こないだ鹿児島に行ってきた。
目的は CD.
一昨年くらいから
タワーレコードが 70〜80 年代の野口五郎のアルバムを復刻している。根がグータラだから割と告知を見逃すことが多くて、おととし、海外録音盤が一斉に出たときには秋田の店舗と通販を使っても一枚だけ入手できず、上京の用事を待って東京の店舗をあちこち回ったりした。
今回は発売前に気づいていたのだが、別の CD もあり、新譜予約と旧譜取り寄せを一緒にやると別便になることがある
*1ので、発売されてから一気に注文しようとしたら、発売日翌日の時点で5枚の内の3枚が取扱い終了、目の前が真っ暗になった。
こうなると店頭在庫しかないのだが、宮崎市のタワレコは俺が引越ししてくるのを待っていたかのように撤退、目下、宮崎県内には店舗がない。
幸いタワレコはオンラインで各店舗の在庫を確認できる。取り置きの依頼もできるので、最寄りの店舗、鹿児島中央の
アミュプラザ鹿児島まで行ってきた、というわけである。
観光は観光でしたいのだが、そういう暇ができるのを待ってられないので日帰り。高速バスが往復6時間、滞在3時間という超駆け足行程。桜島まで行けるかな、と思ったが、ちょっと無理だった。CD 買って、飯食って、
市電に乗って、
天文館うろうろしておしまい。
徒歩の時には IC レコーダーで音楽を聴くのが習慣だが、こういうときは人の会話に耳をそばだてるのでやらない。しかし、おもしろい表現を拾えなかった。やっぱり、あんまり方言で話してる人っていないのよね。
イントネーションはわかる。耳が慣れたおかげで、宮崎弁と違うことも検知した。どこがどうって説明できないけど。
飯を食いに行った丼物屋。椅子の高さが変えられるようになっているのだが、店員曰く:
右(みぎ)横にレバーがついておりますので
ふむふむ。
残念ながらこれだけだわ。
夜の肴に
つけあげ (さつま揚げ) と小ぶりの駅弁を買って帰りのバスに乗る。市街地を走っているとき、「
からだづくいの町名山」という幕を見つけた。写真が撮れなかったのが残念。語末の「り」が「
い」になるのは鹿児島弁の特徴。
町のキャッチフレーズかと思ったが、ググってみたら、町ではなく「校区」ごとに制定しているようだ。
「校区」は主に西日本で使われる表現。NHK 放送文化研究所の
記事にもある。
で、鹿児島市教育委員会がこのキャッチフレーズをまとめた PDF を作っている。ほかに「
カゴッマ弁カルタが語る歴史のまち」「
おせんしにも・
子どんのしにも・互いに声かけあう結いのまち」というのがある。
後者で躓いた。二番目がおそらく「
子どんのし/にも」だと思われ、これはおそらく「子供たち」。「
し」は「衆」であろう。となると残るは「
おせん」だが、意味から想像するに高齢者のことだと思われる。そういう名前の介護施設もある。
結局、わかんなかった。「大人」って解釈もできるようだ。Wikipedia の「
郷中 (薩摩藩の武士階級子弟の教育法)」では、若年層のうち 25 歳を超えるものを「
おせんし」と呼ぶ、と書かれている。
あと「人の輪を芙美子が広げる」ってキャッチフレーズもあった。この「芙美子」は林芙美子らしいのだが、呼び捨てかよ、と思った。
地名はいくつか。
「原良」は「
はらら」と読む。
Wikipedia によれば「おはら節」は「小原良」という表記から来ているのだとか。
一番びっくりしたのは「千年団地」。由来不明。
Wikipedia では「鹿児島市千年」という町名があると書いてるが、どうやら団地名からつけられたっぽい。となると、第一印象の「いかにも新興住宅地っぽい造成地名」ってので合ってるのだろうか。
調べたら、弘前とか川崎にもあるようで、
川崎のはもともと「千歳村」だったのがのちに「千年」になったのだとか。となると、具体的に千年ではなく「ずっと」「永遠」という程度の意味なのかもしれない。
イントネーションについては帰りのバスでも拾えた。運行は
宮崎交通なので、宮崎弁の特徴ということになる。
「田野東」というバス停があるのだが、社内の案内音声がこれを
たのひがし
と発音していた。「田野東」は「田野」+「東」だから、俺の感覚では「た
のひ
がし」になるのが自然。今回のように「の」と「ひ」が同じ高さで一体的に発音されることは、少なくとも東日本ではあまりないと思うのだが。
逆に「東田野」だと、「
ひがしたの」と一体になっても違和感がないから不思議である。
買った弁当には卵焼きが入っていた。パッケージではこれを「寅焼き」と呼んでいる。
なんで? と思ったが、おそらく「黄色をベースにした縞模様」からの寅(虎)だと思われる。
ググってみたらお菓子の方が圧倒的に多い (したがって、読み方も「どらやき」)。「AND 卵焼き」という条件にしないとなかなか出て来ない。
こっちにいる間に、九州沖縄全県踏破してみたい、という野望を持っている。大それたことを考えているのではない。めぼしい観光地を巡るだけでも二年では間に合わないと思うので、足を踏み入れればいい、一泊すれば上出来、という条件。夏に福岡に行っているので、これで三県。
沖縄は直行便があるし、大分・熊本はお隣だが、長崎と佐賀が遠い。長崎は高速バスがあるが、片道5時間である。これはなかなか厳しい。佐賀は直行できない。どっちも二泊三日くらいないと辛いか。
鹿児島だが、桜島はレンタサイクルもあるらしいし、あったかくなってから再チャレンジしようと思っている。
*1
後でわかったのだが、タワレコは一緒に配送してくれる。ほかのとこと混同していた。(↑)
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