みんなの広場
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 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)05に戻る

 アクセスされた方々との交流の場です。今月は次の三項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「12 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
目 次
 やっと天気も落ち着いてきて、好天が続いています。ただ気温はかなり低く、12月中旬の温度だそうです。今年の秋は、国内旅行が多く、奈良には二度行くことになりました。
1. 「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  最近読んだ記事の中で、ご参考になると思われるものをご紹介します。
2. 11月のトピックス
 11月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 「鳥になりたい」日高勝彦写真展
  11月11日〜13日、丸の内オアゾで標記の写真展があり、行ってきました。
 2.2 昭和ひとけた会テニス大会
  11月20日に神宮テニスクラブで、会があり、久しぶりに出場しました。
 2.3 奈良旅行(右の写真は奈良正暦寺の紅葉です)
  11月25日〜27日、SABTECHの関西・東海・北陸合同支部会が奈良で開催され、二泊三日で奈良に行って来ました。
 2.4 品川歴史館「東京の古墳」展
  JR大森駅近くにある品川歴史館へ、特別展「東京の古墳」を見に行きました。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  「本の紹介」の「26 古代日本 文字の来た道」は、先月の「25 古代日本の文字世界」の続編のような本で、漢字の誕生、どのようにして漢字が日本に入ってきたかなどをテーマにしたシンポジュウムのご紹介です。書き言葉として漢字が、日本語に採り入れられた経緯がわかります。
  「8 ウオーキング・旅行」の「9 飛鳥」の改訂は、先月旅行した飛鳥旅行第3日「6. 山の辺の道2」の追加です。地図にも、山の辺の道の概要を示す図を追加しました。
  「11 興味あるリンク」の「1.38 宇宙科学研究本部」は最近、新聞紙上をにぎわしている探査機はやぶさが小惑星イトカワ表面の物質を採取した詳細が見られます。また「浦 真弓さん」は、私のホームページを通じてのオランダ在住のメルトモ(メール友達)です。浦 真弓さんが新たにホームページを立ち上げたので、浦さんとのやりとりをまとめると共に、浦さんのホームページを紹介しています。「11 興味あるリンク」「5 その他」「5.3 浦 真弓さん」の「浦さんとのやりとり」、または「9 趣味」「2. パソコン」の「5. 用途」の「3) インターネット」、更に「6 私の愛読書」「ジョルジュ・シムノン氏 メグレ警視シリーズ」の「13. 浦真弓さんからのメール」からも、アクセスできます。

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 1.2 新聞の記事から
「縦の空気」を吸う青年   富岡幸一郎

