Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第958夜

てなんど (後)


 小林市「てなんど小林プロジェクト」の方言にかかわる取り組みに借りた文章、後編。
 ここからはホームページのポスターを一緒に見てもらうと楽しめると思う。

「犬」が「いん」、「灰/屁/蠅」がすべて「」になる辺りは鹿児島弁と同じ特徴である。

」が可愛い。「刺」のことだそうだが、なんでこうなったのか。
 一般に、一字の方言は由来をはっきりさせるのが難しい。一応、ネイティブだから秋田の「」あたりはわかるが、この「」も地元の人なら説明できるのだろうか。
 広島大学 高橋顕志研究室のページに地図があるが、宮崎全域ではなく諸県のみであることがわかる。
こめよひで刺すっと」がわからない。「こめ」は「小さい」、「刺すっと」は「刺すと」か「刺さると」だと思うんだが、「よひで」が。まさか、「指で」?

「蠅」の「」はすでに紹介したが、「蠅取り紙」が「へとりがん」。こう言われれば理屈はわかるが、いきなり言われたらわからんだろうなぁ。なんか、アニメのキャラクターが持ってる銃みたいだよな。「ヘトリガン、ファイヤー!」とかさ。
 最近、見なくなった、とあるが、売ってるのはたまに見かけるから、どこかで使われてはいるのだろう。それは確かに見たことがない。

嫁じょ」というのが二か所に出て来る。
 前後関係から想像するに、「嫁」ではなく、若い女性一般を指しているのだろうか。

ぬりがよ (ぬるいぞ)」が可笑しい。
 キャプションにもあるが、大人も同じだよな、とは真っ先に思った。

 金持ちのことを「分限者」と言う地域は西日本にはたくさんある。
 ポスターは金持ちと言うよりバカ殿だが。

いなかん闇は深けも深けど〜」のキャプションにある「もえん後」がわからない。「『もえ』の後」だろうなとは思うのだが。まさか「萌え」ではあるまい。「寄合」とかそんな感じだろうか。
 宮崎ではよく星が見える。尤も、秋田より見える、ということなのかどうかは不明。自転車からバス通勤になって、「夜の待ち時間」ができたってだけかもしれない。俺が見つけられるのは北斗七星、それがわかれば北極星とカシオペア座がわかる。後は、オリオン座。ほかにもあるはずだ、と思ってこないだ秋田から星座盤を持ってきた。まだ開いてないけど。
 星座盤って百均でも売ってるのね。内容が変わるものでもないし、コストダウンは簡単だろうね。

 星座ではなく正座は「きんきん」らしい。
ちんちん」という地域もあることは前に紹介したような気がする。それは「鎮座」の「鎮」だ、ということも書いたが、そうだとするとこっちの「きんきん」はその変化したもの、ということになる。

こんあにょな、ないごっけ?
しれっ、しちょっどん、はめっけやいもしな〜。
よかごでにも、たまがったど。

 が、全然わからん。

ぎを言う」は「口答えをする」で、おそらく「」は「義」。「『り』を言う」ってのもなんかのドラマで聞いたことがあるような気がするんだけど、ググったら一つも出て来なかったんで、聞き違いか。こっちは「理」と解釈すると、「口答え」にはまるんだけどね。「理屈をこねるな」って感じで。
「今では義を言われる方」が「ゆわるい方」となっている。この変化は難しい。

すんくじら」も聞いたことがある人は多いかと思う。「すみっこ」だが、「くじら」は「くじる」だろうか。鯨ではあるまい。あんなデカいもの、すみっこには収まらない。
 鹿児島のすみっこにある、ってことで南さつま市などが「さつま・すんくじらプロジェクト」というのをやってるらしい。

わやゆうこつきかんければ、牛小屋にきびっど」の「きびっ」はどうやら「結ぶ」らしい。言うこと聞かないと、牛小屋 (の柱) に縛り付けるぞ、ってことか。
 鹿児島の大島郡和泊町に「喜美留」という地域がある由。

なば」もわからない。
 酔っぱらった爺さんが、子供の耳にかぶりつく真似をするときに言う、てな話で、子供は「それはキノコじゃない」と反論するそうだから、耳に形の似たキノコなんだろうけど、と思ったらシイタケらしい。なぜ「なば」。「南蛮」ではないよな。
 鹿児島の大島郡和泊町に「那波」という地域がある由。

はすたろ」はクワガタムシ。ほうほう。
 でも、ググっても見つからない。

けもん」は「買い物」。これもいきなり耳で聞いたらわからない。

でんきんばした」の変化は面白いなぁ。「はしら」の「ら」が「」になるのはまだわかるとして、「でんしん」が「でんきん」。これは変化と言うより、後ろの「し」がこっちに入ってきちゃったのかな。
ハシとした大人」が地味に興味深い。「しっかりとした」てな感じ?

 最後、「ラーフル」。
 これについてはよく鹿児島が引き合いに出されるが、ここで紹介している語は大概が「AND 鹿児島方言」で検索してもヒットする。それだけ諸県と鹿児島の結びつきは強い、ってことだ。

 のじりこぴあ近辺だが、直売所や食事処はいくつかあるもの、どれもバス停近辺に固まっている。バス停一つ二つなら歩いてもいいが、三つくらいになるとさすがに辛い。やっぱり車で行くところなんだろうね…。
 さて、気が付いたら宮崎県内の市で行ってないところは、延岡串間えびのだけとなっていた。延岡にはそのうち映画を見に行く予定なので、串間とえびのについてもなんか考えようかな。




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