みんなの広場
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改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)10に戻る

 アクセスされた方々との交流の場です。今月も次の3項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「12 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
 3月も寒い日が続きました。お彼岸を過ぎたというのに冬のような寒さでした。それでも桜は、開花しつつあります。晦日になって、やっと暖かい日差しが戻ってきました。

1.「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  「山修行で我執を捨てる 古来の宗教観に戻れ 修験道と現代」「田中利典さんに聞く」という記事を載せました。

2. 3月のトピックス
 3月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 歌舞伎座 3月大歌舞伎
  3月11日、「歌舞伎座さよなら公演御名残3月大歌舞伎」第1部に家内と行きました。
 2.2 ルノワール展
  3月25日、六本木の新国立美術館で開催中の展覧会に家内と出掛けました。右の写真は展示してあった「プージヴァルのダンス(1883年 油彩 181.9 x 98.1cm ボストン美術館蔵)」です。
 2.3 お花見
  3月31日、V Age Clubの地元の仲間たちと、本門寺と馬込の桜並木へお花見に行きました。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 「今月の追加内容」など
 1.1 「今月の追加内容」
 「8 ウオーキング・旅行」に追加した「47 大田区の散歩道8 六郷用水」は、昨年秋から今年の1月にかけて歩いたコースです。今月は概要で、来月以降、詳細を載せる予定です。
 「6. 私の愛読書」の「10 司馬遼太郎氏 韓の国紀行ほか」に追加した「耽羅(たんら)紀行(街道をゆく28)」は、昨年(2009年)11月末〜12月始めに旅行した済州島を扱った司馬遼太郎さんの作品です。
 「11 興味あるリンク」には、「9 日本文化」に「9.6 修験道」を、「10.2 絵画」に「10.2.26 ルノワール展」を追加しました。最初の項目は、このページの「1.2 新聞の記事から」に、次の項目はこのページの「2. 3月のトピックス」「2.2 ルノワール展」に関連した内容です。

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 1.2 新聞の記事から  「山修行で我執を捨てる 古来の宗教観に戻れ」  修験道と現代 田中利典さんに聞く

あなたは無宗教でない
 2月下旬、平日の昼下がり。桜の季節にはごった返す奈良県吉野山に、人かげはまばらだ。修験道の本山、金峯山寺(きんぷせんじ)を訪れると、山伏の田中利典さん(54)の話は、日本人の宗教意識から始まった。
 「『宗教』とはそもそも、明治になって英語のレリジョンを翻訳した言葉ですよね。ですから、この語は欧米が宗教をどうとらえているかを反映している。それは、唯一絶対の神を持つ一神教にこそ価値があるという考え方です。もちろん日本も古来、信仰、信心がありました。しかし、唯一絶対の神はいなかった」 「お宮参り、初詣で、墓参り、結婚式、葬式。生まれてから死ぬまで宗教に触れていながら、尋ねれば『私は無宗教』と答える人が多い。無宗教とは、宗教的なものにかかわらないということです。日本人は無宗教ではないのに、一神教の立場からは、いいかげんに見えてしまう」
 「あなたの言うのは習慣、風習であって、宗教ではないと反論されるかもしれませんが、私は風俗になっているものこそ宗教だと思う。あれもよい、これもよいという、ごった煮で大ざっぱなものを欧米は宗教とは呼ばない。でも日本では宗教です。卑下する理由はありません」
 自然の中に神、仏を見る。自然を神、仏そのものだと惑じて畏(おそ)れる。そういう心性で、自然とどうつきあうかを問うてきたのも日本人ではなかったか。それは確かに、宗教心といっておかしくない。
 「こうした心のありようは明治以降、次第に壊され、忘れられてきました。神仏をともに大切にし、『ご先祖さまに顔向けできない』とか、『お天道さまが見てござる』と言って、自分を超えたものに価値を見いだす。そういう倫理観が昔はあった。今はすっかり自分中心になりましたが、それでも宗教は生活のあちこちに残っています」

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世界は思うようにはなりません
 ごった煮で大ざっぱな宗教心は、猥雑(わいざつ)に通じる。その猥雑性が修験道にはあると、田中さんは説く。
 修験道は「日本古来の山岳信仰に神道、仏教、道教などの思想が融合してできあがった」といわれる。しかし、そんなにスパッと割り切れる修験道は見たことがないという。
 山の宗教、山伏の宗教であり、山修行という実践を旨とする宗教であり、大自然のそこかしこに聖なるものを見いだす多神教の宗教である、と田中さん。ただ、庶民の間で芽生え、伝えられてきたものだから、臨機応変、融通無碍(ゆうずうむげ)なのだという。
 「修験道の修行とは、山で自然と向き合い、己の体を使って超自然的な力、霊的な力を感得する、ということです。得られる力を験力(げんりき)といいます。そのための方法論が修験なのです。だから、『教』でなく『道』であり、山伏にはお坊さんも神官も、もちろんアマチュアの方もいる」
 「昔の山伏は山に入りっ放しだったのでしょう。今では修行は非日常であり、非日常で得た力を日常に生かす、それが修験です。山を歩けばその人なりに何かがつかめる。道中を行ずる、その過程に最も大きな意味があって、ただ目的地に着くために歩いているわけではありません。巡礼と似ているかもしれません」
 吉野から熊野へ。「靡(なびき)」と呼ばれる聖なる場所に祈りをささげながら、170キロを7泊8日で歩き通す大峯奥駆(おおみねおくがけ)は、肉体的にもきわめて厳しい難行として知られる。そうした修行で得られるものとは何だろう。

