メインページへ

1997年3月15日号 218

 

    剤型とバイオアベラビリティ

 散薬、錠剤、水剤などでバイオアベラビティが異なることが確認されており、又、同じ剤型であってもメーカーごとにバイオアベラビリティーが異なっています。

’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’

アレビアチン末が10倍散に変更
 4月1日からアレビアチン末が10倍散に切り変わります。

 この10倍散の製剤は、従来の末と比べて約2倍のバイオアベラビリティを有しているためアレビアチン末から10倍散に切り変える場合は、処方量を約60〜80%に減量する必要がありますのでご注意ください。
 バイオアベラビリティとは、生物学的利用度のことで、経口的に与薬された薬品が吸収、分布されて実際にどれだけ、血中で有効的に活用されるかを現わすものです。

 健康成人にそれぞれアレビアチン(フェニトイン)として100mgを食後に1回内服して、バイオアベイラビリティを比較検討した結果、アレビアチン10倍散(新規)の各採血時間の血漿フェニトイン濃度は、アレビアチン末(従来品)の約2倍でCmaxは2.6倍、AUCも2.2倍を示しました

 従って、従来品から切り変える場合、用量の調節が必要となります。臨床で用いる場合、添加している乳糖などの影響も考慮して、減量する必要があります。

 詳しくは、換算表を配布する予定ですので、そちらを参考にして下さい。

<アレビアチンの一般的な用法・用量>

フェニトインとして、通常成人1日200〜300mg
小児には下記を毎食後3回に分割
 学童 100〜300mg
 幼児 50〜200mg
 乳児 20〜100mg
症状、耐薬性に応じて適宜増減する。

フニトインの内服製剤
アレビアチン10倍散(100mg/1g)
ヒダントール錠25mg
◎切り変え1週間後、 必ず血中濃度を測っ て下さい。

 フェニトインの血中濃度 は年齢差、個人差が大き いため、60〜80%という 数値もひとつの目安にす ぎず、切り変え前後には 必ず血中濃度をモニタリ ングしながら患者個々で の処方量を調節すること をお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

     2002年4月1日号 No.334  添付文書の読み方(4)

* 非線形速度過程

 薬の血中濃度は、普通服用量が2倍になれば2倍になり、4倍になれば血中濃度も4倍になるなど、ほとんどの薬が服用量に比例して血中濃度が上昇します。このようなものを線形速度過程と言います。
しかし、例外もあります。それが非線形の速度過程を示す薬物です。

 例えば、イトリゾールでは50mg服用で37.0ng/ml、100mg服用で132.2ng/ml、200mg服用で215.6ng/ml
となっており、2倍の服用量で血中濃度は3.6倍、4倍で5.8倍です。このように服用量以上に血中濃度が上昇している速度過程を「非線形速度過程」と言います。

 なぜこのような事が起きるのかというと薬の代謝酵素の量に限界があり、一定量しか代謝できなくなって処理しきれずに血中の薬物濃度が高くなってしまうのです。

 したがって、こういう薬は、併用した場合、もし同一の代謝酵素を共有することがあると、代謝酵素阻害が起きて血中濃度が上昇してしまいます。

 添付文書の血中濃度曲線を見る必要があります。

 アレビアチン(フェニトイン)の経口投与量と血漿中濃度の間にはいわゆる非線型の関係があります。
 服用量を増加していくと、血漿中フェニトイン濃度は、それに比例せず右上がりに急速に増加していきます。これは肝臓でのフェニトインの代謝過程には、飽和現象があり血中濃度がどんどん上昇していくと肝臓の解毒処理がキャパシティー・リミットになってしまうからです。

 そのため、一定の投与量を超えると急に、中毒量、致死量になってしまう可能性があります。

     {参考文献}添付文書の読み方 協和発酵  菅野 彊 編集 等


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 CmaxやAUCなどの体内動態パラメーターが投与量に比例しない場合、その医薬品の薬物動態は非線形であるといいます。

 非線形の薬物動態を示す医薬品では、用量を変化させた場合の血中濃度、ひいては体内動態の予測が困難となります。

 一般的に非線形の薬物動態の原因としては、投与量の増加に伴う吸収、代謝あるいは分布の飽和などが挙げられます。

 ケトライド系抗生物質テリスロマイシン(ケテック錠)では、CYP3A4阻害により、投与量の増加とともに代謝が飽和したことにより非線形になると考えられています。


アカウンタビリティー
シリーズ:情報を考える       は
こちらの方に移動しました。


<医学・薬学用語辞典>2004年6月1日号 No.384

 Food faddism   メディアリテラシー、ヘルスリテラシー

Faddismは流行、熱中、気まぐれなどの訳があります。

 マスコミ等の宣伝を信じ、食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に信じたり評価することをFood faddismといいます。

 学会から一般家庭に試験管の実験結果がそのまま伝わるような傾向があり、そのままでは人間に通用しない場合や効果を現すには食べる量が莫大になるなどの情報が伝わっていないケースが頻繁に見受けられます。

 これに似た言葉として「みのもんた症候群」とうのがあります。 10Ch(関西地方)でお昼にやっている「思いっきりテレビ」。ココアが体に良いとみのもんたが言ったとたん、ココアが市場から無くなったという。

 これらに対抗する処置として、メディアリテラシーという言葉を知っておくと良いでしょう。

 メディアリテラシーとは、メディアの発信する情報を批判的に読みとることです。

 情報発信者側は常に何らかの意図を持って情報を発信しており、視聴者はその意図をくみ取ることで情報に何らかのバイアスがかかっていることを認識しなければなりません。

 特にメディアから提供される栄養情報を初めとした健康・医療関連情報の信憑性判断には科学的・論理的な思考、利点とリスクについての配慮が必要です。

 近年、米国ではヘルスリテラシーが注目されています。これは、保険医療環境で生きていく上で基本的な読解力、計算力を含んだ総合的なスキルのことを指します。つまり、健康・医療情報を適切に読み、理解し、行動するためには相当のヘルスリテラシーが必要となります。

 インターネットが急速に普及し情報量が爆発的に増加している現在、メディアリテラシー、ヘルスリテラシーが能力の一つとして求められています。

   {参考文献}日本病院薬剤師会雑誌 2002.8 等

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

* 疾病期待症候群

 患者の期待した病名を患者に告げないと、「なによ、あの先生!」とヤブ医者にされる。また『エブリシング・アレルギー症候群』というのもあります。

  クリック→ シリーズ医薬品情報を考えるも参照して下さい。

 

メインページへ