久しぶりに「妄想ニホン料理」。
実は、前回取り上げてからここまでの国内戦はほとんど見逃している。まぁ、外国人シェフが妄想だけで日本料理作るのも面白いかもしれんが、俺の関心はやはり方言にあるので、こっちだけでいい。が、たまにしかやらないので録画予約を忘れる。毎週録画して、見ないんならそのまま削除すればいいだけの話なんだけどね。無精者の悪いところ。
今回の対決は、秋田
八峰町 (はっぽうちょう) と徳島
三好市の祖谷
(いや) 地方。
どちらも平成の大合併で生まれた自治体。三好市の方は飛び地があるらしい。もめたんだろうなー。まぁ、八峰町も青森まで巻き込んで騒ぎになったけど。
出演者は、秋田側が
壇蜜、徳島側が
丸岡いずみ。
祖谷川のお題は「
でこまわし」。ヒントは以下の通り。
1.「
でこ」とは人形の意味
2. 山奥の秘境で長年愛されてきた料理
3. 歯応えはしっかりしている
例によって当てさせる気がない。「
でこ」は「木偶」だろうか。
秋田から回答二つ。
1) カサゴとハタハタ、つくね芋でつみれを作り、「歯ごたえ」のヒントに対してタケノコやブリコ (ハタハタの卵) を入れる。
それにブリコで目をつけて「人形」とし、「山奥の秘境」ということでソバに入れて食す。旨そう。
さらっと流されていたが、「三五八漬け
(さごはちづけ)」 という食べ方も出てきた。
Wikipedia には、秋田の郷土料理でもある、てなことが書かれているが、俺が知ったのは数年前のこと。塩、麹、米を 3:5:8 の比率で使うかららしい。
「つくね芋」という言葉は初めて聞いた。どうやら山芋のことらしい。ググった感じでは地域性は見られない。
それでつみれを作る時、おばあちゃんが「
あんまりね、『あしつえ』がらお水入れでもいいし」と言っていた。「足が強い」というのは、芋がよく粘る、ということであろう。ちなみに名前の「
まわし」からすり鉢を連想したらしい。
2) ソバの実入りの炊き込みご飯をこんにゃくで巻いて、かんぴょうで「まわし」をつけた。ゴマで目を作ってお人形さん。「
まわし」から相撲取りを連想したらしい。
これは可愛い。まじで一品料理としていけるんじゃないか。
正解は、祖谷特産の「
ごうし芋」、縄でつるせるほど固い「石豆腐」、こんにゃくを串にさして味噌だれをつけ、いろりで焼く。人の形に見えるそれを、焦げないように回しながら焼くので「
でくまわし」。
これも旨そう。
「
ごうし芋」の名前の由来は不明。「源平いも」という呼び方もあるようだが、祖谷には落人伝説があるそうだ。
こちらもおばあちゃんが「
ごうし芋」について、「
寒暖の差が厳しい『ために』大きなおいもにならんのよね」。こういう「
ために」は秋田特有だと思ってたんだが、そうでもないのだろうか。
丸岡いずみがスタジオで進めるときに言った言葉は「
よろしゅうお食べ」。西日本の雰囲気が感じられる。
秋田の回答については「顔を作ろうとする。几帳面」という評価。確かに、「
でくまわし」は、シルエットが人形、というだけで顔はなかった。
秋田側のお題は「
なんばんべっちょ」でヒントは以下。
1. 料理の名前の意味は「
なんばんで べっちょになる」っていう
ごどだ
2. お葬式や法事の時のよく作る
3. 保存食をたくさん使う
1. のヒントは、「
南蛮」で何を想像するかがポイントだが、以下に解答を二つ。
1) 持ち出した保存食は干し大根。これをメインに、お葬式ということから野菜だけを使い、片栗粉で餡を作る。これが「
べっちょ」。餡には酢が入っている。これが「
南蛮」。それを、あきたこまちの味噌焼きおにぎりにかける。旨そー。
2) アマゴという魚のすり身に石豆腐や干し野菜、ソバ粉を混ぜたつみれを作る。それを揚げて南蛮漬け風。これにタマネギの餡をかける。
祖谷では「
べっちょ」は「大きい」という意味だそうだが、そのつみれを並べて大きな魚を作っている。
というわけで、祖谷の人は「
南蛮」を酢と考えたわけだ。南蛮漬けってのもあるし、宮崎で言えばチキン南蛮だし。
あと、どちらの解答も「
べっちょ」が餡になっている。
正解は唐辛子。
キュウリ、ナス、
さもだし (ならたけ)、食用菊をエゴマの味噌であえて、そこに唐辛子。
「
べっちょ」は「べそ」。辛さで泣きを見るからである。
壇蜜が勧めるときに言ったのは、「
あいやまんずまんず、け、け」。
「
あいやまんずまんず」には大した意味はない。長いが「まぁまぁ」という程度。
この番組、こういうすれ違いも面白いんだけど、すれ違いが生じるように構成した意地悪なヒントを元に、ちゃんとおいしそうな料理が出てくるのがすごいと思う。
作ったのを店で出してみるといいと思うんだけど、やってるところあるのかな。あるいは、全国の NHK の放送局が実施するお祭りで出してみるとかさ。
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