13歳のハローワーク
 

目 次

1. まえおき
2. はじめに
3. (本の)目次     
5. おわりに
6. 読後感
7. インタビュー
  (週間ブックレビュー)


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1.まえおき
 作家の村上龍さんはJMM(Japan Mail Media)というメールマガジンを出しており、愛読しています。
 JMMにこの本のことが載っており、また新聞での書評を見て、一度読んでみたいと思っていました。
 このホームページでも、NHK週間ブックレビューでのインタビューの紹介(本ページ第7項)の方が、先になっていました。
 やっと本を入手して読むことができ、やはり期待した通りの良い本だと思いました。概要をご紹介しますので、是非ともご一読頂きたいと思います。

2. はじめに
 13歳、あるいはその前後の年齢の子どもたちにとって大切なことは、好奇心を失わず、できれば好奇心の対象を探すことです。わたしは中学生の頃、クラスの和を乱すとか、学校の指導に従わないと殴られてばかりいました。教師や大人たちの指示や命令に、単純に従うことが嫌いだったのです。単に従うのではなく、自分で考えてみて、その上で不公平・不合理だと思ったことは、先生にも周囲の大人たちにもそう主張しました。それで、叱られてばかりいました。しかし、自分でものごとを考えるという姿勢のおかげで、教師や大人にだまされることなく、大切な好奇心を失わずにすみました。

 子どもは誰でも好奇心を持っています。好奇心は、大人になって一人で生きていくためのスキル(専門的な技術)や、そのための訓練をする上で、非常に重要になります。大人は、子どもの好奇心を摘まないようにして、さまざまなものを選択肢として子どもに示すだけでいいと思います。簡単ではありませんが、大人に好奇心があって、好奇心を持って生きることがどんなに楽しいことかを子どもに示すことができれば、子どもは自然に好奇心の対象を探すようになります。子どもが、好きな学問やスポーツや技術や職業などをできるだけ早い時期に選ぶことができれば、その子どもにはアドバンテージ(有利性)が生まれます。

 この本は、好奇心を対象別に分けて、その対象の先にあると思われる仕事・職業を紹介しようという目的で作りました。仕事は辛いものだ、みなさんはそう思っていませんか。それは間違いです。たとえばわたしの仕事、それは小説を書くことで、楽ではありませんが、辛いから止めようと思ったことはありません。止めようと思わないのは、そこに充実感があるからです。小説を書くこと以上に充実感があることは、わたしの人生にはありません。だからわたしは小説を書き続けているのです。

 じゃあ誰もが小説を書けばいいのかというと、それも違います。わたしは1日に12時間原稿を書いて、それを何カ月も、何年も続けても平気です。それは、小説を書くことが、わたしにぴったりの仕事だからです。向いていない人は、2時間原稿用紙に向かっただけでイヤになるでしょう。楽ではないが止めようとは思わないし、それを奪われるのは困るというのが、その人に向いた仕事なのだと思います。そして、その人に向いた仕事、その人にぴったりの仕事というのは、誰にでもあるのです。できるだけ多くの子どもたちに、自分に向いた仕事、自分にぴったりの仕事を見つけて欲しいと考えて、この本を作りました。

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 でもこの本は、こういう仕事につきなさい、こういう仕事がいいんですよ、と指示をしたり、職業を勧めたりするための本ではありません。その人の特性、つまりその人の個性や資質、その人しか持っていないものは、わたしにはわかりません。自分で探すしかないのです。ですから、この本では選択肢だけを示しています。この本をパラパラとめくってもらえばわかりますが、この社会には、非常に多くの仕事・職業があります。しかも、10年前にはなかった新しい職業もたくさんあります。たとえば介護ケアマネージャーやネイルアーティスト、それにインターネットのウェブデザイナーといった仕事は、10年前には存在しないか、少なくとも一般的ではありませんでした。

 昔は、子どもが大きくなったらどこかの会社に就職するものだと、ほとんどの人がそう思っていました。昔というのは、貧しかった日本が必死になって欧米に追いつこうとしていたころです。わたしは今51歳ですが、わたしが小さいころ、家の中には電気製品がほとんどありませんでした。家の中にある電気製品は、天井から下がっている電球とラジオだけ、という生活が幼稚園まで続きました。わたしの家だけではなく、日本のほとんどの家庭が貧しかったのです。テレビや電気洗濯機や電気冷蔵庫が誕生して、家に入ってきたのは、わたしが小学生のころです。

