みんなの広場
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 アクセスされた方々との交流の場です。今月も次の三項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「12 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
 大寒に入り、寒い日が続いています。それでも月が変われば立春も間近ですし、我が家から近い池上梅園の梅も咲き出しました。
1. 「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  正月にふさわしい記事として、作家の桐野 夏生さんと分子生物学者の福岡 伸一さんの対談、「二つの性、役割と違いは」を載せました。
2. 1月のトピックス
 1月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 浅草名所七福神巡り
  浅草名所七福神巡りに行きました。右の写真は一番北にある石浜神社の写真です。
 2.2 展覧会「セザンヌ主義」
  横浜美術館で開催中の美術展に行きました。
 2.3 初春大歌舞伎
  歌舞伎座夜の部に家内と出掛けました。
 2.4 苗場スキー
  今シーズン2回目のスキーとして、NMCの仲間と出掛けました。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 「今月の追加内容」など
 1.1 「今月の追加内容」
 「3 ボランティア」に追加した「地元のボランティア−ぬり絵」は、昨年(2008年)秋から始めたデイサービスでのぬり絵ボランティアの報告です。
 「「5 本の紹介」に追加した「73 ルリユールおじさん」は、日本の作家による絵本のご紹介です。これを機会に「5 本の紹介2d(絵本)」という独立した項目を設け、すでにご紹介した二冊の絵本もここに集めると共に、「私の愛読書」「安野光雅」に載せていた「絵本 即興詩人」も「72 絵本 即興詩人」として、ここからもアクセスできるようにしました。
 「11 興味あるリンク」には、「10.2 絵画」に「10.2.21 ポール・セザンヌ」と「10.2.22 ポール・セザンヌ−主要作品の解説と画像」の2項目を、「10.7 その他」に「10.7.7 簡単な石造りアーチ橋の作り方」を追加しました。前の2項目は、この頁の『2.2 展覧会「セザンヌ主義」』の関連で、最後の項目は、石造り橋の実験です。

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 1.2 新聞の記事から 「二つの性、役割と違いは」
 女は命つなぐ関係性の動物 「異物」排除する男社会の怖さ
 桐野 夏生さんに 分子生物学者 福岡 伸一さんが聞く (クロストーク)
 この世にはなぜ女と男がいるのだろう。なぜひかれたり反発したりするのだろう。文学と生物学、二つの世界から考える。

 福岡 桐野さんの最新作「女神記」は、南の島を舞台に日本の神話−イザナキとイザナミの夫婦の物語−を語り直そうとした小説ですね。男と女、生と死、聖なるものと穢(けが)れという対立構造を書きながら、その分け方自体、男が勝手に作り出したものじゃないか、そんなのはうそでしょうという、ある種の怒りが込められていると読みました。
 桐野 イザナキとイザナミは日本における呪い、恨みの発祥だという説を知って、興味を抱いたことがきっかけです。特に対立構造を意識して書いたわけではありませんが、言われてみると、男は常に分の悪い方を女に渡してきたように思います。
 福岡 生物学的にみると、男は女に比べて分が悪いんです。地球に生命が誕生して約38億年になりますが、最初の10億年ぐらいは女性が女性だけで生命を紡いでいました。これが生命の基本的な形で、いわは女系社会だったんです。でもそれだと環境の激変に対応しにくいわけです。そこでメスは自らを作り変えてオスを生み出し、遺伝子をシャツフル出来るようにしたのですね。生物の多様性は、ここから生まれました。オスは遺伝子の運び屋です。私は「使い走り」と呼んでいます。
 桐野 おもしろいですね。男と女は細胞が違うんですか。
 福岡 同じです。生殖細胞だけが違います。女の卵子は完全無欠。男の精子は半分は完全、残り半分はちょっと足りない。完全な精子と完全な卵子が結合したら女の子が生まれ、ちょっと足りない精子と完全な卵子が結合したら男の子が生まれます。だから、男は常に女よりもちょっと足りない存在です。
 桐野 そうですか。でも、女は産む性ですから、生物として負担があります。社会的にも、子供の有無を問われたり、産んだら産んだで仕事の他に家事、育児を担ったり、男にはない負担を抱えていることは確かでしょう。小説は、今生きている人間の苦しみや社会とのかかわりを扱いますから、女は格好のテーマではありますね。
 福岡 なるほど。
 桐野 女は命をつないでいく、関係性の動物だと思います。産みっぱなしでは子供は死んでしまう。ある程度の年になるまで育てていかなけれはなりません。だから、人間関係、コミュニケーションを大事にしないと人は死ぬということをよく知っている動物だと思います。「女神記」では、女は「運び屋としてのオスの原理と折り合わず、お互いに「違うね」という形で終わります。けれども、これも互いを受け入れるという一つの和解の形であり、それでいいとも思っています。
 福岡 桐野さんの昨年注目された長編に「東京島」があります。無人島に漂着した女1人と男30人余のサバイバル物語です。生と性の両方が問われる。ずいぶん怖い、文学的な実験をきれましたね。
 桐野 これはモデルがありました。太平洋戦争の末期から戦後直後にかけて、南太平洋のある島で日本人がそういう状況に陥ったことがあります。争いで何人も亡くなりました。私が怖いと思ったのは、女がいるから争いになる。社会が落ち着かなくなる、ということで男たちが女を殺そうとしたことです。性的に追いかけられるのも怖いですが、女がいると秩序が乱れるから、と「異物」を抹殺しようとする男だけの社会の怖さ。それを書きたいと思いました。

