さて、まもなく
宮崎市での生活も二か月になる。
とりあえず、食生活で困ってることはない。おそらく、食うものにこだわりがないからだと思うが、まだ調味料を買ってない、というのも大きいだろう。
醤油は秋田から持ってきたのがまだ残ってるし、味噌も使ってない。
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それを買った後で、基本的な味加減が違う、ということになるとなにか思うかもしれん。
食い物については、小ネタを集めているので、溜まったら紹介する。
今回は、
もぐら氏の漫画『
県民ごはん作ってみました!』がネタ。
出たのは一年前だが、こないだ
二巻が出たので、並べて取り上げてみたい。
漫画の趣旨はタイトルの通りで、全国のご当地料理を、愛媛在住のもぐら氏が自分の身の回りで手に入る材料を使って、きわめて
いい加減肩に力を入れずに作ってみた、というもの。帯には「作って、食べて、取り寄せて」とあるが、料理の過程で現物を取り寄せてズルをこく、ということはしていない。後で、取り寄せた実物と比べる、ということはしている。
一発目は富山、キュウリの味噌汁。
漫画には色々と書いてるが、俺自身は全く違和感がない。なぜならやったことがあるから。
ご当地料理という認識もなしに、「キュウリって、味噌つけてかじるから味噌との相性はいいし、酢豚で使うくらいで加熱しちゃいかんってこともないだろうし、キュウリの味噌汁ってありじゃないか?」と思ったのだ。
ただ、火を通せば柔らかくなる、という野菜でもないので、そのまま突っ込んでは味噌汁にならない、と思ってすりおろしたのを入れてみた。結論から言うと、ちと青臭い感じはするがイケる。さっぱりしてるので夏にはよかろうと思う。
つぎ、南に飛んで沖縄の「
サーターアンダギー」。
これは逐語訳できる。「砂糖」+「油」+「揚げ」である。
つか、沖縄の言葉は、標準語とは似ても似つかない言葉に聞こえるかもしれないが、音にしろ単語にしろ、一対一の対応関係を持っていることが多い。その辺が、「別の言語なのか、日本語の方言なのか」で異論が出る理由。方言と言うには違いすぎ、別言語と言うには似すぎているのである。
で、サーターアンダギーは要するに「沖縄ドーナツ」なのだが、油に入れると、まず外側が熱で固まり、次に熱が伝わった内部が膨張して、固くなっていた外側が割れる。この割れ目を口に見立てて、「
サーターアンダギーが笑う」という言い方をするそうな。「
花が咲く」とも言う由。
次、わが秋田のきりたんぽ。
半殺しにしたご飯を杉の櫛にくっつけて焼いたもの、というのは事実。で、もぐら氏、とても自分には作れない、とあきらめるのだが、ここで誤解を解いておきたい (一年前の本だけどさ)。
きりんたぽをそういう風に作る人はいない。いや、ゼロとは言わないけど、「いない」と断言していいくらいの数。普通は、熱を通せばいいだけになっているパックを買ってくる。
結局、もぐら氏はだまこ鍋にする。これは丸めたごはんなのだが、半殺しにするのが一苦労。ということで、うどんの要領で踏むことを考える。ところが、その「罪悪感ハンパない」。
これはよーくわかる。うどんでやってるんだから同じじゃん、とか、そういう話じゃない。ものすごく感覚的なもの、理屈で納得できるような事柄じゃない。そう感じる人は、そういう感覚は大事にしてほしい。
ちなみに、丸めて玉にするから「だまこ」なわけだが、そのことにはまったく触れられていない。つまり、違和感ないのであろう。尤も、粉が小さく固まったものを「だま」と言うから、方言と断言するのもあれではある。
ちと外れると、「ご飯を、粒の形が残る程度につぶす」という「半殺し」を方言としている記事は山ほどある。
単なる俗語表現だと思ってるのだが、もしこれが具体的に「ぼたもち」や「おはぎ」を指すんだとすると、それは方言と言ってもいいような気がする。
その割に、全国に散らばってるんだけど。一遍調べてみてもいいかもね。
愛媛の「タコめし」で、関西ではこういう具と一緒に炊き込んだご飯のことを「
かやくごはん」と言う、と触れられている。
「かやく」は「加薬」である、ということは知識として持っているが、「薬味」にしてはいろいろ入りすぎてないか、と思う。
Wikipedia によれば江戸時代にはもう「加薬飯」という語があったそうで、ここで異を唱えてもしょうがないのだが、そのあたりが、東日本の人間が違和感を持つ理由ではないかと思う。
というわけで、あっという間に紙幅が尽きた。
冷汁はやってみたいと思っている。要するに汁かけごはんだし。と思ってたら、スーパーや土産物屋に冷汁の素が売られているのには驚いたが。
これに、キュウリ、シソ、ミョウガ、さらに、つぶした豆腐や焼きほぐした魚を追加するものらしい。
実は、昨日、やってみようとしたのだが、魚が見当たらなくて挫折した。白身魚を焼くんだよね? 鮭フレークには塩味ついちゃってるだろうしなぁ…。
まぁ、そのうちに。宮崎の夏は長いそうだし。