 何年か前のことになるが、山形県の鶴岡でシンポジウムに参加した。山形出身ではないが、若い時に庄内地方を転々として、昭和26年の8月から翌年の初夏にかけて東田川郡朝日村の注連寺に滞在し、のちに『月山』を世にとい、61歳にして芥川賞を受賞した森敦の文学について語ったときのことである。
 鶴岡は出羽三山があり、日本海に面した風光明媚(めいび)な土地である。私は家内がここの出身ということもあり、毎年のように訪れているが、いつの頃からか注連寺で催される月山祭という集いに顔を出すようになった。森さんもお元気で、県の内外から来た人々が、作家を囲んで文学談義をするという楽しい会であった。平成元年7月に、森敦は77年の生涯を閉じる。その後も、月山祭は森敦をしのぶ会として毎年のように催された。
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 シンポジウムでは、そんな月山祭の思い出や、生前の森さんにお会いした折のことを喋(しゃべ)ったが、話の流れで横光利一についてふれた。森敦は『月山』や『われ逝くもののごとく』などの作品で、晩成の作家と思われているが、実は22歳のときに『酪酊船』という小説を、横光利一の推輓により「東京日日新聞」に連載している。横光は文学の師であった。その横光自身も戦時中に夫人の故郷である庄内地方に疎開している。『夜の靴』と題された作品は、終戦の日から東京へと引き揚げるまでの農村での生活を日記形式で書いた、横光晩年の印象深い作品である。新感覚派の旗手として、戦前昭和の文壇で脚光を浴びてきた作家が、敗戦直後の日本の農村に生きる人々を、素朴ともいえる筆致で描いて味わいがある。単行本は昭和22年11月、鎌倉文庫から刊行され、横光利一の最後の著作となった。
 シンポジウムでこの『夜の靴』にふれたのは、鶴岡市の出版社で復刊された同書を頂き、前夜に一読し、そこに記されていたさる青年の話が忘れられなかったからだ。
 11月のある日、18、9歳の身だしなみの良い青年が突然家を訪れた。先日駅から雨のなかを傘なしで作家の妻子が帰って来たとき、偶然に出会い貸してくれた傘を受け取りに来たのだという。妻はさして行けといってきかないので借りたが、名を訊ねても隣村のものだとしかいわない。傘は自分の方から取りに行くといって住所だけ訊(たず)ねたという。応対に出た「私」は、そう聞いていたのでその傘を奥から持って来た。絹張りの洋傘であった。
 《今どき知らぬ他人に名も告げず、上等の洋傘など貸せるものではない。この青年の眼(め)にはそんな危険を逡巡(しゅんじゅん)することなくする立派な緊張があって、美しく澄んでいる。私から傘を突き出された青年は、「そうです」と云っただけで、名を訊ねても答える様子もなく、ようやく、「松浦正吉です」と低い声で云うと、礼など受けつけず、すぐ姿が見えなくなった。文明を支えている青年というべきだ。間もなく東京へ帰ろうとしている私には何よりの土産である。私がもしこの青年に会わなかったら、東北へ来ていて、まだ東北の青年らしい青年の一人にも会わなかったことになる。健康な精神で、一人突き立つ青年があれば、百人の堕落に休息を与えることが出来るものだ。/夜から雪が積った》

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                                      □ ■ □
 なれない農村の疎開生活、そして祖国日本の敗戦。それはこの作家にとって、背骨を折られるような体験であったろう。横光は余後二年しか生きなかった。しかし、敗戦後の農村において、戦争による疲弊にもかかわらず、このような一人の青年がいた。正直で、朴訥(ぼくとつ)で、剛健な青年がそこに立っていた。作家は、まさに国破れて、この「文明を支えている青年」と出会ったよろこびを万感の思いをこめて描いている。「夜から雪が積った」という最後の一行は、東北の寒い夜に謐(しず)かにつもる雪に、人情のあたたかさを感じさせる。庄内という土地を縁(えにし)にして、横光利一と森敦という師弟でもあった作家の、その文学の底流にあるものがつながる思いがした。
 そんなことを語って、シンポジウムが終わり会場の混雑のなかを帰ろろとしていると、一人の初老の男に呼び止められた。会釈して、実は先程のお話に出た青年は自分である、というのである。私は驚いてその人の顔を見つめた。齢(よわい)を重ねはしたが、作家が記していた風貌(ふうぼう)をどこか思わせた。
 最近、機会があって新渡戸稲造が明治末年に著した『修養』という本を興味深く読んだ。当時、多くの青年たちに読まれたというが、たんに青年のための人生指南書にとどまらない内容豊富なものである。なかでも青年時代にどのような理想を立てるべきか、その「志のあり方を問うて、「人生は社会のホリゾンタル(水平線)的関係にのみ活(いき)るものでない」といい「一歩進めて人は人間と人間とのみならず、人間以上のものと関係がある。ヴァーチカル−垂直線的に関係のあることを自覚したい」と述べているところが面白かった。この世の相対主義のなかにあってただ「横の空気を呼吸する」だけでなく、「縦の空気をも吸ふ」ことが大事だというのである。新渡戸はいうまでもなく札幌農学校出身のクリスチャンであるが、この「縦の空気」はキリスト教の神と制限する必要はないだろう。いや何の宗教といわなくとも、人間以上のものがある、超越的価値をどこかで感得しうるかということであろう。
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 森敦はその文学世界で、庄内地方を仏教のマンダラに重ねて描き出した。もとより出羽三山は信仰の山である。その物語の宇宙を生きる人々は、多く実在した庄内の庶民である。生きとし生けるものである。その人々は皆、まさに「縦の空気を呼吸」する者たちであろう。『夜の靴』に描かれた青年、そして作品から突如として私の前に現れたかつてのその青年も、そうした庶民の一人であったように思われる。