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 福岡 女性が1人で男性が多数というのは、オスにとって自分の存在意義が非常に不安定になります。それぞれ男らしさの物語を維持出来なくなるから。ならば女を排除してしまえとなるでしょう。生物学的にはオスはメス多数に対してちょっとあればいい。ある種の魚はメス200匹にオス1匹の割合です。
 桐野 「東京島」を書いた時、逆に女が30人で男が1人の「大阪島」はどうだろう、という話を編集者としました。でも、結構うまくいってしまうのではないか、男は「殿」とか呼ばれて大事にされる。これは受けますか。
 福岡 受けるでしょうね。大阪の人はどう言うかわかりませんが。
 桐野 たぶん、大阪島では何のいさかいも起きずにうまくいくのでしょうね。でも、それでは小説にならない。
 福岡 生物学を通じて私が世に言いたいのは「男よ威張るな、女性はもうちょっとリラックスして」ということ。でも、それがなかなか通じない……。
 桐野 はい。ある時から男女の関係が逆転したような気がします。女の側の幻想として、「ついてこい」という強い男を求めているところがある。私はあまりありませんが。でも近頃は、男の側がマッチョになるのをやめた感じがします。マッチョはうっとうしいですが、全部女の側に投げ出して「傷つきたくない」というのはやや狡猾(こうかつ)ですね。でも、そういう男も確実に増えているように思います。
 福岡 オスはメスに問われることから常に逃避し、それでいろいろな仕組みを作ってきたわけです。
 桐野 女の人から「今日は話があるの」と言われるのが一番怖いんですね。
 福岡 ぎくっとします。
 桐野 法律家に聞いたのですが、法律とは感情を整理する道具でありシステムだそうですね。でも「女神記」で言うと、イザナミがイザナキに抱く恨みは、法律ではどうにもなりません。男が女を捨てるとか、女が男を捨てるとかして相手が狂い死にしても、それは法律で裁けません。法律の編み目から落ちていくものをどうするか、どう折り合いをつけるかというのが、小説の本質かもしれません。ところで、法律も欠けているオスが作ったのですね。
 福岡 男が作りました。
 桐野 是非を問うのではなく、こばれ落ちる側の世界をただ提示していくことが面白いし、大事だと思います。

世界のふるまい、冷徹に提示 対談の余白に 福岡伸一
 生物学的には女が男を作った。しかしアダム(男)がイブ(女)よりも先に生まれたことになっている。女の存在は基本で自明なのに男は違う。だから男は自らの存在理由を求めて様々な作り話をあみ出した。
 日本の神話に挑んだ桐野さんの新作は、男の勝手な言い分を許さない物語だ。対談に臨んだ私は少なからず緊張していたが、次第にそれは溶けていった。小説家としての現代的な矜持(きょうじ)のありかがわかってきたからだ。彼女は何かを主張しようとしたわけではない。ただ世界のふるまいを冷徹に提示しているだけなのだ。あたかも科学者のように。許さないこともまた女と男の和解のあり方という一言がいつまでも心に残った。

