Jブンガク
異文化として読む文学(英訳で読む日本文学)
NHK 教育TVの火〜金曜日 午前0:25〜0:30
  目 次

1. はじめに
2. 番組紹介
3. 週刊誌による紹介
4. 内容紹介
5. 出演者紹介
6. おわりに

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1. はじめに
 NHK総合TVの13時05分から「スタジオパークからこんにちは」という番組があります。今年(2009)の6月15日に何気なく見ていたら、その日のゲストはロバート・キャンベルさんでした。日本の古典文学に詳しい変な外人だと思っていたら、今回ご紹介する「Jブンガク」という番組のあることがわかりました。真夜中に放映されるので番組を録画しておき、翌日に見ました。1、2度見た後でテキストを買い、内容がわかりました。ともかく変わった番組です。概要を「2. 番組紹介」(新聞に載った番組紹介です)と「3. 週刊誌による紹介」で説明し、足らないところを「4. 内容紹介」で少し詳しく説明します。

2.番組紹介
 たった5分で、格式高い「文学」がポップではじけた「ブンガク」に読み替えられてしまう。NHK教育で月〜木曜深夜0時25分から放送の「Jブンガク」。江戸文学研究の権威で東京大学教授のロバート・キャンベルと、歌手・作詞家の依布(いふ)サラサが、「金色夜叉」や「三四郎」についておしゃべりする番組だ。
 総合・衛星第2で放送した「英語でしゃべらナイト」と同じ制作スタッフが手がけ、「語学番組の枠を超えた異文化コミュニケーション番組」を掲げるだけあって、「お勉強」という息苦しさは感じられない。
 冒頭、英語で作品の一節が紹介されると、「文学」が海外からの視点による「ブンガク」に異化され、全く別の作品であるかのように「どんな内容だろう?」と気になってくる。
 さらに、依布の解釈がこれまた常識のしがらみを外してくれる。何せ「金色夜叉」が、「昼ドラな本」なのだ。
 こんな読み方、国語の授業では教えてくれない。キャンベル教授も同じように感じるそうで、別のNHKの番組に出演した際に「大学の授業ではありえない読み方」と話していた。
 なるほど、その戸惑いこそ異文化と出合った時の心地よい違和感ではないか。番組は文学との異文化コミュニケーションなのだ。そんなことが出来るのも、作品に幅があるから。文学の魅力も再発見できる。 (高津祐典)
(出典 朝日新聞 2009.6.26)

3. 週刊誌による紹介 外国人から支持を集めるNHK「Jブンガク」
 NHE教育の『Jブンガク』(火〜金・0時25分、再放送=翌週月〜木・6時25分〜)という番組をご存じか。
 放送しているのは深夜か早朝、おまけに時間がたったの5分という超ミニ番組なのだが、これがちょっとした評判なのである。
 この番組、東大大学院教授で日本文学者のロバート・キャンベル氏と、作詞家・シンガーの依布サラサさんが、毎回1人の作家を取り上げてその作品を語り合うというもの。
「取り上げる作品は、松尾芭蕉の『奥の細道』から林芙美子の『放浪記』、そして山田詠美と古今を開いませんが、毎回、キャンベルさんがチョイスした作品にサラサさんが感想を述べるというスタイルで進んでゆきます」(NHKの関係者)
 外国人が選んだ古典を日本の若者が批評する、そんな姿が意外に新鮮だったりするのだが、ちなみに依布サラサさんは井上陽水の娘さんだとか。
 また『Jブンガク』は、日本語版の翌週に"完全英語版"を放送しており、こちらはキャンベル教授がすべて英語で語る。もちろん、字幕で読めるのだが、"英語版"は作品の魅力により突っ込んだ感じ。
 番組プロデューサーの松澤祐介氏が言う。
「この番組を始めたのはもともと日本に住む外国人に日本文学を知ってもらうという趣旨でした。そのいっぽうで、やはり日本の若者にも文学の魅力を再認識してもらいたい。そこで、ロバート先生と依布サラサさんとの掛け合いを見せることで、作家や作品の魅力を改めて知ってもらえれば、と思っています」
 金をかけたゴールデンタイムの番組にはない不思議な"テイスト"があるのだ。
(出典 週刊新潮 '09.7.23)

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4. 内容紹介
 2009年6・7月号の分類としては、つぎの四つです。「俎(まないた)の上の日本文学」「たのしみは−数え上げ、世界を見つめ直す」「災害の物語」「ぶらりぶらり〜旅の苦労は人生の宝なり」。このうち3番目の「災害の物語」を例にとって詳しく見ると次の通りです。第25回「方丈記」鴨 長明(日本語6月30日 英語7月7日)、第26回「夢の浮橋」(日本語7月1日 英語7月8日)、第27回「きもの」幸田 文(日本語7月2日 英語7月9日)、第28回「細雪」谷崎潤一郎(日本語7月3日 英語7月10日)。日本語の週と英語の週は1週間ずつ交互にあります。日本語の時はロバート・キャンベルさんも、依布サラサさんと日本語で対話します。英語の週は前週と同じテーマをロバート・キャンベルさんだけが英語で説明します。
[テキストの構成]
 各回が4ページで構成され、次のような内容です。
<作品への入口> 作品のあらすじ、著者について、時代背景などを日本語と英語で紹介しています。
<原文の世界・英訳の世界> 日本語の原文と英訳の一部分を掲載しています。テーマに沿ったおもしろみのあるシーン、有名な一節を抜粋しています。両方を読み比べてみましょう。
<本日のフレーズ> 作品の英訳に登場する、日常よく使われる英語表現や、文学的味わいのある英語表現を取り上げて解説します。英語的発想に触れてみましょう。
<エッセイ> 作品にまつわるエッセイです。作品の意外なおもしろさ、あまり知られていなかった歴史的なことなど、新たな発見があるでしょう。
<読書への誘(いざな)い> その週に取り上げた作品の普及版、文庫版など入手しやすい書籍や、その週に取り上げた作家のほかの代表作などを紹介しています。今後の読書案内として活用できます。

5. 出演者紹介
ロバート・キャンベル Robert CAMPBELL
 1957年、ニューヨーク生まれ。日本文学研究者。カリフォルニア大学バークレイ校卒業後、ハーバード大学大学院日本近世文学専攻博士課程修了。 1985年、九州大学文学部の研究室に研究生として日本に留学する。
 その後、 国立国文学研究資料館助教授を経て、2007年、東京大学大学院総合文化研究科教授に就任。専門は江戸時代から明治期の日本漢詩文。主な著書に「読むことの力」「江戸の声」など。
 NHKでは、日本文学の魅力を、英語という新たな角度から読み解く5分番組「Jブンガク」(教育テレビ)に、現在出演中。

6. おわりに
 この数週間は、この番組を録画しておき、テキストを片手に見ています。ともかく今まで無かった変わった番組で、古典文学(一部は近代・現代文学)を二人の出演者が掛け合いで説明します。さらに翌週には、同じ内容を英語で説明します。私でも読めないような筆書きの崩し字の文字をロバート・キャンベルさんは読みこなすようです。毎晩5分間と時間が短いのも良いと思います。依布さらささんは歌手の井上陽水さんの娘だそうで、テーマ曲の作詞・作曲も手がけています。知らず知らずのうちに文学作品に親しむことができます。
 この番組で紹介された川上弘美さんの「蛇を踏む」(芥川賞受賞作品)を読むことにしました。

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[Last updated 7/31/2009]