Lecture


次世代エフェクター講座 第4回

「フットスイッチについて」

今回は、普段の日常生活でも無意識に操作している「スイッチ」という「道 具」に焦点を当ててみたいと思います。

ところで、みなさんは「スイッチ」といえばどんなスイッチを思い浮かべる でしょうか?音楽に携わっている方ならきっと、ギターのピックアップの切 り替えスイッチやアンプの電源スイッチなどを思い浮かべると思います。当 然のことですが、そのどれもが「ある状態を別の状態」に切り替えるための 役割を担っています。
その意味とは2つ(複数)の状態を「完全に」切りかえられることがスイッチ 本来の役割であり、またその機能のはずです。(もし「完全で」なく中間(ブ レンド)のような状態を望むのであれば、それはスイッチではなく「ミキサー 」的概念になってしまいます。)さて、この「状態を切りかえる」という動 作はエフェクターの場合はどこに含まれていますか?簡単ですね。エフェク ターのスイッチといえばフットスイッチが代表的ですね。大半のエフェクター はこのフットスイッチを「オリジナル音(原音)」と「エフェクト音」を「ス イッチする」(切りかえる)ために使用しています。
しかし、単純にフットスイッチといっても「コンパクトタイプ」のアナログ エフェクターの場合、大きく分けて2種類の方式が採用されています。それ は「電子式スイッチ」と「機械式スイッチ」です。

それでは、それぞれの方式の特徴を説明しましょう。

-電子式スイッチ-

この方式は、機械的な接点を使わずに音声信号の操作を行うもので、電子部 材(主に半導体素子の抵抗値の変化)を利用し、その信号伝達回路をON-O FFに見たて、スイッチとして制御しようという方式です。この方式の最大 のメリットは、その切り替えタイミングやスピードを容易にコントロールで きるのでエフェクターのフットスイッチに使用した場合、切り替え時のクリ ックノイズ(「パツッ」「ボン!」・・・)をほぼ聞こえないようチューニン グすることが可能です。また素子の数を増やせば、同時に操作できるスイッ チの数も増やすことが出来るので、機械式スイッチに比べて安価に、また、 複雑な制御も可能になります。
しかし、弱点が無いわけではありません。それは前出の「ミキサー」的な性 格がごくわずかですが残ってしまう点です。たとえば電子式スイッチを経由 して、オリジナル音を出力したとすると、その音は「オリジナル音99%」 に「エフェクト音1%」が混ざっているかもしれません。さらに、その「エ フェクト音1%」を取り除くことができたとしても、はたしてオリジナル音 =原音と言えるでしょうか?
答えは残念ながら「NO」です。電子式スイッチの場合は信号回路に「バッ ファ回路」といわれる「一種のプリアンプ回路」を必ず通さなければならず、 この「バッファ回路」を通過することによって原音は変化してしまいます。
-機械式スイッチ-

この方式は、文字通り「機械的な接点で音声信号を切りかえる」もので、ブー トレッグハンドメイドエフェクターズに見られるようなプッシュタイプのも のが代表的です。この方式のメリットは「電気的な切り替えが完全」である 点です。前出の電子式スイッチのように「ミキサー状態」になることはあり ません。また、信号をそのまま切り替えているだけなので、実際に操作する スイッチ以外の電子部材を介在しません。つまり「バッファ回路」があって も無くても作動します。さらに、「バッファ回路」無しの場合はきわめてシ ンプルな回路設計が行えるので、入力された信号をクリーンに出力できます。
しかし、この方式にもデメリットはあります。それは信号経路を一旦「切断」 し再び「接続」することによって切り替えを行っているため、切り替え時の わずかにクリックノイズが発生します。また、切り替え制御の全てをスイッ チそのもので行っているため、スイッチの機能・性能が大変重要視されます。 すなわち「スイッチとしての性能」がそのまま「音質」に影響してしまいま す。ですからクオリティーを維持するためにはスイッチの品質を厳しくチェ ックする必要があります。また、そういうスイッチは非常に高価でもありま す。私達ブートレッグハンドメイドエフェクターズでは機能・性能・耐久性 はもちろんのこと、接点切りかえスピードまでも吟味された、オリジナルの ハイスピードチェンジフットスイッチを採用しております。

以上のようにそれぞれの方式にはメリット・デメリットがありますが、使用 目的に応じて、またはあなたの好みで選択されると良いでしょう。ただし、 電子式スイッチも機械式スイッチも単体(1台のみの接続)接続の音を聞いた だけでは、ほとんど判別できないほどよくチューニングされているものも多 くありますし、一見「機械式フットスイッチに見える」ものでも内部回路で は、それを電子式スイッチの一部として使用していることもよくあり、音を 聞いたりスイッチの形状を見ただけではどちらの方式か判断しにくいことも あります。

そこで簡単なヒントを・・・
まずお手持ちのエフェクターの電源を入れます。 次にインプットに楽器(ギター)、アウトプットにアンプを接続してください。 そしてエフェクターのフットスイッチを操作して「オリジナル音」が出るよ うに切り替えてください。ここまでは普通の操作ですね。次に一旦アンプの 電源を切り、そのままの状態でエフェクターの電池(またはACアダプター) を取りはずし、再びアンプの電源をONにしてください。
このときにアンプから音が出れば、そのスイッチは機械式、出なければ電子 式と判別することができます。
これは電子式スイッチを採用している回路は「オリジナル音」も「バッファ 回路」を通過しているため、電源供給が無くなると「音が出なくなる」とい う現象を利用した識別方法です。ただし、見た目が機械式スイッチであって も、少なくとも「バッファ回路の有無」を確かめることは出来ます。



第1回 1998/3
第1回 ノイズについて
ノイズについて



第2回 1998/8
第2回 ハウリングについて
ハウリングについて



第3回 1999/9
第3回 音圧感について
音圧感について



第4回 SOON !
第4回 スイッチについて
スイッチについて



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