大相撲

「スポーツ」の目次に戻る

トップページに戻る

総目次に戻る

  目 次

1. まえおき
2. 外人の幕内力士
3. 角界に東欧旋風

1. まえおき
 このところ朝青龍の一人横綱が続いています。彼はモンゴル出身です。その前にも曙、武蔵丸とハワイ出身の横綱が続きました。
 今場所(2004初場所)も黒海など、外人力士の活躍が目立っています。初日に枡席で相撲を見に行ったのを機に、外人力士について調べるとともに、関連記事をご紹介します。

2. 外人の幕内力士
 横綱から前頭までの幕内力士のうち、外国人は次の通りです。
モンゴル    5(横綱 朝青龍、 前頭 朝赤龍、旭鷲山、旭天鵬、白鵬)
ロシア      1(前頭 露鵬)
韓 国      1(前頭 春日王)
グルジア    1(前頭 黒海)
 合 計     8   8/37=22%
 人数でも2割を越えています。

3. 角界に東欧旋風
黒海 「いつか横綱に」 故郷凱旋に不退転
  大相撲に初の外国出身関取が誕生したのが1967年春の高見山。80年代以降に巨漢ハワイ勢が圧倒的なパワーで席巻し、今は運動能力の高いモンゴル勢が土俵を沸かせている。国際的な広がりを見せる角界で"新たな波"と注目されるのが旧東欧圏出身者(現在8人)。彼らの共通点はレスリング経験と強い向上心にある。

 太いまゆ毛とアザラシのような瞳が印象的な黒海(22)は、ロシアに近接する小国グルジアの出身。昨年夏の新十両以来、番付を一度も下げず、初場所(11日初日、東京・両国国技館)で欧州出身として初の入幕を果たした。
 188a、153`の恵まれた体。先場所は強烈な突き押しと出足を生かし、14勝を挙げて十両を制した。「上でも結構できると思う。勝ち方がわかった」。確かな手応えをつかんだ。
 父のメラープさんはレスリングの元旧ソ連チャンピオンだった。自身もグルジアで五輪代表養成のためのスポーツアカデミーに進んだが、「レスラーより相撲取りの方が強い」と感じて大相撲入りを志願、2001年1月に来日した。
 初土俵以来17場所目での新入幕は史上10位のスピード出世(年六場所となった1958年以降、幕下付け出しを除く)。「あっという間だったけど、いろんなことを勉強した。言葉が通じないから自分の頭で考えるようになった。大人になったね」と振り返る。
 その素質にほれ込む師匠の追手風親方(元幕内大翔山)は「この辺でいいかなと安心してしまうのが一番怖い」と話す。だが、黒海は心配ご無用と言いたげだ。「お金よりも名誉だと思っている。お金だけなら、幕内で長くやることを考えればいいが、自分は強くなって尊敬されたい。いつか横綱になりたいよ」
 民族紛争の舞台とな北西部のアブハジアで少年時代を過ごした。戦禍で家を追われ、友人も亡くした。来日後、帰国したのは一度だけ。年末に予定した凱旋(がいせん)はグルジア政変のために断念した。
 「グルジアでは幕内だけをテレビ放送する。自分が活躍すれば、みんな喜ぶと思う」。初場所に向けて気持ちははやるが、九州場所中に痛めた左ひざを悪化させるなど体調面は優れない。教会で「神様、サポートしてください」と、年始のお祈りをした。
 「後ろに下がると痛みがひどい」が、前に出続けた九州揚所のような相撲で旋風を巻き起こすか。故郷で待つ家族に、成長した姿を見せたいところだ。    (北西厚一)

目次に戻る

露鵬 怪力負け越しなし 琴欧州 6場所で7敗のみ
 新十両で初場所を迎える露鵬の持ち味はケタ違いのパワーにある。初土俵は2002年夏場所。負け越しなしでの十両昇進は、幕下付け出しを除けば、曙(元横綱)以来14年ぶりの快挙だ。
 出身は南ロシアで、レスリングの盛んな土地柄。露鵬も強豪の例に漏れず五輪を目指した。だが、レスリングの最重量級は当時130`級(2002年からは120`級に)。現在193a、143`と体格に恵まれすぎた露鵬は夢を大相撲に変え、弟の白露山とともに来日した。
 新年から元貴闘力の大嶽親方に部屋経営を任せた大鵬親方(元横綱大鵬)も、伸び盛りの露鵬の指導には力こぶが入る。大鵬親方に促されて参加した五日の横綱審議委員会けいこ総見で、露鵬は高見盛や旭天鵬ら幕内上位を次々負かした。ぶつかりげいこで右肩を痛めたが、「まだ左があるから大丈夫」。何も恐れない積極的な姿勢が、おしとやかな関取衆の中で際立っている。
 幕下8枚日の琴欧州(ブルガリア出身)もレスリングの元強豪。「お金を稼いで親孝行したい」と異文化への挑戦を選んだ。新弟子検査では身長202aの史上最高を計測。昨年初場所の全勝優勝デビュー以降、6場所で7回しか負けていない。師匠の佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)が「大きく育ってほしい」と期待をかける逸材だ。

出身地別の力士数
モンゴル    35
ロシア      4
中 国       3
韓 国       2
トンガ        2
ブラジル      2
アノレゼンチン   1
カザフスタン   1
グルジア     1
チェコ       1
ブルガリア    1

(出典 日本経済新聞 2004.1.11)

目次に戻る

「スポーツ」の目次に戻る

トップページに戻る

総目次に戻る

[Last Updated 1/31/2004]