Part3 : 職場のメンタルヘルス

☆心の異常にどう気づくか

 職場のメンタルヘルスのためには、仕事環境の身体的・精神的・物理的ストレスを取り除く配慮をするとともに、こころのバランスを崩し始めた人を早期に発見し、メンタルヘルス上の問題を抱えていないかを聞くなどのアクションをとることが大切です。
 微妙な変化には、親しい仲間が最初に気づいていることが多いので、管理職はそのような情報を早くキャッチできるように日頃から配慮してください。


 心の病の早期発見の指標として、メンタルヘルス総合研究所代表の久保田浩也氏は、以下に紹介するチェックリストを挙げています。


 「無断欠勤」など、以下に紹介する項目にあてはまる人がいたらすぐに声をかけ、状態によっては休暇を取らせる、仕事の配分を変えるなどの対策をたてるようにしてください。
 また、可能であれば産業医、精神科医、カウンセラーなどの専門家と相談しましょう。


■早期発見のためのチェックリスト


[仕事面でのチェックポイント]
・無断欠勤、遅刻、早退、病欠が多くなる
・業務を怠り、責任感が乏しくなる
・ちょっとしたミスや事故が多くなる
・仕事に積極性が無くなる
・整頓や後始末が悪くなる
・能力が低下する
・大した理由もなく、職場転換や退職を希望する
・物忘れが激しくなる
・計算ミスが多くなる
・自分の職場、権限、能力以上のことを考え実行しようとする
・差し出がましくなる
・仕事が丁寧すぎて捗らない
・細かいことにこだわりすぎる
・仕事中そわそわして落ち着きがない
・職場をよく離れる
・月曜日によく休む

[言動・態度におけるチェックポイント]
・身だしなみや態度がだらしなくなる
・奇妙な服装をするようになる
・動作が鈍くなる
・表情が乏しくなる
・周囲に無関心になる
・呆然としていることが多い
・考え込んだり、独り言・独笑をする
・妙な仕草や癖が出てくる
・話のまとまりが悪くなり、急に言葉が途切れたりする
・憂鬱そうで活気がない
・自分を失い、取り越し苦労をする
・昔のちょっとしたことを、いつまでも後悔している
・気が大きくなってホラを吹いたり、急に自信家になる
・金銭の乱費、借金が多くなる
・酒癖が悪くなる
・酒を飲み始めたら止められない
・二日酔いが多い
・朝から酒気を帯びている
・厭世観(嫌になった、辛い、死にたいなど)をしばしば訴える
・明るさが消え、暗い印象になる
・被害者意識が強くなる
・ちょっとしたことで夜中に電話してくる

[対人関係におけるチェックポイント]
・口数が少なく、つきあいが悪くなる
・人を避け、人の視線を恐れる
・他人の言動を必要以上に気にしたり、気を回して疑ったりする
・イライラして怒りっぽくなる
・すぐに喧嘩や口論をする
・これまで親しくしていない人に、急になれなれしく話しかける
・自分と関係のないことによく口を挟むようになる
・議論好きになり、現実問題とは直接関係のない抽象的・哲学的なことについて口走る
・気難しく、むら気になる
・よくトラブルを起こす
・不平・不満が多く、周囲の人と対立することが多くなる

[身体的問題におけるチェックポイント]
・しばしば不眠、頭重、食欲不振、全身のだるさ、疲労感などを訴える
・心臓や胃腸など身体の調子をいつも気にしている
・医者をしょっちゅう変えている
・ひとりでの外出や、乗り物に乗ることを怖がる
・何かの薬(胃腸薬、栄養剤、鎮痛剤、睡眠剤など)を常用している
・顔色が悪くなる
・目立って痩せてくる
・ときに放心状態になったり、倒れたりする
・仕事中に眠ってしまうことがある

(『こころの体操 〜メンタルヘルスのすすめ』 久保田浩也 著 東京経済新報社より)