みんなの広場
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改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)09に戻る


 アクセスされた方々との交流の場です。今月も次の三項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「12 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
 3月は、暖かい日が続き桜の開花が東京では23日と早まりました。ところが月末になって寒い陽気に変わり、満開になるのが遅れました。開花時期が長くなるという効果がありましたが、花冷えの日が続いています。
1. 「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  現在の閉塞感を打ち破るのには、日本の得意とする文化に力を入れよという青木 保文化庁長官の記事「閉塞打破、文化を起爆剤に」を載せました。
2. 3月のトピックス
 3月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 ニセコスキー
  今シーズン最後のスキーとしてニセコに行きました。右の写真はニセコスキー場のゲレンデからエゾ富士といわれる羊蹄山(ようていざん)を写したものです(平山一清氏撮影)。
 2.2 ストーン夫人のローマの春
  渋谷のパルコ劇場で上演中の、テネシー・ウィリアムズ原作の公演に家内と行きました。
 2.3 「生活と芸術−アーツ&クラフツ」展
  上野の東京都美術館に家内と見に行きました。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 「今月の追加内容」など
 1.1 「今月の追加内容」
 「5 本の紹介」の「33 ゴッホ巡礼」は、ゴッホの生地ズンデルトから終焉の地オーヴェール・シュル・オワーズまでを訪れながら、画家の一生を追っています。
 「9 趣味」「2. パソコン」に「8. iMacのその後」は、アップル社のアイ・マックを利用しての経験のご紹介です。一般の方には専門的過ぎるかも知れませんが、少しでも興味のある方には、参考になるのではと思っています。
 「11 興味あるリンク」には、「10 趣味1−絵画ほか」「10.7 その他」に「10.7.8 生活と芸術---アーツ&クラフツ展」を、「16 人」に「16.5 ウィリアム・モリス」を追加しました。いずれも、この頁の2.3項「生活と芸術−アーツ&クラフツ」展の関連です。

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 1.2 新聞の記事から 「閉塞打破、文化を起爆剤に」 創造力の基盤強化を 地域からグローバルに発信
                                                青木 保 文化庁長官
[ポイント]
・経済危機の中、日本の文化水準は高い評価
・社会の停滞を打ち破る文化力、今こそ磨け
・各国が文化の活性化に着目、日本も正念場

 世の中全体が何か言いようのない閉塞(へいそく)感に包まれている。こうしたときには、一般に行われている経済・政治あるいは社会格差・犯罪といった面から離れ、一度別の角度から見たらどうだろう。例えば文化の面から見たらどうなるであろうか。
 ここでいう文化とは、芸術や大衆文化、音楽や美術からアニメ・マンガ、料理やファッション、建築などを含む広い意味での文化全般とまず置いておきたい。
 その文化であるが、現代日本の文化はいま世界で幅広く受容され高く評価され愛好されている。文化に関して日本は決して停滞などしていない。最近でも米アカデミー外国語映画賞に「おくりびと」(滝田洋二郎監督)、短編アニメーション映画賞に「つみきのいえ」(加藤久仁生監督)が受賞し、世界三大映画祭の一つベルリン国際映画祭では国際批評家連盟賞とカリガリ賞に日本の「愛のむきだし」(園子温監督)が輝いた。
 文学では村上春樹氏がイスラエルの文学賞、エルサレム賞を受賞した。この賞はバートランド・ラッセルなどノーベル賞受賞者が歴代の受賞者として名を連ねる栄誉ある賞である。さらに現代アートの村上隆氏の作品展は世界の美術館で最も声望の高い展覧会となっているし、その作品も日本人の作品としては最高値をニューヨークのオークションで付けた。一昨年はロンドンの大英博物館の招聘(しょうへい)展覧会として日本の伝統工芸展が選ばれ大成功を収めた。文化コンテンツ産業を見ると不況の中でもゲーム・ソフトの任天堂は大きな経常利益を計上している。
                                ◇◇◇   ◇◇◇
 「ジャパン・クール」と称されて現代日本のアニメ・マンガからデザイン、ファッション、料理、小説、ポップス音楽、美術、建築など文化創造が世界的に注目され愛好されている事実が指摘されて久しい。現代日本の文化には日本社会が抱え込んだ停滞を打ち破るような力がある。
 それらに共通するのは地域社会や個人の生き方も含めて今日の日本というローカルな場に創造性の根拠を置きながら、そこから発するメッセージが極めてグローバルに訴える力を潜めていることだ。グローバルな画一性を求めて伸展してきた市揚経済の展開の仕方とは対照的に、個人や地域に場を設定してのローカルでグローバルな発信に特質がある。