 そのころ、ほとんどすべての日本人は、貧しさから抜け出るために必死に働き、欧米よりも安く品質のいい製品を大量に作ることで外貨を稼ぎ、働く人は給料を貯金し、その貯めたお金で生活を便利にしてくれる電気製品や自家用車、そして家やアパートを買いました。必死で働き、儲けたお金で必要なものを買う。そうやって、あらゆる商品や製品は爆発的に売れ続け、次々に新しい家やアパートやマンションが建ち、宅地や工業用地が開発され、道路や上下水道や橋やトンネルや港や空港といった社会基盤も整備されていきました。その時代を高度成長期と言います。

 豊かになることは基本的に良いことです。その証拠に、戦争直後から比べると、高度成長期に、日本では飛躍的に平均寿命が延びました。平均寿命は、おじいさんやおばあさんが長生きするようになるからという理由だけではなく、赤ん坊や幼児の死亡率が下がって、初めて延びるのです。高度成長期以前の日本では、栄養失調や病気で大勢の赤ん坊や幼児が死んでいました。上下水道が整備されていなくて、生活環境も不潔だったので、たとえば夏には蚊が大発生し、たくさんの子どもが日本脳炎という病気で死んでいました。また、健康保険制度がない時代には、医療が受けられない人も大勢いました。

 高度成長は、日本を変えました。今のアフガニスタンやイラクのような状態から出発した日本は、赤ん坊や幼児が簡単には死なない社会を作り上げました。それは簡単なことではありません。確かに犠牲もありました。もっとも大きな犠牲は環境破壊です。工業化を進め、宅地の造成に加えて、たくさんのダムや道路やトンネルを造ったので、美しかった自然が破壊されました。しかし、だからといって、高度成長が全体として間違っていたわけではないと思います。破壊され、汚染された環境は、これから長い時間をかけて修復していかなくてはなりませんが、わたしたちは、高度成長によって、さまざまな豊かさと可能性を手に入れたのです。

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 そして、1970年代のどこかで高度成長は終わりました。電気製品や、住宅や家具や自動車が、驚異的に売れ続けた時代が終わったのです。どうしても欲しいものがあり、生活に必要なものが足りなかったから、爆発的な需要があったわけです。今はだいたいすべての家にテレビがあるはずです。日本人全員が先を争ってテレビを買い求めた時代は終わったのです。日本人全員が欲しがる商品は、携帯電話とパソコンが最後ではないかと言われています。そうやって経済の状態が変わると、企業の経営や、雇用のシステムも変わり、社会全体に変化が訪れます。しかも、80年代の終わりには、世界のシステムの根本にあった資本主義と社会主義の対立である冷戦が終わり、またインターネットなどの通信革命が起こって、世界全体に変化の波が押し寄せました。

 テレビや新聞でみなさんも知っているとおり、今の日本は不況です。どうして不況になったのでしょうか。日本経済がダメになったのでしょうか。それは違います。高度成長が終わって、日本社会は大きく変化しました。また冷戦後世界も大きく変わりました。しかし今でも、日本のほとんどのシステムは、高度成長期のままです。つまり内外の変化に対応できていないのです。変化に対応できていないのは、システムだけではありません。人びとの考え方・意識も、どこかで高度成長期を引きずっています。それは日本人と日本社会にとって強烈な体験で、しかも成功体験なので、その考え方・意識を変えるのは思っているほど簡単ではないのです。

 たとえば、経済の変化の影響で、経営の方法や、雇用の形が劇的に変化しました。高度成長のころは、ほとんどすべての企業が大変な利益を得ることができたので、ある会社に入社した人は、だいたい一生その会社で働くのが常識でした。利益があったのでリストラする必要がないし、商品や製品は爆発的に売れ続けたので、毎年毎年新入社員が必要でした。今は、違います。非常に変化が激しく、企業間の競争も厳しいので、一つの会社で一生勤める、という原則が崩れようとしています。どこか大きな会社に入社できたらもう安心、という時代ではなくなっています。大企業でも、倒産したり、借金を棒引きにしてもらったり、税金を注入してもらったりする会社がたくさんありますから、中小企業はもっと大変です。公務員はどうでしょうか。官庁や役所は国や自治体が経営しているのでだいじょうぶだろう。そう思うのは、間違いです。これからは、借金を返せなくてパンクする自治体が増えます。また国家財政は火の車ですから、いずれ公務員は大量に減らされ、残った人も給料がカットされ退職金ももらえなくなるという時代が来るかも知れません。