 「我(が)を解き放つ、ということです。我執があるからこそ、つらかったりめげたりする。自分の都合通りにならないと理不尽だと思う。かといって、世界は自分の思うようにはならないものだと頭で考えていても心に刻まれません。自然の中で体を酷使して聖なるものに触れる。その体験によって、我を捨てるという意味を心に刻むことができます。我にとらわれなければ、理不尽だという思いもなくなる。きのうをくよくよし明日を心配する。そんな自分を超えたものと対峙(たいじ)することで、心は本当に楽になります」

まだ間に合います
 歌舞伎「勧進帳」の弁慶を思い浮かべるまでもない。かって修験道、山伏は身近な存在だった。田中さんによれば、人口3500万人だった明治初年の日本に、修験者が17万人いた。その後の神仏分離政策で、神仏習合にもとづいていた修験道には廃止令が出された。金峯山寺も一時、廃寺の憂き目をみている。今また関心を集めるのは、行き過ぎた「自分中心主義」への反省からだろうか。
 「修験では『山の行(ぎょう)より里の行』とよく言います。二つの意味があって、一つは山での修行を日常で生かすということ。もう一つは、本当に困難なのは日常の生活なんだということです。その日常がいまは我執にがんじがらめになっている」
 「しかし、日本人が古くから持っていたものがいかに大切か、気づかなければならない。三つ子の魂百までと言います。私たちは自分の外にあるさまざまなものを畏れ、宗教的な価値を見いだしてきた。今は習慣に残っていることの意味を忘れていますが、まだ間に合う。思い出せる」
 「自分も山の修行に行っていなければいやな坊さんになっていたと思う。山修行は大嫌いでしたが、山中を歩く中で自分に届いてくることはおのずから違います。仏教も近代合理主義に染まって、頭の中でのみ考える傾向がありましたから」
 「一即多」という言葉がある。金峯山寺では本尊、金剛蔵王権現が信仰の中心だが、他を否定はしない。一に集約できる多神教、あるいはすべてを肯定する一神教――。宗教の世紀ともいわれる今世紀の修験道の核心は、そのあたりにありそうである。  (編集委員 小林省太)
 たなか・りてん
 金峯山修験本宗宗務総長、金峯山寺執行長。1955年京都府生まれ。龍谷大仏教科、叡山学院専修科卒。修験道の山伏であり、仏教の僧侶でもある。京都府綾部市の林南院住職。「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録にも尽力した。著書に「はじめての修験道」「熊野 神と仏」など。
(出典 日本経済新聞  2010.3.4 夕刊)

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2. 3月のトピックス
 3月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 歌舞伎座 3月大歌舞伎
  歌舞伎座さよなら公演御名残3月大歌舞伎第1部は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 加茂堤」、「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」、「女暫(おんなしばらく)」の3本でした。加茂堤は舎人(とねり)桜丸が梅玉、苅屋姫が孝太郎、八重が時蔵です。五三桐は石川五右衛門が吉右衛門、真柴久吉が菊五郎で、女暫は巴御前が玉三郎、舞台番が吉右衛門です。4月から歌舞伎座が工事のため、今月は第1〜第3部の三回公演とあって、最初の2作は舞台が15分、幕間が30分で、顔見せ興業の感がありました。
 2.2 ルノワール展
  副題を「伝統と革新」とする美術展が新国立美術館で開催中です(4月5日まで)。作品を「第1章 ルノワールへの旅」「第2章 身体表現」「第3章 花と装飾画」「第4章 ファッションとロココの伝統」という四つのテーマで分類し、展示しています。半分くらいは国内にある絵で、残りが海外からの作品です。第2章 身体表現は裸婦が中心で、見応えがあります。ほかにポーラ美術館の協力で、光学的な調査に基づき、絵の具の種類や下地の絵の具の分析をしているコーナーが参考になりました。
 2.3 お花見
  今回のお花見は、地元の本門寺と馬込の桜並木です。本門寺は五重塔の周りに桜の大木があります。桜並木は都営地下鉄西馬込駅近くの善照寺から、龍子記念館までの約5百メートルの間にあります。人混みをかきわけてお花見をした後、バスで大森に出て、小さな中華料理店で乾杯しました。

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3 来月の予定
 3.1 ウオーキング・旅行
  「8 ウオーキング・旅行」に、大田区にある「六郷用水跡」の続編を載せたいと思います。
 3.2 趣 味
  「9 趣味」の「5 演劇」に、今月見に行った歌舞伎座3月公演第1部「菅原伝授手習鑑 加茂堤」ほかを載せたいと思います。
 3.3 リンク集
  「興味あるリンク」を、少しずつ追加したいと思っています。

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[Last Updated 4/30/2010]