 とみおか・こういちろう 文芸評論家、関東学院大教授。1957年東京都生まれ。著書に「使徒的人間 カール・バルト」「内村鑑三」「非戦論」など。
(出典 日本経済新聞 2005.11.20)

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2. 11月のトピックス
 11月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 「鳥になりたい」日高勝彦写真展
  家が近く、神宮テニスクラブの仲間でもある日高勝彦さんは、ウルトラ・ライト・プレーンが趣味です。丸の内オアゾ(旧国鉄ビルの跡に建ったビル)でウルトラ・ライト・プレーンの展示と米国オシコシで撮ったショーの写真展があり、見に行きました。ウルトラ・ライト・プレーンは模型飛行機のように翼は布製で、2気筒のエンジンの付いた一人乗り(練習用は二人乗り)の超軽飛行機です。茨城県の守谷の利根川の土手で練習しているようです。空を飛ぶのは気持ちがよいとは思いますが、多少危険な気がします。
 2.2 昭和ひとけた会テニス大会
  神宮テニスクラブでは春と秋の二回、昭和ひとけた生まれのメンバーによる親睦テニス大会があります。このところスケジュールが合わず、久しぶりに参加しました。私は普段は平日の午前に行くことが多いので、顔を合わせないメンバーがかなりいます。この大会では、同世代の、こういう人たちとテニスをしたり、試合後の懇親会で、交流を深めることができます。趣味の話、他のスポーツの話等、普段はできない話をゆっくりと交わすことができました。
 2.3 奈良旅行
  SABTECHは合同支部会が毎年行われ、今年は秋に奈良で開催されました。我が家では友人夫妻と一日早く行き、二泊三日の旅を楽しみました。第1日は国立奈良博物館・興福寺国宝館・依水園、第2日は斑鳩の里と唐招提寺、第3日は東大寺・正暦寺・薬師寺を巡りました。飛鳥も素晴らしかったが、法隆寺を始めとする寺院や仏像、それに東京では見られない見事な古都の秋を楽しみました。また45年振りに、関西在住の同期の会員に会えました。これからはホームページやメールを通じて、交流して行くつもりです。
 2.4 品川歴史館「東京の古墳」展
  JR大森駅の山王口から池上通りを約10分品川に向かって歩くと、右側に鹿島神社があり、その先に品川歴史館があります。「大森貝塚」の展示があるというので、一度行ってみたいと思っていました。大田区には多摩川台古墳などがありますが、特別展「東京の古墳」を開いているので見に行きました。「品川にも古墳があった」が副題になっています。品川区では大井町から京浜急行の青物横丁、鮫洲にかけて古墳が点在しています。大田区では多摩川の東側に集中しています。
  先日読んだ中沢新一著「アースダイバー」は東京周辺の古墳がキーワードになっています。「アースダイバー」添付の地図との比較はこれからですが、住んでいる街東京の昔の姿を少しずつ知りたいと思っています。

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3. 来月の予定
 来月は次のような項目を予定しています。
 3.1 私の愛読書
  久しぶりに、村上春樹さんの作品「東京奇譚集」(新潮社)を採り上げたいと思います。
 3.2 ウオーキング・旅行
  今月訪れた奈良を載せたいと思います。
 3.3 リンク集
  「興味あるリンク」は従来の分類を見直し、古いものは削除したいと思っています。
 3.4 興味あるリンク
  毎月、少しずつ追加して行く予定です。

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[Last Updated 12/31/2005]