 いい大学に行って、いい会社や官庁に入ればそれで安心、という時代が終わろうとしています。それでも、多くの学校の先生や親は、「勉強していい学校に行き、いい会社に入りなさい」と言うと思います。勉強していい学校に行き、いい会社に入っても安心なんかできないのに、どうして多くの教師や親がそういうことを言うのでしょうか。それは、多くの教師や親が、どう生きればいいのかを知らないからです。勉強していい学校に行き、いい会社に入るという生き方がすべてだったので、そのほかの生き方がわからないのです。

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 どう生きるか。それはむずかしい問題です。いろいろな考え方があるでしょう。しかし、ここにシンプルで、わかりやすい事実があります。それは、すべての子どもは大人になって、何らかの仕事で生活の糧を得なければならないということです。社会的なケアが必要な重い障害を持つとか、重いハンディがある子どもにしても、必ず何かできることがあるものです。子どもはいつか大人になり、仕事をしなければいけないのです。仕事は、わたしたちに、生活のためのお金と、生きる上で必要な充実感を与えてくれます。お金と充実感、それはひょっとしたら、この世の中でもっとも大事なものかも知れません。子どもがいつかは大人になり、何らかの方法で生活の糧を得なければならないとしたら、できれば嫌いなことをいやいやながらやるよりも、好きで好きでしょうがないことをやるほうがいいに決まっています。

 好きな分野の仕事で生活できればそれにこしたことはないということです。わたしは、この世の中には2種類の人間・大人しかいないと思います。それは、「偉い人と普通の人」ではないし、「金持ちと貧乏人」でもなく、「悪い人と良い人」でもなくて、「利口な人とバカな人」でもありません。2種類の人間・大人とは、自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で生活の糧を得ている人と、そうではない人のことです。そして、自分は何が好きか、自分の適性は何か、自分の才能は何に向いているのか、そういったことを考えるための重要な武器が好奇心です。好奇心を失ってしまうと、世界を知ろうとするエネルギーも一緒に失われます。この本は、今の好奇心を、将来の仕事に結びつけるための、選択肢が紹介してあります。この本を眺めていると、この世の中には実にいろいろな職業・仕事があることがわかると思います。繰り返しますが、自分に向いた仕事は決して辛いものではありませんし、どんな仕事も、それが自分に向いたものであれば案外面白いのです。

『13歳のハローワーク』というタイトルにしたのは、13歳という年齢が大人の世界の入り口にいるからです。ちなみにアメリカでは12歳までは子どもとしてケアされますが、13歳になると逆にベビーシッターなどのアルバイトを始めるようになります。その年代では、現実に向き合うとき、とまどいと不安があるのではないでしょうか。自分はいったいどういう人生を送ることになるのだろうという漠然とした不安と、子どものままでいるほうが楽かもという、とまどいです。実はそういった不安ととまどいは、自由と可能性によって起こります。強い身分制度があった江戸時代、農家に生まれ育った子どもは、農家で働くのだと100%決定されていました。江戸時代の子どもには、将来自分はどんな大人になるのだろうという不安もとまどいもありませんでした。

 今は違います。13歳は自由と可能性を持っています。だからどうしても世界が巨大に映ってしまって、不安ととまどいを覚えるのです。わたしは、仕事・職業こそが、現実という巨大な世界の「入り口」なのだと思います。わたしたちは、自分の仕事・職業を通して、世界を見たり、感じたり、考えたり、対処したりすることができるようになるのです。自分の仕事・職業によって世界と接しているということです。さらに、現代は、仕事のあり方や就職の形が変化している過渡期です。たとえば、公務員を続けながらNPOに入って活動している人もいれば、複数の会社で契約社員として働いている人もいます。フリーターとしてアルバイトをしながら、資格を取ったり、海外留学の資金を貯めている人もいます。

 この本にある数百の仕事から、あなたの好奇心の対象を探してみてください。あなたの好奇心の対象は、いつか具体的な仕事・職業に結びつき、そしてそれが果てしなく広い世界への「入り口」となることでしょう。

