みんなの広場
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 アクセスされた方々との交流の場です。今月も次の3項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「11 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
 10月は、さすがに涼しくなりました。雨も適度に降り草花や木々も緑を取り戻しています。
 ハイビスカスの花は今も咲いています。パンジーやシクラメンも咲き出しました。
1.「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  今月は山折 哲雄さんの「八百万教(やおよろずきょう)、人生に根付く」を載せました。日本と欧米の文化の違いに関する記事です。
2. 10月のトピックス
 10月の主なトピックスをご紹介します。右の写真は神奈川県金沢文庫の称名寺です。前に描いたスケッチの確認に行きました。
 2.1 第12回サークルトライ油絵展
  11日〜15日、蒲田駅近くのアプリコで第12回サークルトライ油絵展を開きました。
 2.2 満ち足りた庭園
  20日に「笹塚ファクトリー」で演劇「満ちたりた庭園」を見ました。
 2.3 二つの展覧会、「ドビュッシー、音楽と美術」展と「お伽草子展」
  12日にブリヂストン美術館で開かれていた「ドビュッシー、音楽と美術」展に、14日にはサントリー美術館で開催中の「お伽(とぎ)草子展」に行きました。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 「今月の追加内容」など
 1.1 「今月の追加内容」
  「5 本の紹介」に追加した「132 ハーバード白熱日本史教室」は、ハーバード大学で立ち上げた中世日本史のコースのいきさつです。
  「11 興味あるリンク」には、「3 本(出版社、書店、著者)」に「3.21 京都大学電子図書館 貴重資料画像」を、「9 日本文化(文化交流)」に「9.10 お伽草子」を追加しました。後項は、このページの2.3項の記事との関連で、前項はこのホームページの調査中に偶然見つけました。

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 1.2 新聞の記事から
  「八百万教、人生に根付く」
名経営者の教え 危機と日本人 山折 哲雄
 以前、野村証券の社長をつとめた田淵節也さんと対談をする機会があった。戦後の金融界で辣腕をふるった方とのことだったが、そのときの氏の発言がつよく印象にのこっている。半生のあいだ経済と株式の世界で生きてきたが、株の相場の変動には神の摂理がはたらいていると思わないわけにはいかない、といわれたのである。
 私は経済のことも株のこともわからないズブの素人である。ただそのときは、「神の摂理」という問題をめぐって話が意外な方向に発展していった。田淵さんのいわれた神の摂理は、もちろんアダム・スミスのいう「見えざる手」を前提にしたものだったが、日本の場合それは、一神教の神の見えざる手であるよりは、むしろ八百万教の神々の見えざる手ではないか、という話になった。
                                     ◇  ◇
 面白いテーマだなと思いつつ言葉をかわしていたが、よく考たようでいて、よくわからない。アダム・スミスのいう文脈からは離れるけれども、多神教的な神々の「見えざる手」というものがあるとして、それではその感触とはいったいどんなものなのか。田淵さんとの対談はその先の方へはなかなか進まなかった。が、やがてその八百万の神々の見えざる手をめぐり、私の念頭に3人の日本人のイメージが点滅するようになった。渋沢栄一、出光佐三、松下幸之助の3人である。
 渋沢栄一が、その生涯にえた教訓は「論語」の精神にもとづく事業経営に心せよ、だったのではないか。彼は産業活動と徳育が緊密な関係にあるべきだと強調し、「論語ソロバン」主義を唱えたことで知られている。私は日本人の合理主義はアングロサクソン流とは一味も二味も違う儒教合理主義ではないかと思っているが、そうした考え方を近代日本に植えつけようとしたのも渋沢栄一だった。つぎの出光佐三は、外国からの原油の大量買いつけに敏腕をふるい、業界の一匹狼ぶりを発揮したが、その経営哲学は「人間尊重」と「家族主義」にもとづくユニークなものだった。とりわけ江戸時代の禅僧、仙涯(サンズイがないもの)和尚に心酔し、その作品のコレクターとしても知られた。仙涯の作品のなかに○△□をあしらったロゴマークのような象徴図があるが、それが以前は全国各地の出光石油のスタンドの片隅に掲げられていたものだ。わが国近代における仏教資本主義の一例といっていいだろう。
 第三の人物が松下幸之助である。丁稚(でっち)小僧から身をおこし松下電器産業、すなわち今日のパナソニックという大企業をつくりあげ、「経営の神様」とうたわれた。その経営哲学を支える心構えのなかで私が好きな言葉が二つある。一つは弱者の身になって考えること、第二が負けることを知って立身せよ、である。戦後、社会の平和と幸福を追求する運動をはじめてもいる。その一環だったと思うけれども、京都の一画に「真々庵」と称する庭園をつくり、片隅に「根源社」と名づけるカミの社をひっそり祀(まつ)った。彼はしばしばそこを訪れ、神前に座して瞑想にふけったという。日本資本主義の発展につくしたこのような3人の人生と事業を顧みると、儒教、仏教、神道の伝統が色濃い影を落としていることがわかる。その流れが中国文明や西欧文明を受け入れてきた日本人の生き方そのものでもあったことが、自然に浮かび上ってくる。
                                     ◇  ◇
 だがこれからの問題は、そのようなことを国際会議の場でどのように伝えていくか、ということではないだろうか。たとえば、異文化、異宗教の者同士が同じテーブルについて議論をはじめるとする。自己主張をぶつけ合う長い時間が流れ、最後になってたがいに見解が異なることを認め合って、おひらきになる。その最後にのこされた唯一の合意事項に何とかたどりつこうと四苦八苦しているなかでいつも気づかされるのが、国際会議なるものの土俵にはつねに1本の黄金の尺度しかおかれていないということだった。西欧社会の側からもち出された普遍主義という名の黄金の尺度である。
 もうそろそろ、われわれの側からももう一つの黄金の尺度があると声をあげてもいいのではないだろうか。「土俵は一つでも、尺度は二つ」という主張である。アングロサクソンのいう普遍的価値にたいしてアジアの側あるいは日本の側からさしだすもう一つの普遍的な価値尺度といってもいい。そしてそのような「二つの尺度」の議論を展開していくうえで、さきにあげた渋沢、出光、松下の3人の人生に体現された「八百万教」的な観点、すなわち多神教的な神々の「見えざる手」のはたらきがやはり必要となってくるだろうと思うのである。
(日本経済新聞 2012年10月26日)

