みんなの広場
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 アクセスされた方々との交流の場です。今月も次の3項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「11 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
 9月は、まだ暑い日がありましたが、中旬の台風襲来以降暑さも収まり、秋らしい陽気になりました。
 コスモスや彼岸花が美しく咲いています。
1. 今月の追加内容など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  今月は「『たたら製鉄に学ぶ ものづくりの担い手育成 奥深さ 五感で伝える』 永田 和宏さんに聞く」と題する記事を載せました。
2. 9月のトピックス
 9月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 美術展
  4日に箱根のポーラ美術館、7日に京橋のブリッジストン美術館、22日に竹橋の国立近代美術館に行きました。
 2.2 文京シビック合唱団定期演奏会
  14日、文京区のシビックホールで行われた演奏会を、聴きに行きました。
 2.3 岡山の歴史旅行
  25日〜27日、2泊3日でNMCの「歴史に学ぶ会」の有志14名で吉備路を旅しました。右の写真は備中国分寺の五重塔です。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 今月の追加内容など
 1.1 「今月の追加内容」
 「5 本の紹介」の「133 おどろきの中国」は誤字の修正です。
 「8 ウォーキング」の「63 大田区3島巡り」は大田区の臨海部(羽田の北側)にある三つの島のご紹介です。
 「11 興味あるリンク」には、「10.2 絵画」に「10.2.34 クロード・モネ」と「10.2.35 竹内栖鳳」を追加しました。両項目共、このページの2.1項との関連です。

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 1.2 新聞の記事から
  「たたら製鉄に学ぶ ものづくりの担い手育成 奥深さ 五感で伝える」 永田 和宏さんに聞く


たたら製鉄には人を育てる効用がある
 砂鉄と木炭を原料に鉄を製造するたたらは、日本の風土、文化に根差した独特の製鉄法だ。さびにくく、日本刀の表面に美しい模様が現れるなど現代の鉄にない特色かある。6世紀後半に朝鮮半島から伝わって進化し、1300年を超える歴史かあるが、生産性に劣るため近代製鉄の登場以降、消滅寸前まで衰退した。
 長年、たたら製鉄を研究してきた永田和宏さん(66)は「現代にたたらを」と説く。たたらの原理から省資源、省エネルギーに優れた製鉄法を開発できるばかりか、たたらが人材育成、特にものづくりを担う人材を育てる有効な手立てになると信じるからだ。
 「ものづくりに携わる人を育てるには、五感で体験できるような教育が大事。たたらはそれに適した教育手段だと思います。製鉄はセ氏1300度を超す過酷で危険を伴う環境の中で行います。たたらを前にした学校の先生は子供たちに『危険だから近づいてはいけない』と言いますが、何が本当に危険なのか、どこまで近づいたら危険なのかを察知する能力を備えることが重要です。今の教育にはそんな視点が欠けている」
 東工大大学院で博士号を得た後、鉱物資源が豊富なベネズエラの国立科学研究所の主任研究員として勤務した。
 「帰国後、大学の技官になったのですが、金属工学科の学生が大学祭で何もしようとしない。活を入れようと、岐阜の郷里の近くで刀鍛冶をしていた関の孫六さんを学生たちと一緒に訪ねたところ、材料も自分でつくるという話を聞き、鉄づくりを特別に見せてもらいました。わずか1時間でケラ(ヒ=鋼)ができた。古来の技術のすごさに本当に驚きました」

たたらは省資源、省エネに優れた製鉄法を可能にする
 溶鉱炉でつくる現代の鉄は、国内で産出する砂鉄ではなく、輸入した鉄鉱石を原料にしている。鉄鉱石の80%は粉状で輸入される。粉状の鉄鉱石を一度、焼き固めて焼結鉱にした後、溶鉱炉に投入して鉄をつくる。砂鉄を原料とするたたらの技術を応用できれば、極めて効率的な製鉄法になる可能性がある。
 「たたら製鉄はこれまで、その原理がほとんど研究されてきませんでした。このため様々な尾鰭がくっついて一種の伝説、神話のように見られていた面があります。鉄冶金学を専門にしてきた人間としてたたら製鉄を目の当たりにし、『こんなに簡単に鉄ができるのか』と衝撃を受けました。学校に帰って早速、耐火れんがを使って高さ50センチ前後の炉を造り、炉の底部に空気を吹き込む羽口をつけて機械で空気を送り込んで鉄をつくろうとしたけれど、失敗続きでした」
 「大野兼正刀匠の実験を見せてもらい、コツが分かりました。最初に炉底を加熱してノロ(スラグ=鉱滓[こうさい])をつくり、その中で鉄をつくっていた。ノロが、還元してできた鉄が再酸化するのを防いでいたのです。炉の底部を1200度近くまで上げる一方、炉の上部から砂鉄と木炭を交互に投入し、徐々に落下する過程で砂鉄が還元されるには、炉の高さが1.2メートルほど必要ということが分かりました」
 「実験を始めて5年でめどが立ちました。たたら炉は本来、粘土で築くのですが、耐火れんがを積むだけの実験炉を造りました。以来、実験は失敗したことがない。2ヵ月に1回ぐらいの頻度で実験を繰り返すうち刀匠や歴史学者、考古学者、学校の先生など様々な人が見学に来るようになり、『永田たたら』と呼ばれるようになりました」
 「たたら製鉄は直径0.1ミリほどの大きさの砂鉄(粉鉱石)を原料にしています。木炭を加熱して酸素を取り去り、鉄に還元し炭素を吸収させて溶かすのですが、そのプロセスに要する時間はわずか30〜40分程度。これに対し、溶鉱炉では6〜8時間かかります。たたらはすごく効率が良い。こんなユニークな製鉄法はほかにありません。今、たたらの原理を応用して、マイクロ波を使った電子レンジ製鉄法を開発しています」

