来の意味らしい。自分の家の前で作るちょっとした畑、という意味なのであろう。
改めて「前栽」で検索してみると、群馬、長野、兵庫、茨城とヒットする…またかい。
発音はところによって変るものの、「庭」という点で共通している。
大辞林では、「甘藍」はあるが「玉菜」は見つからない。「前栽」はある。
どうしても思い出せず、資料も見つからないのだが、確か宮城のどこかで、「嫁が自由に使っていい畑」という意味の単語もあったはずである。
おそらく猫の額よりも小さな土地ではあろうが、そこで取れた作物を売って子供に甘い菓子でも食べさせてあげたい、とか、もっと切羽詰って嫁の才覚で家系の足しにする、ということがあったのだろう、と想像する。
他家からやってきて、姑にいびられながらも、そういう権利は与えられる、というわけだ。
そう言えば、「畑で農作業をする」を一般には何というのだろう。
俺の見聞きする範囲では、いたってシンプルに「畑 (
はだげ) やる」と言うのだが。
かぁさん、どさいだ (お母さんはどこにいるの)
畑やってら (畑で作業してます)
とか、
あだのじぃさん、まめでらが (お宅のおじいさんはお元気ですか)
あい、まだ、畑やってらや (えぇ。まだ畑仕事をしていますよ)
「畑仕事」かなぁ。
「田やる」とは言わないんだな。「田んぼやってる」はどうだろう。
段々、季節を外れてくるが、『日本語大辞典 (初版、1990、
講談社)』に「おなりど」という単語が載っている。意味は、「田植えの時に、田で働く人々に食物を運ぶ役割の女性」とある。
随分と意味範囲の狭い単語もあったもんだなぁ、と前から気になっていたのだが、これは、どういうわけか、Google では一件もヒットしない。
が、島根には「
おなり」という俚言がある。これは「食事のまかないをする人」という意味らしい。意味は繋がっている。
他は無いか、と思って調べたら、福井に「
おなり」で「嫁」を指すところがあった。このあたりかね、大元は。嫁さんってこき使われるのねぇ。
最後に、俺にとって謎の野菜。「ちしゃ」。
笑う猫とは無関係の様だが、方言とも無関係の模様。
「萵苣」という滅多に見ない字を書くのだが、これの内、明治以後に入ってきて、玉になるやつが「レタス」なんだそうな。
どうもユーザーの現場ではそういう意識は無いようだが。検索してみると、やたらと焼肉関係の文章がヒットする。「ちしゃ菜」ってのは、妙に濃い緑色の、あれのことかい?
前から疑問なんだが、コンビニとかで売ってるサラダって、適正な値段なんだろうか。ほんのちょっとしかないのに、平気で \200 越すのだが。
確かに、熱を加えたものではないから扱いは難しいだろうが、熱を加えた食べ物だって冷たくして運搬・保存するわけだから、問題になるのは作るときだけでしょう?
しかも、油たっぷりのドレッシングとか、コレステロール満載のマヨネーズとかで、全然、体によさそうな感じがしないのだけど。聞くところによると、おにぎりは機械で作るわけだが、ご飯粒が機械にくっつかないようにうっすらと油を使ってるんだとか。それ自体はわずかな量だろうけど、頻繁に食ったらちりも積もるよな。
去年あたりから、食が危ない、とか騒いでいるようだが、俺に言わせて貰えば、食はかなり前から危ない。