もぐら氏の『
本当にあった愉快な話』に借りた文章、三本目。
今週は食い物から。
長崎に「そぼろちゃんぽん」というのがあるらしい。そぼろの肉が入っているのかと思うとさに非ずで、「具だくさんで豪華なちゃんぽん」なのだそうだ。
じゃ「
そぼろ」って「豪華」って意味なのかというとこれまたさに非ずで、「あまりもの」という意味のポルトガル語「ソブラード」が元、という説が有力。つまり、野菜や肉のきれっぱしをドカっと炒めたものがのっている、ということ。例えば、霧島酒造のサイトにはこんな
記事がある。
Wikipedia によれば「そぼろ」は「粗おぼろ」で、「おぼろ」よりも粒 (?) が大きいものを言うらしい。ということは、この二つの「そぼろ」は全く別物ということになる。
その記事では、「おぼろ昆布」の「おぼろ」はまた別、と書いているが、「おぼろ昆布」の「おぼろ」については解説がない。ちょっとググってみたが、「おぼろ昆布と とろろ昆布の違い」という記事しか見当たらなかった。ちなみに、「おぼろ昆布」は一枚の昆布を薄く削ったもので紙のようになるが、「とろろ昆布」は板状に重ねた昆布を機械で削ったもので糸のようになる、だそうである。
次、「
はくそがし」。
食べたときに口の中にまとわりつくお菓子で、本では煎餅やクッキーが挙げられているが、おそらく「歯糞菓子」と書く。ググると
カールへの言及が多数見つかる。水気がないとつらそうなお菓子のことだろうな、と思う。ただ、煎餅は水気なしでもいけるなぁ。
この本では博多弁としているが、Wikipedia の
北海道方言のところにもある。個別に発生したのだろうか。周圏論で説明できるほど古い語でもなさそうだしな。
「歯糞」だと思うと、けなす時に使うものかと思ってしまうが、そんなことはなく「おいしそうな
はくそがし」とか使うらしい。
「腐る」という意味の「
あめる」も紹介されている。投稿したのは青森の人らしいが、津軽か南部かは不明。どっちでも言うみたいだけど。
前にも書いたかもしれないが、「甘い」から来ている。ツンと来ない程度の腐敗臭は甘酸っぱい。本で「腐る手前」と表現しているが、それはひょっとしたらこのせいかもしれん。
山口で「
のんた」という語尾がある、てなことを聞いたことがある人もいると思うが、それはもうほぼ使われなくなっていて、「『
のんた』を使う人を探せ」という番組も作られたらしい。
たぶん、
これのことかと思う。
まぁ、方言を話題にするっていうのは、多かれ少なかれ、なくなってしまったものに言及する、ってことではある。
メディアの話をもうちょっとすると、
京都銀行の CM は「ながー―――――いお付き合い」とやたらに伸ばすことで有名らしいのだが、オフィシャルサイトの CM ギャラリーを見たら今はそういうのではないらしい。
関西電気保安協会の CM のせいで、関西人は「関西電気保安協会」という言葉をそのメロディーでしか言えない、ては話は時折聞く。関西って、そういう「CM の呪縛」みたいなの多くない?
方言に対する姿勢では、冒頭の漫画が面白い。
作者のもぐら氏は愛媛の人なのだが、関西の友人と話していたら「エセ関西弁」と言われた、という話。
ほかの地域の人が関西弁を真似るのを嫌がる、という話は聞くが、そこまで行けば立派なもんである。
あと、栃木の人は自分が方言を話していると思っていない、という投稿もあった。こっちは、U字工事なんかの例もあるし、本当だろうか、という気はするが。
というわけで、『県民性丸わかり! ご当地あるあるワイド SHOW』の項、終了。
メモした表現を全部、紹介したわけではないのだが、一冊の本で 4 回とか 5 回は多すぎるだろう、ということでここで打ち止めとする。
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