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3. 本の目次

13歳のハローワーク|もくじ

はじめに|13

1 自然と科学に関係する職業
その@|花や植物が好き|16
   プラントハンター/フラワーデザイナー/フラワーアレンジメントの先生/華道教授/盆栽職人/
   庭師/植木職人/樹木医/クリーンコーディネーター/グリーンキーパー/植物園職員/庭園設
   計士/ランドスケープアーキテクト/林業

そのA|動物[爬虫類・魚と鳥を含む]が好き|24
   獣医師/動物看護士/動物園の飼育係/水族館の飼育係/犬の訓練士/トリマー/ブリーダー/
   ペットシッター/ハンドラー/盲導犬訓練士/アニマルセラピスト/競馬調教師/厩務員/装蹄
   師/家畜人工受精師/ひな鑑別師/畜産農業/野生動物調査/動物プロダクション/猿の調教師/
   鵜匠/ハブ捕り職人
   Essay 学問は本来面白いものだ [その1: 生物学] |34

そのB|が好きl36
   養蜂家/養蚕家/釣りエサ養殖/クワガタ養殖/珍しい虫の養殖/ミミズによる廃棄物処理/害
   虫駆除/昆虫採集・飼育用品の製作販売
   Essay 蜘蛛の糸|40

そのC|人体・遺伝が好き|42
   医師/看護師/保健師/助産師/薬剤師/理学療法士/作業療法士/視能訓練士/言語聴覚士/
   歯科医師/歯科衛生士・歯科助手/歯料技工士/診療放射線技師/臨床検査技師/あん摩マッサ
   ージ指圧師/鍼灸師/接骨医・柔道整復師/整体師/リフレクソロジスト/医療秘書/医療事務
   員/MR/移植コーディネーター
   Essay 医師の未来像|53

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そのD|雲や空や川や海が好き|56
   気象予報士/船員/潜水士/水中カメラマン/水中ビデオカメラマン/スキユーバダイビング・イ
   ンストラクター/スキューバダイビングショツプ/養殖業/漁師/海女・海士/川漁師
   Essay 辛いけど充実感のある海の仕事|63

そのE|火と炎と煙が好き|66
   火山学者/消防官/花火師/ロウソク職人/特効屋/発破技士
   Essay 火と炎の魅力と魔力|69

そのF|星や宇宙が好き|70
   宇宙飛行士/NASAで働く/天文台で働く/プラネタリウムで働く/占星術師/天文雑誌編集者
   Essay 学問は本来面白いものだ[その2:天文学] |74

そのG|算数・数学が好き|76
   金融業界で働く/税理士/公認会計士/アクチュアリー/暗号作成者
   Essay お金の流れを監視・記録する仕事|83

2 アートと表現に関係する職業
その@|音楽が好き|86
   音楽タレント/歌手/ミュージシャン/声楽家/邦楽家/クラシック演奏家/オーケストラ団員/
   コレペティトゥア/指揮者/楽器の先生/幼児リトミック指導員/ピアノ調律師/管楽器リペアマ
   ン/楽器製作メーカーで働く/楽器職人/作曲家/編曲家/写譜屋/作詞家/楽譜出版社で働
   く/音楽の権利関係に関わる仕事/音響エンジニア/レコーディングプロデューサー/レコーディ
   ングディレクター/レコーデインクエンジニア/マニュピレーター/マスターリングエンジニア/
   DTMクリエーター/インペグ屋/コンサートプロデューサー/舞台監督/照明/PA/美術デザイ
   ナー/ローディー/クラブDJ
   Essay 音楽家の幸福|101

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そのA|絵やデザインが好き|102
   画家/版画家/漫画家/イラストレーター/絵本作家/アニメーター/CGクリ工一夕ー/書道
   家/筆耕/彫刻家/人形作家/刺青師/絵付師/グラフィックデザイナー/インダストリアルデザ
   イナー/エディトリアルデザイナー/装丁家/ゲームグラフィックデザイナー/美術修復家/キュ
   レーター/ギャラリスト/コーディネーター/プリンター/美術造形/フレーマー
   Essay 1年に6000時間|114
   Essay 変化と不変|115

