みんなの広場
(2010年10月に移動)

トップページに戻る

総目次に戻る

改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)10に戻る

 アクセスされた方々との交流の場です。今月も次の3項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「12 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
 9月も、お彼岸の23日頃までは、目もくらむような暑い日が続きました。その頃、久しぶりに雨が降った後、急に涼しくなり、特に夜は厚い夜具を引っぱり出す程でした。月末には、やっと例年並の気候に戻ったようです。
 ピンクのコスモスの花や赤い彼岸花が咲いています。やっと散歩や庭仕事に向いた季節になりました。

1.「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  「『日本語が亡びるとき』再考 方言と日本語と英語の関係」という作家 池澤夏樹さんの記事を載せました。

2. 9月のトピックス
 9月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 スカイツリー見学旅行
  9月4日、大の時の同級生6名とその夫人合計12名で東京スカイツリーなどの見学に行ってきました。右の写真は東武伊勢崎線「業平(なりひら)橋駅」際に建設中の新しい電波塔「東京スカイツリー」です。
 2.2 マティスJazz展
  9月18日、銀座1丁目にあるポーラ ミュージアム アネックスでやっている標記の美術展を見に行きました。
 2.3 文京シビック合唱団
  9月25日、ハイドン作曲チェチリア・ミサを文京シビック大ホールにテニス仲間と聴きに行きました。

3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 「今月の追加内容」など
 1.1 「今月の追加内容」
 「6 私の愛読書 5」に「15. 村上春樹 ロング・インタビュー」を追加しました。氏の話題作「1Q84」のBOOK1〜BOOK3を読み終わった今年の夏に、この記事が出たので、載せました。
 「8 ウオーキング・旅行」の「47 大田区の散歩道8 六郷用水」「6. 個別の水路」に「4 新蒲田から北前掘緑道」を追加しました。個別の水路としては六郷水門を終点とする二つと、南前堀を終点とするコースの三つを残すだけになりました。
 「11 興味あるリンク」には、「10.2 絵画」に「10.2.30 ポーラ ミュージアム アネックス」、「11 趣味2−旅行」に「11.79 東京港臨海大橋」を追加しました。両項目とも、この頁の「2.1 スカイツリー見学旅行」および「2.2 マティスJazz展」に関連した内容です。

目次に戻る

 1.2 新聞の記事から 「『日本語が亡びるとき』再考 方言と日本語と英語の関係」 池澤夏樹
 アイヌ語の辞書が必要になって、地元でいちばん大きな書店に行った。
 先日、敬愛する石牟礼道子さんのお宅へ伺った時、『萱野茂のアイヌ語辞典』がいかに読んでおもしろい辞書であるかと吹聴した。それで現物をお見せすべきだと思ったのだ。
 広い店内で語学のコーナーを探したが見あたらない。店内の検索システムに問うと、なんと日本文学の一角、「方言」のところにあるという。
 アイヌ語は日本語とは系統を異にする言語であって、いかなる意味でも日本語の方言ではない。しかし日本国内で用いられる言葉であるという意味では確かにこの国に属する。書店の側も考えたあげくのことだろう。
 ここで思い出すのは、岩波文庫が『アイヌ神謡集』と『アイヌ民譚集』を翻訳文学として赤帯に分類していることだ。琉球の『おもろさうし』が日本文学の古典を集めた黄色の帯になっているのと対照的で、これも微妙な判断ではなかったか。
 石牟礼道子の文学は水俣という小さな地域の方言の上に成り立っている。
 『苦海浄土』の中である漁師の言葉「あねさん、魚は天のくれらすもんでござす。天のくれらすもんをただで、わが要ると思うしことってその日を暮らす。これより上の栄華のどこにゆけばあろうかい」という豪語の心意気は標準語では伝わらない。
                                    <<<   >>>
 それがきっかけで二年前に刊行されて議論を巻き起こした水村美苗の『日本語が亡(ほろ)びるとき』を思い出した。
 あそこにある日本語と英語の関係はある程度まで方言と標準語の関係に重なってくると思ったのだ。
 あの本の内容をもう一度ぼくなりに要約してみれば、言葉はその機能によって普遍語と現地語、それに国語に分類されるというのが出発点。
 現地語というのは各地域で日常使われている言葉。地域が変われば言語も変わる。
 普遍語は、往時のラテン語や漢文のように、現地語の上に覆(おお)い被(かぶ)さって広範囲で共通の知の道具として機能する言葉。これを身に着けることが知識人となることであり、現地語の範囲を超える普遍的な思想に接するにはこれを学ぶしかない。
 国語は国民国家の成立に伴って一国の中で広く通用するように整備された現地語で、領域を限定された小さな普遍語とも言える(とぼくは考える)。標準語とか共通語というのはこれで、今、我々はもっばら国語に依(よ)って生活を営んでいる。
 今の問題は英語という一国語が普遍語化して他の国語を圧倒しようとしていることだ。
 経済がグローバルになるにつれて、それを動かす言語を一本化しようという傾向が生じる。
 楽天やユニクロなど、社内の「公用語」を英語にしようとする会社が増えている。世界ぜんたいで商売をするには言語は一つの方がいい。英語は決して習得しやすい言語ではないが、こういうことはなりゆきで決まるものだから、英語化の勢いは止まらない。
                                   <<<   >>>
 問題はこの勢いが文学にまで至るか、という点だ。
 日本語はそれを母語とする使用者が一億を超えるなかなか大きな言語である。しかし、使用者のほとんどは日本国内にいて、海外への普及は無いに等しい。そこには二十世紀前半になって東アジア太平洋地域にいささかの植民地を得たがそれ以上ではなかったという歴史的事情が絡んでいる。敗戦後は日本語の海外普及など考えもしなかった。われわれは夜郎自大だったかもしれない。だからこそ水村の本はショックだった。
 今、科学の領域で何か発表したい考えを持つ者はためらいなく英語を使うだろう。科学は最も普遍を求める営みであり、大発見を日本語の内にしまっておくのはナンセンスだ。
 しかし、文学はその根を人々の日常生活に持つ。日本語で行われる会話を日本語で記述するのが日本文学であると定義してもいいくらい。海外に読み手を得るには翻訳という過程を経る必要がある。
 その一方、母語を捨てて習得した言語で小説を書く作家は少なくないのだ。コンラッドやナボコフ、ミラン・クンデラ、身近なところでは中国語から日本語に移った楊逸などがいる。英語圏では旧植民地出身の作家の台頭がめざましい。ジュンパ・ラヒリもマイケル・オンダーチェもC・N・アディーチェもそういう出自である。
 自分の思いは世界に通用すると思った日本の若い作家が英語で小説を書き、インターネットで発表する。そういう中からヒットが生まれて追従者が増えるかもしれない。
 しかし、生活語としての日本語はまず消えない。識字率の高い一億の人口はマーケットとして充分なサイズと考える作家はこれからも長く日本語で書き続けるだろう。
 方言が失われたのは国民国家が標準語を強制したからだった。それで失われた生活感は少なくないし、そのところを石牟礼文学は掬(すく)い上げた。
 この先、英家が標準と日本文学はどう関わっていくのだろう。   (作家)
(出典 朝日新聞 2010.9.7 夕刊 「終わりと始まり」)

