週刊ブックレビュー
NHK・BS2、土曜夜

「今週の一冊」のコーナーは共通の本の話題
で盛り上がる=東京・渋谷のNHKで

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  目 次

1. 番組紹介
2. 内容紹介
3. 出久根達郎氏の話
4. TVウオッチ

1. 番組紹介(放送時間が変更されているので修正しました)
週刊ブックレビュー NHK・BSプレミアム、土曜朝 本をさかなに花が咲く 一流の作家や評論家が出演
 「週刊ブックレビュー」 (NHK・BSプレミアム、土曜朝[6時半〜7時半])は「本好き」にはたまらない番組だ。批評は遠慮会釈なく、辛口が過ぎたり、迷走や飛躍をしたり。本をさかなに話の花が乱れ咲く。日ごろ肉声を聞けない一級の作家や評論家らが続々出演するのも楽しみだ。視聴者にこびない硬派な作りが信頼され、91年のスタート以来、着実にファンを増やしている。  (宮崎 陽介)

2.内容紹介
 本をテーマにした番組でも、「ほんパラ!痛快ゼミナール」(朝日系)は読んでいなくても内容が分かる。でも、本を買う気は起きない。対して「週刊ブックレビュー」は、本を読んでないとさっぱり分からないが、たちまち買う気にさせられる。置いてけばりはなるものかと好奇心、向学心がわく。番組のコンセプトが違うのだ。
 第518回の収録をのぞく。「おすすめの一冊」コーナーは、書評ゲスト3人が1冊ずつ持ち寄り、熱弁をふるう。
 たとえば、中条省平・学習院大教授のお薦めは星野博美著「銭場の女神」。同書が取り上げる100円ショップにひっかけて、今の世相をバサリ。「とりあえず買って、捨てることがまん延するのは間違いだ」
 声優でエッセイストの平野文さんは石原慎太郎著「僕は結婚しない」にぞっこん。「文体、リズムがいい。ベッドシーンは官能的でエレガント」 司会の児玉清氏は「本を読めば、だれかに熱く語りたくなる。ゲストも本を語れる場を楽しんでいるのでは」と話す。
 「今週の一冊」では、荒川洋治著「日記をつける」がお題だ。「日記をつけない人の悪口が書いてある」「必要のない人はつけなくていい」などと、日本を代表する詩人の著書に気楽に茶々を入れる。
 辛口も飛び交う。前回は筒井康隆「愛のひだりがわ」がそ上に。筒井氏への期待の裏返しでもあるのだが、ゲストから「何か嫌だな、ウケ狙いで」「筒井さんには枯れてほしくない」「うがったものを書いてほしくない」などなど。
 インタビューコーナーには毎回、多彩な作家が招かれる。大江健三郎、小池真理子、高樹のぶ子、曽野綾子、宮部みゆき、今年に入ってからも田口ランディ、長嶋有、川上弘美、船戸与一、陳舜臣らが出演した。
 島崎素彦プロデューサーは「会話の質が知的でエキサイティングだが、知ったかぶりにならないのが番組のウリ。ゴシップではなく、書き手の本丸である作品本位の評論が信頼され、一級の作家が出てくれるのだろう」と話した。

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3. 出久根達郎氏の話
レベルは落とさないで 番組に出演した作家・出久根達郎氏の話
 活字の書評がかみしも姿なら、テレビの書評は浴衣掛けで縁台に腰掛けた感じ。文章は理屈をこねたくなりますが、テレビではおしゃべりや吹聴をしたくなる。テレビの場合、表情が出るので、作品に魅力を感じて読み込まないと言葉が出てこない難しさがあります。ただ、「週刊ブックレビュー」は書評する本を自由に選ばせてくれる珍しい番組ですね。
 食欲より読書欲、活字が滅びる時は人が滅びる時と思うような本好きの視聴者が、地味な番組を支えているのでしょう。中学生から80代までが見ているようですが、レベルは落とさないでほしい。
(出典 朝日新聞2002.3.19夕刊)

4. TVウオッチ
 「新鮮な視点、本への愛情満載」  東 直子
 日曜日の朝、ちゃんと早起きをして「週刊ブックレビュー」(NHK衛星第二)を観ると、充実した休日を過ごす事ができる気がするので、前の夜に夜更かしをした時にも、がんばって起きよう、という原動力になっている。
 タイトル通り、本の紹介をする番組なのだが、おもしろいのは、本の紹介者が書評の専門家だけではなく、写真家や俳優、翻訳家など、様々な分野の人が、それぞれ好きな本を持ちよって合評するので、自分の知らなかった分野の本を発掘できるし、新鮮な視点から本を促(とら)える事ができる点である。
 4月2日と9日は、この番組が15周年を迎えた記念として、「上巻」「下巻」と題して、特集号を組んでいた。
 上巻では、児玉清さんが進行役となって、国内外を問わず、話題の作家へのインタビューをピックアップしたものが放送されていた。すでに故人となられた方も、生き生きと楽しそうに、あるいは眉(まゆ)をひそめて真摯(しんし)に小説を書く作業やテーマについて語っている。文字だけではなく、映像から醸し出される作家それぞれの魅力が、こうした番組があることによって残されていくということは、とても貴重なことだと思う。
 下巻では、五人の司会者が勢ぞろいをして、それぞれの読書スタンスと最近のお気に入りの一冊を持ちより、合評していた。言葉を世に送りだす者の一人として、本への愛のこもったひと言ひと言を、うれしく噛(か)みしめたのだった。      (歌人)
(出典 日本経済新聞 2006.4.13 夕刊)

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[Last updated 9/30/2011]