そのB|文章が好き|116
   作家/詩人/俳人/ゲームプランナー/ジャーナリスト/ライター/コピーライター/新聞記者/
   評論家/出版業界で働く/編集者/校正者/著作権エージェントで働く/速記者/チーフリライ
   ター
   Essay 小説家の誕生|124

そのC|ダンスが好き|126
   バレリーナ/バックダンサー/フラメンコダンサー/ミュージカルダンサー/振付師/レッスンプ
   ロ/チアリーダー/日本舞踊家/舞妓・芸者/エアロビック・インストラクター/ストリッパー
   Essay 死ぬまで踊り続ける|132

そのD|映画が好き|134
   映画監督/映画脚本家/映画プロデューサー/制作担当/制作助手/映画俳優/スタントマン/
   俳優担当/キャスティングディレクター/ムービーカメラマン/ライトマン/サウンドマン/美術・
   美術監督・デザイナー/ヘア&メイクアップアーティスト/衣装・ワ一ドローブ・コスチュームデザ
   イナー/音響効果/エディター/ネガ編集/記録/殺陣師・アクションスーパーパイザー/操演/
   特機/シナリオデベロッパー/助監督/技術系の助手/現像技師/オプチカル技師/特撮監督/
   特殊撮影/ドローイング・SFXイラストレーター/特殊造形:ミニチュア/特殊造形:アニマトロニ
   クス/特殊造形:特殊メイク/CG・CGI/デジタルアニメーション/予告編制作/映画字幕翻訳/
   映画配給/映画宣伝
   Essay 鳥をどけろ、カメラを回せ|152
   Essay SFXとハリウッド|154

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そのE|テレビやラジオが好き|156
    テレビ業界で働く/テレビプロデューサー/テレビディレクター/アナウンサー/キャスター/レ
    ポーター/ビデオジャーナリスト/テレビ俳優/お笑いタレント/声優/シナリオライター/放送
    作家/リサーチャー/芸能マネージャー/ラジオ業界で働く/ラジオプロデューサー/ラジオディ
    レクター/ラジオパーソナリティー・DJ
    Essay 異和感と警戒心|164

そのF|ステージが好き|166
    舞台俳優/劇団員/歌舞伎俳優/狂言師/能楽三役/文楽の技芸員/舞台監督/舞台演出家/舞
    台美術/舞台照明/舞台衣装/舞台音響/旅芸人/大道芸人/落語家/漫才師/サーカス団員/
    マジシャン/腹話術師/人形使い
    Essay 舞台を演じるということ|176

3 スポーツと遊びに関係する職業
その@|スポーツをするのが好き|178
    プロスポーツ選手/監督・コーチ/審判員/メディカルスタッフ/スポーツエージェントで働く/
    スポーツライター/スポーツカメラマン/スポーツクラブのインストラクター/スポーツのチーム
    や組織で働く/スポーツ用品メーカーで働く
    Essay プロスポーツの広い地平|184

そのA|賭け事や勝負事が好き|186
   囲暮棋士/将棋棋士/チェスプレイヤー/ビリヤードプレイヤー/カジノディーラー/為替ディー
   ラー/パチンコ業界で働く/パチプロ/競馬予想師

そのB|収集するのが好き|192
   学芸員/司書/美術鑑定士/宝石鑑定士/オークション会社で働く/古着屋/古本屋/骨董屋/
   アンティークショップ/コイン・切手屋/質屋/金券ショップ

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そのC|アウトドアライフが好き|198
   マタギ/冒険家・探検家/登山家/南極観測隊員/山岳救助隊員/パークレンジャー/森林官/
   歩荷/山小屋経営/ネイチヤーガイド/アウトドアスポーツ・インストラクター/バスプロ/ペンシ
   ョン経営/農業
   Essay 明るい農村|206

そのD|メカ・工作が好き|210
   独立時計師/鍵師/彫金師/エンジニア/機械設計/溶接工/プレス工/板金工/カメラマン/写
   真館経営/写真スタジオで働く/武器・兵器評論家/モデルガン製造/プラモデル製造/模型店経営
   Essay Al[artficial intelligence:人工知能]と知覚心理学|218

そのE|乗り物が好き|222
   パイロット/ヘリパイロット/レーサー/タクシー運転手/ハイヤー運転手/バス運転手/トラック運
   転手/宅配便ドライバー/バイク便ライダー/電車運転士/機関車運転士/気球操縦士/ケーブル
   カー・ロープウェイ運転係/カーデザイナー/自動車整備士/スーパーカー専門整備士/レーシング
   チームのメカニック/二輪自動車整備士/自転車整備士/航空整備士/航空管制官/マーシャラー

