☆引っ越ししたときには心身の病気に気をつけよう

 主婦が、こどもが家庭を巣立ったあと鬱病になる「空の巣症候群」や、退職後無気力になる「退職症候群」など、人生の転機には心の病気などにかかりやすいことが知られています。
 生活の変化は新しいストレスを生む可能性があり、その結果、心身の病気が生じることがあるのです。
 鬱病は特に思い当たることが無くてかかることが多いのですが、精神科医の笠原嘉氏は、鬱病の引き金として注意するものに、次の8つを挙げています。

鬱の引き金となりやすいもの
@職場の配置転換の後(昇進、転職、就職など)

A子供たちが結婚、婚約、遊学という形で家から出ていくとき

B家族のメンバーがなんらかの理由で家から出ていったり、逆に入ってきたりするとき(死亡、別居、誕生、同居人の増減など)

C生命に関わらぬ程度の身体病・あるいは負傷によって、生活パターンが変わるとき

D心理的負担が急に増加するか、逆に軽減するとき

E出産のあと

F住居地の移動または改変(転居、改築、留学、帰朝)

G愛着する人、事物、あるいは財産をめぐる喪失体験

 ここで注意してほしいのは、一般に喜ばしいと思われる昇進や出産、心理的負担の軽減(荷下ろし)なども鬱病の引き金となる可能性があることです。
よいにつれ悪いにつれ、、身辺に何らかの変化があったときは、自分だけでなく家族全員の心身の健康を、いつもより気をつけるようにしましょう。


○マタニティ・ブルーと産後うつ病
 マタニティ・ブルーは産後3〜5日に集中的に起こる鬱状態。産後うつ病は産後3〜6週間以内に発病する鬱病です
 産後うつ病は、その影響が本人にとどまらず出生児の成長にもおよぶところがやっかいな点です。
 マタニティ・ブルーは、産後に体内のホルモン分泌が急激に変化することにも関係していると考えられていますが、マタニティ・ブルーの症状が強いほど、産後うつ病になる可能性があります。
 ですから、マタニティ・ブルーの早期発見と対応は、産後うつ病の予防のために重要といえます。

○神経症とは
 神経症(ノイローゼ)は、精神的ストレスによって心や体に異常を生じますが、精神病と異なり、現実認識を失うほどには至っていない状態です。
 神経症は、広い意味での不安が原因となっていますが、現れる形により「不安神経症」、「心気神経症」(心気症)、「ヒステリー」、「強迫神経症」、「恐怖症」などに分けられます。


私のストレス体験 : 会社員Aさん(31才・男)の場合

 「ええ、あれは私がまだ小学校低学年の頃でしたか。
その日は朝から、なんだかいつもと違う世界が開けている、と言うかそんな風に感じるんです。
・・・どう表現したらいいのかなぁ、・・・高い山に登った時って耳がツンとするじゃないですか。
あんな感じが視覚や痛覚、果ては味覚にまで及んだというかなんと言うか・・・。
『今いる自分を、もう一人の自分が冷静に見ている』って言うか、・・・これじゃあ臨死体験みたいですね(笑)。
 あ、ちなみにその症状は、一晩ゆっくり寝たら次の日には治っていました。
私はその当時引っ越ししたばかりでして、・・・色々と子供ながらに感じるところがあったんじゃないかと、
今ではそう思ってますけどね、ええ。」

(音声は変えてあります)