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2. 10月のトピックス
 10月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 第12回サークルトライ油絵展
  油絵教室のサークルトライでは1年〜1年半に1回、グループ展を開いています。今年は12回目になり、14名の会員が70点余りの作品を展示しました。会場には友人や兄弟などが来てくれ、いろいろと助言してくれます。仲間の絵ともゆっくりと見比べることができ、勉強になります。
 2.2 満ち足りた庭園
  この劇は、1950年代に起きたスキャンダラスな事件を題材に書かれた原作を再演したものです。友人の息子の高橋広司君が出ているので見に行きました。準主役で活躍しています。小さな劇場ですが、補助席も出て、ほぼ満員でした。
 2.3 二つの展覧会、「ドビュッシー、音楽と美術」と「お伽草子展」
  「ドビュッシー、音楽と美術」展で注意すべき点は、主催者にオルセー美術館、オランジェリー美術館が名を連ねていることでも判るように、日仏共同で企画されていることです。音楽と美術は当然交互作用があります。しかしブリヂストン美術館単独の企画では、取り扱うのがむずかしいでしょう。歴史、作品(絵)など国内だけでは作品を集めるのに限界があります。この時代の人間関係や交流をもとにした良い展覧会だと思います。
 「お伽草子展」は、かねてから興味を持っているテーマだったので行ってきました。絵は稚拙なものが多いですが、物語の対象が貴族から大衆に移ったことを考えれば、これで良いのかと思います。

3 来月の予定
 3.1  ウオーキング・旅行
  今月予定していた「26 軽井沢逍遥」に9月に訪れた御代田の「浅間縄文博物館」と「下仁田ジオパーク」を追加したいと思います。
 3.2 油絵
  今月中旬のグループ展に6点出品したので、半年にわたって1点ずつ紹介したいと思います。
 3.3 リンク集
  「興味あるリンク」を、少しずつ追加したいと思っています。

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[Last Updated 11/30/2012]