4 旅と外国に関係する職業
その@|旅行が好き|234
   ツアーコンダクター/外航客船パーサー/日本語教師/取材コーディネーター/トラベルライタ
   ー/観光庁職員
   Essay 海外の学校で学ぶ|237
   Essay ツアコンに未来はあるか|239

そのA|外国語が好き|240
   通訳/翻訳家/外国語の言語学者/英字新聞記者/通訳ガイド/留学コーディネーター/国際会
   議コーディネーター
   Essay 語学の達人たち|244

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そのB|地図を見るのが好き|246
   国土地理院で働く/地図制作者/地図編集者/測量士/古地図研究家

5 生活と社会に関係する職業
その@|心のことを考えるのが好き|250
   精神料医/臨床心理士/心療内科医/占い師/シャーマン/僧侶/神主/神父・牧師/結婚コン
   サルタント/いのちの電話相談員/スクールカウンセラー

そのA|お料理が好き|256
    シェフ/日本料理人/そば職人/寿司職人/パン職人/和菓子職人/パティシエ/豆腐職人/醤
    油職人/味噌職人/塩作り職人/杜氏/ワイナリーで働く/茶道家/コーヒー焙煎の職人/バー
    テンダー/ソムリエ/フードコーディネーター/フードスタイリスト/料理研究家/ケータリング
    料理人/屋台料理人/栄養士/管理栄養士
    Essay 「好み」というニーズ|268

そのB|家やインテリアが好き|270
    大工/宮大工/鳶/左官/石工/塗装業/表具師/家具職人/畳職人/建築家/インテリアデザ
    イナー/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/エクステリアデザイナー/不動産
    鑑定士/土地家屋調査士

そのC|おしゃれが好き|276
    ファッションデザイナー/ジュエリーデザイナー/ファッションモデル/靴デザイナー/バックデザ
    イナー/帽子デザイナー/テキスタイルデザイナー/ソーイングスタッフ/テーラー/和裁士/リ
    フォーマー/アパレルメーカーで働く/スタイリスト/フォーマルスペシャリスト/着物コンサル
    タント・着付師/美容師/理容師/調香師/メイクアツプアーティスト/ネイルアーティスト/エ
    ステティシヤン
    Essay 日本の若者のファッション|287

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そのD|人の役に立つのが好き
   行政|291
   政治家/公務員/外交官/国連職員

   司法|294
   弁護士/裁判官/検察官/司法書士/行政書士/弁理士/海事代理士
   Essay 司法に関する仕事と司法制度改革|297

   教育|298
   保育士/幼稚園教諭/小学校教師/中学校・高校教師/家庭教師/塾講師/予備校講師/大学教
   授/フリースクールで働く/障害児の学校教諭
   Essay 求められる教師像とは? |302

   安全|305
    警察官/海上保安胃/警備員/探偵/ボディガード/救急救命士/レスキュー隊員

   福祉|309
    福祉の公的施設で働く/福祉に関わる企業で働く/ソーシャルウーカー・ケースワーカー/ケアワ
    ーカー/ホームヘルパー/ガイドヘルパー/医療ソーシャルワーカー/精神医学ソーシャルワーカ
    ー/家庭裁判所調査官・保護観察官・法務教官
    Essay 介護ビジネス|312

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Special Chapter 1 サービスやモノを売る|317
    接客・案内[サービスを売る]
    ホテルで働く/仲居/テレフォンオペレーター/バスガイド/客室乗務員/グランドホステス/イ
    ベントコンパニオン/ホスト/ホステス/秘書/便利屋/家政婦/葬儀屋/ブライダルコーディネ
    ーター/経営コンサルタント/広告業界で働く
    販売[モノを売る]
    営業[優位性を売る]
    Essay 欲望と信用とコミュニケーション|328

Special Chapter 2 日本の伝統工芸|331
    染織/陶芸/漆器/木工芸/竹工芸/和紙/石工/ガラス製品/金工/日本刀・刃物/仏壇・仏
    具/文房具/和傘・提灯・うちわ・扇子/玩具/人形/楽器/能面・神楽面/神祇調度装束・慶弔
    用品/そのほか