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 例えば今回の米アカデミー賞の日本作品の受賞には、世界に訴える日本文化のもつ特徴が端的に現れている。「おくりびと」は葬送における納棺の仕事に図らずして就いた男性の話だが、この男性は本来オーケストラのチェロ奏者としてやっていくつもりが楽団を解雇され仕方なく故郷に帰り仕事を探した末に納棺師となった。山形の美しい自然を背景に展開される映画だが、主人公は死者の弔いに直接携わりながら生と死の問題への理解を深めていく。その姿にはローカルであると同時にグローバルなメッセージが込められており、現代世界に対して極めて深く人間的に訴える力がある。
 いま必要なのは何か現状を打破していく気持ちを人々の中に目覚めさせる創造的な力である。しかし、これは簡単に得られるものではない。
 ローカルにしてグローバルといえば、オバマ米大統領の出現は米国政治というローカルな政治現象を一挙にグローバルな出来事にしてしまった。バイデン副大統領とともに選挙期間中に出したマニフエスト(政権公約)の中では、米国がグローバル化の中で経済競争に勝ち残るには、何よりも創造力の育成が大切であると指摘している。
 確かに創造力をはぐくむのに芸術教育は欠かせない。クリエイティブに物事をとらえ発展させるには、科学や数学の知識だけでなく芸術教育が必要であり、米国を偉大な国へと発展させた創造性と革新性を今一度取り戻すためにも、芸術のもつ創造力と革新力を教育の中にしっかりと位置づける必要があるというのである。MIT(マサチユーセッツ工科大学)が芸術科目を必修化するなど、既に米国の高等教育ではその必要性が創造力の育成につながると認識され実践されている。 芸術教育は芸術家を単に生み出すだけではなく、情と知のバランスをとり豊かな人間性をもつ人を育てるためにあるということだろう。オバマ大統領の他の政治的な主張は別として、創造力を育てるための芸術教育の重要性を説く部分には共感を抱く。
 重要なのは創造力を育成する観点での文化芸術教育を、本格的に日本の公教育の中に位置づけることだ。子どもが文化芸術に直接接することで、そこで得た感動や感激を他者に伝え友達や親とも分け合いたいという強い気持ちが起きる。この気持ちは人々を孤立させず相互理解の端緒となる可能性をもつ。
                                ◇◇◇   ◇◇◇
 そうした世界的に評判の高い魅力ある文化芸術をさらに磨き、創造的な力を伸ばすのには何が必要か。それはいまだ脆弱(ぜいじゃく)な創造の基盤を強化し、世界に向けた発信力を高めることだ。今求められるのは、文化創造と発信の拠点、文化空間であろう。それはバブル期のような巨大な箱物を作るのではなく、極めて戦略的で発信性があり、それが日本全体だけでなく、地域の活性化に結びつくようなものであるべきだ。 そこで考えられる第一が、創造的な都市づくりである。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は文化芸術によるクリエイティブシティーのネットワークづくりを進めている。これは、映画や音楽、デザインなど様々な文化芸術の分野で目覚ましい成果をあげている都市を選んでネットワーク化し、文化創造による都市の発展を促そうとするものだ。ポローニャ(イタリア)は音楽、サンタフェ(米国)はフォークアート、エディンバラ(英国)は文学、ベルリンと名古屋、神戸はデザインといった格好で、多くの都市がネットワークに参加している。