ものづくりの本質は奥深い
 IT(情報技術)がいくら進んだところで、素材やエネルギーなくして産業、ひいては人間社会は成り立たない。情報化、専門化が進んだ結果、ものづくりの考え方が現実から遊離し、狭量で偏ったものになっている恐れがある。
 「ものづくりというと、何かの材料を持ってきて形あるものに仕上げるイメージで受け取られることが多いと思います。が、それだけではない。例えば材料を例に取ると、たった一つの反応で全く違う性質の材料に変わってしまうことがごく普通に起きる。頭が柔軟な子供の時に色々なことに興味を持たせることが大事ではないでしょうか」
 「そんなこともあって2009年にNPO法人『ものづくり教育たたら』を発足させました。小中学生を対象に、半年がかりで砂鉄採集、炭焼きなどたたら製鉄に必要なプロセスを一つ一つ体験させる子供たたら教室、さらにたたら実験を継続して行っている学校を集めて『たたらサミット』を開くほか、高校や大学、企業からの依頼に応えて年に数回は全国各地でたたら実験を行っています」
 「ものづくりの本当の面白さを教えるには、反応によって性質や構造がからっと変わってしまうような実験も必要です。あっと驚くような変化を目の当たりにすると、子供は取りつかれたようにものすごく集中します。そんなところからものづくりの楽しさを教える必要がある。それには20年くらいはかかるでしょう。ものづくりに不可欠な連携の精神の醸成にも役立つと思います。ともかく日本の風土と文化が育てた独創的で芸術的要素もあるたたらの魅力はとても語り尽くせません」    (文化部 松岡資明)
ながた・かずひろ 1946年岐阜県生まれ。東京芸術大学教授。75年東京工業大学大学院修了。76年ベネヅエラ国立科学研究所主任研究員などを経て、92年東工大教授。専門は鉄冶金学。日本鉄鋼協会学術功績賞など受賞多数。NPO法人「ものづくり教育たたら」理事長を務める。
(出典 日本経済新聞 2013.9.7夕刊)

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2. 9月のトピックス
9月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 美術展
  1) 箱根のポーラ美術館では「モネ、風景をみる眼−19世紀フランス風景画の革新」という特別展をやっていました。国立西洋美術館との共同企画で、絵画空間の構成という観点から、他作家の作品との比較を通して、風景に注がれたモネの「眼」の軌跡をたどっているそうです。たまたまフランス旅行でジベルニーを訪れ、オランジェリー美術館で睡蓮の大障壁画を見た後だけに、印象深い展示でした。
  2) 京橋のブリッジストン美術館の「色を見る、色を楽しむ−ルドンの『夢想』、マティスのジャズ」という展覧会です。マティスのジャズは平成5年に友人夫妻とパリのポンピドー美術館を訪れたとき、ポスターを購入した想い出の絵だったので、再会しに行きました。
  3) 竹橋の国立近代美術館は「竹内栖鳳展−近代日本画の巨匠」という特別展です。画家の生涯の作品が紹介されています。彼は明治33(1900)年のパリ万博の折に渡欧し、ローマの遺跡やライオン、虎などの動物を描いています。動物のかわいい生態は作家のものを見る眼とデッサンの力量によるものだと感じました。
 2.2 文京シビック合唱団定期演奏会
  文京シビック合唱団がヴィヴァルディのグローリアとモーツァルトのミサ曲ハ短調の2曲を、芸大フィルハーモニアの管弦楽で演奏しました。指揮は松尾葉子さんです。友人の石場さんが合唱団に入っており、1年かけて練習した成果を発表します。神宮テニスクラブの元の仲間で、普段会うことの少ない連中が演奏会を機に集まり、近況を確かめ合います。
 2.3 岡山の歴史旅行
  NMCの「歴史に学ぶ会」で、岡山出身のメンバーが吉備路の旅を企画してくれました。新幹線で岡山まで行き、レンタカー2台に分乗して、古墳、神社、仏閣などを見て廻りました。吉備路にこんなにも豊かな歴史の遺産があることを知り、参加者全員が驚きました。とても良い企画だったと思います。主な訪問先は次の通りです。王墓山古墳群、後楽園、吉備津神社、造山古墳、作山古墳、鬼ノ城、頼久寺などです。
3 来月の予定
 3.1  「8 ウオーキング・旅行」
  2.3項の「岡山の歴史旅行」のご紹介を載せたいと思います。
 3.2 リンク集
  「興味あるリンク」を、少しずつ追加したいと思っています。

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[Last Updated 10/31/2013]