Special Chapter 3 職業としての自衛官|349
    陸上自衛隊/海上自衛隊/航空自衛隊

6 何も好きなことがない
  とがっかりした子のための特別編

その@|戦争が好き|366
    軍事評論家/戦場ビデオジャーナリスト/傭兵/アメリカ軍兵士
そのA|ナィフが好き|368
      ナイフ職人
そのB|武器・兵器が好き|369
そのC|テレビゲームが好き|371
そのD|アニメが好き|371
そのE|漫画が好き|372
そのF|カラオケが好き|372
そのG|何もしない&寝ているのが好き|373
そのH|エツチなことが好き|374
そのI|ケンカが好き|377
      プロレスラー/格闘家・武道家

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P.S.明日のための予習
13歳が20歳になるころには

1 いろいろな働き方の選択|383
  雇用の形の多様化と「就職」について|385
  起業のすすめ|391
  NPOという選択肢|395
  「資格」をどう考えるか|401
  「つなぎのバイト」をどう考えるか|405
  趣味の弊害について|408

2 IT[Information Technology] |411
   Q&A:ITの現状と可能性|415
   SE/プログラマー/コンテンツ・マネジメント・システム/ハードウェア/ソフトウェア/インター
   ネットビジネス/ウエブデザイナー/ホームページ制作会社
   Q&A:インターネットビジネスで成功するには? |423

3 環境-21世紀のビッグビジネス|431
    太陽・風力・水素エネルギー/バイオマスエネルギー/リサイクル/エコ
    マテリアル/ビオトープ/環境コンサルティング/クリーンツーリズム/
    調査・計画エンジニア

4 バイオは夢のビジネスか|443
    遺伝子診断/遺伝子治療/クローン技術/再生医療/組み換えDNA技術/1塩基多型・SNPs/バ
    イオインフォマティツクス

おわりに|455

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5. おわりに
 この本を作る過程で、また作り終えたあとで、考えたことが2つある。1つは、どうしてわたしたちの社会には、「集団に入らなければ」という誘因性・強制力があるのか、ということだ。確かに、高度成長のころに終身雇用が確立され、いい会社に入ることにはっきりとした利益があって、しかも合理的だった時代が長く続いた。だが、それは「集団に入らなければ」という伝統的な強制力の、原因なのか、結果なのか、わからない。
 2つ目は、「何をすればいいのかわからない」というのが、現在の日本を読み解くキーワードではないのか、ということだ。多くの政治家や官僚、不良債権を抱える多くの銀行、債務に苦しむ多くの衰退企業、貸し渋りに喘ぐ多くの中小企業、リストラされた中高年、フリーターの若者、社会的引きこもりの人びと、犯罪に走る少年たち、ホームレスの人びと、彼らはダメになっているのではなく、「何をすればいいのかわからない」のではないだろうか。「何をすれば」というときの、「何」は、生きる意味や人生の目的といった曖昧なものではなく、どうやって充実感と報酬を得るのか、という仕事に結びつくものではないかと思う。
 おそらく「集団に入らなければ」という強制力と、「何をすればいいのかわからない」という悩みはリンクしている。力を持った集団に入りさえすればいいという社会では、「自分はどんな仕事をしたいのか」という問いは不要になるからだ。

 この本では以下の人たちの協力を得た。
      鍋田郁夫(村上龍事務所/JMMスタッフ)
               小林元喜
                 ●
       幻冬舎『13歳のハローワーク』スタッフ
石原正康/日野淳/岩垣良子/篠原一朗/松田美由紀(ブックデザイン)
                 ●
      寒灯舎『13歳のハローワーク』取材チーム
                 ●
               杉谷知子
                 ●
             手塚英紀(DTP)