目次に戻る

2. 9月のトピックス
 9月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 スカイツリー見学旅行
  東京タワーの後釜として墨田区に建設中の東京スカイツリーは、地上ディジタル放送のアンテナ塔として2012年春に完成予定です。はとバスが東京スカイツリーの見学を主としたコースを用意しているので、同級生の仲間で参加することにしました。9時半にJR東京駅南口を出発し、建設現場に近いインフォプラザで説明を聞いた後、屋上からツリーを眺め、写真を撮りました。次にJR錦糸町駅の近くにある東武ホテル 「レバント東京」で東京スカイツリー を正面に眺めながら昼食(和食)を摂りました。午後からは葛西臨海公園に移動し、建設中の東京港臨海大橋(仮称)を船上より見学しながらお台場に移動しました。臨海公園では少し自由時間があったので、水族園を駆け足で見学しました。東京港臨海大橋は東京港第三航路を跨ぎ、中央防波堤外側埋立地と若洲を結ぶ現在建設中の橋です。お台場では残暑で暑かったため、「ホテル日航東京」で休憩しました。バスでレインボーブリッジを渡り、5時少し前に東京駅に戻り解散しました。いつもは都内または横浜で昼食会をすることが多いのですが、たまにはこのような小旅行も楽しいものです。
 2.2 マティスJazz展
  大分前に、友人夫妻と4人でパリのポンピドー・センターへ行ったとき、マチスのジャズを見て感心し、ポスターを買ってきて部屋に掛けてあります。このシリーズ20枚が銀座で見られるとの新聞記事を読んで、銀座1丁目にあるポーラ ミュージアム アネックスに行ってきました。ポーラは箱根に美術館があり、印象派や藤田嗣治の良い絵を収蔵しています。マチスの絵の特徴は何といっても、その色彩にありますが、最晩年の作品である本シリーズも人物などの形といい、色彩といい子どものような自由さです。切り絵が元になったステンシルのようです。
 2.3 文京シビック合唱団
  神宮テニスクラブの仲間が出演するので、この季節になると誘い合わせて発表会に出かけます。今年はハイドン作曲チェチリア・ミサ曲が演奏される第8回定期演奏会でした。指揮は松尾葉子さんで、独唱はソプラノは金持亜実さん、アルトは小野綾香さん、テノールは渡辺大氏、バスは中川郁太郎氏でした。オーケストラは芸大フィルハーモニアで、東京芸術大学管弦楽研究部オーケストラだそうです。いつもながら気持ちの良い、楽しい演奏でした。テニスの仲間も高齢化が進み、こういう機会でもないとなかなか集まれません。

3 来月の予定
 「15. 村上春樹 ロング・インタビュー」の「3. 概要」[3日目] が間に合わなかったので、この追加を最優先します。
 3.1  本の紹介
  「5 本の紹介」に、五人づれ著「五足の靴」(岩波文庫)を載せる予定です。
 3.2  ウオーキング・旅行
  「8 ウオーキング・旅行」に「六郷用水個別水路 『鮹の手から六郷水門東側』」を採り上げたいと思います。
 3.3 リンク集
  「興味あるリンク」を、少しずつ追加したいと思っています。

改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)10に戻る

トップページに戻る

総目次に戻る

[Last Updated 10/31/2010]