 きりの・なつお 51年生まれ。作家。「柔らかな頬」で直木賞。「OUT」で日本人初の米エドガー賞候補、「グロテスク」で泉鏡花文学賞、「残虐記」で柴田錬三郎賞、「魂萌え!」で婦人公論文芸賞、「東京島」で谷崎潤一郎賞。「女神記」は約20カ国で翻訳される予定。

 ふくおか・しんいち 59年生まれ。青山学院大教授。近著に「できそこないの男たち」。
(出典 朝日新聞 2009.1.5)

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2. 1月のトピックス
 1月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 浅草名所(などころ)七福神巡り
  正月2日に二人の姉と出掛けました。浅草の観音様で有名な浅草寺(せんそうじ 大黒天)を皮切りに、隅田川に沿って川上の方に歩き、浅草神社(恵比寿)、待乳山聖天(まっちやましょうてん 毘沙門天)、今戸神社(福禄寿)、橋場不動院(布袋尊)、石浜神社(寿老人)、吉原神社(弁財天)、鷲神社(寿老人)の八ヶ所を訪れました。最後の二ヶ所は「樋口一葉を訪ねて」のウオーキングで歩いた場所で、吉原の方に戻ります。正月の二日とあって食堂が閉まっており、昼食に少し不自由したほかは、幸い天気にも恵まれて楽しい初詣でした。
 2.2 展覧会「セザンヌ主義」
  「父と呼ばれる画家への礼賛」という副題が付いています。往きは横浜地下鉄みなとみらい線のみなとみらい駅から歩き、帰りはJR桜木町駅から帰りました。みなとみらい駅の方が歩く距離が短いようです。肖像画、水浴図、風景画、静物画に分かれて展示されていました。またセザンヌだけでなく、彼が尊敬していたプッサンやドラクロアを始めとして、彼から影響を受けたヨーロッパやわが国の画家の作品も合わせて展示されていました。今回は大作は少なく、セザンヌの作風や、画風の流れといった観点からの展示でした。
 2.3 初春大歌舞伎
  出し物は寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)、春興鏡獅子(しゅんきょうががみじし)、鰯売戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)の三本です。役者としては吉右衛門、菊五郎、松緑、幸四郎、魁春、芝雀、勘三郎、玉三郎などです。さすがに正月とあって目出度い出し物が揃いました。三本目は三島由紀夫の作品で、主演の勘三郎に合ったひょうきんな芝居です。
  今月は歌舞伎座さよなら公演の最初の月です。建物が古くなったので、来年半ばから建て直しを始めるようです。
 2.4 苗場スキー
  毎年1月末の土日を挟んで3泊4日のスキーを、NMCの仲間と楽しんでいます。今回は苗場スキー場でした。越後湯沢までは新幹線で行き、約50分バスに乗りかえます。プリンスホテルが有名ですが、ゲレンデから徒歩約5分のスプリングスホテルに泊まりました。4日とも晴れで風もなく、快適にスキーができました。メンバーのMさん夫妻の次男と小学校1年生の孫が2日目だけ合流しました。この日は「苗場・田代ゴンドラ」(愛称ドラゴンドラ 全長約5.5km)に乗って、田代(たしろ)、みつまた、かぐらゲレンデに行き、端まで滑ることができました。ただドラゴンドラは平日は運休のようです。

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3. 来月の予定
 来月は次のような項目を予定しています。
 3.1 ウオーキング
  「8 ウオーキング・旅行」に、今月訪れた「浅草名所七福神巡り」をご紹介したいと思います。
 3.2 演 劇
  「9 趣味」「演劇」に、今月見に行った「歌舞伎座1月公演」を採り上げたいと思います。
 3.3 リンク集
  「興味あるリンク」を、少しずつ追加したいと思っています。

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[Last Updated 2/28/2009]