 画家のはまのゆかさんは、例によって過酷なスケジュールの中、数え切れないほどのすばらしい絵を描いてくれた。いつものことながら、ただただ感謝あるのみです。

                                                4 NOV. 2003 東京・西新宿
                                                             村上龍

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6. 読後感
 好奇心の強い分野から職業を選ぶという考え方には大賛成です。今の好奇心を、将来の仕事に結びつけるという考え方は、大事だと思います。好奇心の強い分野は、多分、自分に向いた業種であり、能力の高い分野だと思うからです。私の場合はかなり早い時期、多分小学生の頃から、「将来は技術者になろう」と思っていました。著者が言っているように自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で生活の糧を得ていた人間に入っていると思います。
 職業の例として最初に出てくる「プラントハンター」は、前に読んだシーボルトがその一人であり(大場秀章著「花の男 シーボルト(文春新書)」)すぐに納得しました。
 ところどころに出てくるエッセイも興味深く読みました。リフレクソロジスト、ローディーなど私の知らない職業もありました。Special Chapter 1-3、第6章、P.S.なども面白く読みました。
 自分がITの分野が得意なせいか、 P.411のITの専門家との対談は、とても興味を持って読みました。二人の対談相手(伊藤穣一氏と高島宏平氏)は違う角度からITの将来について、貴重な意見を寄せておられます。
 はまのゆかさんの挿し絵も、素晴らしいと思いました。
 13歳の若い人向けに創られた本ですが、大人が読んでも勉強になる本だと思います。
 村上 龍著「人生における成功者の定義と条件」(日本放送出版協会)も読了したので、近く追加したいと思います。

7. 13才のハローワーク(村上 龍氏へのインタビュー)
週間ブックレビュー 2004年3月14日放送分(NHK 衛星放送第2 朝8時より)

司 会 三舩優子
アナウンサー 内藤啓史
特 集 村上龍 村上龍・ベストセラー「13歳のハローワーク」を語る

特集の村上龍さんは、「13歳のハローワーク」について熱く語って下さいました。十代の子どもたちからの「将来が楽しいものに思えてきた」などという読者カードをご紹介
した時には、「この本を書いてよかった」という安堵の思いが、表情にあらわれているように思いました。「何が好きか」を入り口に、具体的に職業の選択 肢を示したこの本
は、これまで類書がなかっただけに、子どもたちの圧倒的な支持を得ているのでしょう。
その一方で、「13歳」というタイトルにもかかわらず、大人が読んでも考えさせられる本です。特に「いい会社に入れば一生安泰なんて時代は終わった。これからは、一人
一人のスキルアップと、人的ネットワークを持つことが大事だ」とおっしゃったのは、若者だけでなく、むしろ今、会社で働いている私たちに向けられた言葉だと感じました。
私にも、まもなく大学4年になる子どもがいます。安易にフリーターの道を選んで、若さという資源を安売りすることのないよう、この本を読んで考えさせたいと思っていま
す。

■特集 旬の作家や大物作家へのインタビューから電子本などのジャーナルな話題まで、本を取り巻くビビッドな動きをお伝えします。
書 名  13歳のハローワーク
著者・ゲスト 村上龍
出版社 幻冬舎

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[テーマ]
村上龍・ベストセラー「13歳のハローワーク」を語る

[内 容]
「好きなことを仕事にしようよ」という村上龍さんのメッセージがちりばめられた『13歳のハローワーク』は、発売以来ベストセラー入りを続けています。514種類の職業を紹
介するこの本は、いわばお仕事百科事典。なぜ今「お仕事の本」なのか、どうして「13歳」なのか。スタジオに村上龍さんをお迎えして、たっぷりと語って頂きました。
(出典 NHKのホームページ)

[本を書いたいきさつ](以下はインタビューのあらまし[文責鈴木])
1. 数年前にNHKの教育番組に関与した。1時間+4時間(生番組)
2. 息子は好きな学問をやっている。
[具体的な選択肢]
職業は3万〜6万あるといわれている。
例1 宇宙飛行士になりたい 「そんなものに、成れっこない」と否定しなければ、そこから会話が始まり、情報が入ってくるかも知れない。広がりが生じる。
例2 プラントハンター 今は無い職業 昔ヨーロッパで、各国から、いろいろな植物を集めた。
若い読者からの反応(読者カード)として、夢ができた、夢が具体化したというものがある。 → 将来は楽しいものだと思えることが大切である。
大人にも楽しいことがある。 → これも大切だ。
[「龍さんは辛口の批判が多いのでは」という司会者の質問に対して]
留学者に目的のはっきりしない人がいる。
演劇人には社会に出て行くスキルの習得がない。
フリーターは安い賃金で時間という大切な資源を売っている。
リストラされた人には社外のネットワークがないことが多い。相談したり悩みを打ち明けたりする人がいない。

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[Last updated 10/31/2004]