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 また欧州連合(EU)の文化芸術による都市の活性化策「文化首都」制度は、毎年EU内で文化による都市づくりが顕著に見られる都市を指定し、そこで集中的に文化イベントを行い文化による都市の再生を期し、域内の文化発展につなげようとするものだ。フランスのナントや英国のグラスゴー、スペインのビルバオなど、産業や商業が衰退し、荒廃が一時見られた地方都市が、見事に文化創造による再生を遂げている。
 これらを参考に文化庁でも昨年度から「文化芸術創造都市」表彰制度を設けた。日本は世界でも有数の都市中心国であり、地域の活性化も都市の活性化に結びついている。どんな形であれ、文化芸術による都市と地域の活性化は日本全体の活性化につながる。
 こうした都市づくりとならんで第二に必要となるのが、メディア芸術の振興である。先にも触れたように、アニメ・マンガから映像作品や工学的な技術とアートを結びつけるテクノ・アートなどメディア芸術は、その先端性と魅力ある作品で日本が世界に誇る文化芸術であるからだ。
 だが隆盛を極めるアニメ・マンガなどの分野でも、それを継承する人材の問題など難題が多いと指摘されている。創造性と発信性を維持発展させるためには常に対策が必要である。特に、メディア芸術の中心となり、日本に世界の耳目を集める一大拠点となるセンター機関・施設が存在しない。世界の人々が一度は行きたいときたいと思うようなメディア芸術文化センターの設立も視野に入れるべきではないか。
                                ◇◇◇   ◇◇◇
 アジアを見渡しても、国策でアニメ人材を養成しようとする中国や、映画やテレビドラマに力を入れる韓国など、周辺諸国の文化環境は大きく変化している。昨年12月には韓国の済州島で第2回日中韓文化大臣フォーラムが開かれ、対等な立場による三国間の文化交流の推進をうたう「済州宣言」が採択された。広い意味での「東アジア現代文化圏」の形成が進み、アジアの文化創造がダイナミックに展開し、活力が増している。その中で、日本がどのような方向でさらなる発展を遂げるのか、実はいま大きな岐路にさしかかっているのである。

あおき・たもつ 38年生まれ。大阪大博士(人間科学)。政策研究大学院大教授などを経て07年4月より現職
(出典 日本経済新聞 2009年3月5日)

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2. 3月のトピックス
 3月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 ニセコスキー
  最近はシーズン最後のスキーはBSAのスキー講習会に参加しています。今回はニセコでした。3泊4日でニセコ・ヒラフという羊蹄山近くのアンヌプリの山麓に拡がるスキー場で、ホテルニセコアルペンに泊まり、ホテルの前からゲレンデが拡がっています。着いた日の午後から滑りましたが、天気は良かったものの、強風でした。2日目の午後は頂上付近は一時濃霧で、少し下ってやっと霧が晴れました。毎日、粉雪というわけにはゆきませんでしたが、この時期としては恵まれた雪でした。
 2.2 ストーン夫人のローマの春
  「欲望という電車」のテネシー・ウィリアムズは好きな作家です。彼の原作の「ストーン夫人のローマの春」が上演されることを知り、家内と見に行きました。渋谷のパルコ劇場での公演です。演出はロバート・アラン・アッカーマン、主役のストーン夫人には麻実れい、コンテッサが江波杏子、ミスター・ストーンには団時朗、元伯爵のパオロにはパク・ソヒ、若い男は鈴木信二が演じています。
  元々、映画だったものを日本で初めて演劇化したようで、まずまずの出来だと思います。
 2.3 「生活と芸術−アーツ&クラフツ」展
  副題は「ウイリアム・モリスから民芸まで」で英国で生まれたアーツ&クラフツ運動が、民芸として日本にも引き継がれていることを示す展示でした。ウイリアム・モリスは詩人、思想家、デザイナーで安価で粗悪な商品があふれていたのを批判し、中世の手仕事に帰り、生活と芸術を統一することを主張しました。用の美を主張する柳宗悦の民芸運動は少しことなりますが、影響は受けており、再現展示されている「三国荘」はその結果が見られます。
  2004年7月に大丸ミュージアムでアーツ&クラフツ展を見ていますが、民芸との関連という点では、今回の展示の方が良かったと思います。

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3. 来月の予定
 来月は次のような項目を予定しています。
 3.1 本の紹介
  「5 本の紹介」に、司馬遼太郎著「街道をゆく2 韓(から)のくに紀行」(朝日新聞社刊)をご紹介したいと思います。
 3.2 演劇
  「9 趣味」「5. 演劇」に、今月見に行った「ストーン夫人のローマの春」をご紹介したいと思います。
 3.3 リンク集
  「興味あるリンク」を、少しずつ追加したいと思っています。

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[Last Updated 4/30/2009]