Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第919夜

のんびり (前)



 ついにスマホを購入した。「大きい」「液晶の操作性は嫌い」と避け続けてきたが、やむを得ず。
 理由は二つ。
 ネット環境は CATV だったのだが、引っ越しの関係で使えなくなる。一日二日ならいいが、週単位ではちと困る。また、実家への帰省が、月に一回から年に数回というペースになる。どうせなら、と何日もいることになると思われるので、その場合にも割と長い間途切れることになる。というわけで、スマホを使ったティザリングが候補に挙がった。
 もう一つは、秋田の FM 番組を聞きたい、という需要があったこと。秋田の放送局は radiko.jp に参加していない。スマホに、全国各地の FM を聞ける「どこでも FM」というアプリがあるのでそれを活用しよう、と思った。
 そういう目的なので、通話の契約はしていない。通話は、これまで通りガラケーでやる。そのうち、ガラケーの方のネット契約をやめようかと思っている。そうすれば、無駄な出費はなくなるはずだ。二つ持って歩かなきゃいけなくなっちゃうけど。

 何を聞きたかったのかと言うと、秋田のローカルアイドル pramo の冠番組、“pramo+”である。ここで脱力された方も多かろう。気持ちは分かる。
 番組自体には、方言要素はない。メールや会話の中に現れることはあるが、特筆するようなことは見当たらない。
 で、ある日の放送で、「のんびり」という雑誌が彼女たちの取材をした、と触れられていた。
 これ、書店に並ぶものではなく、正確には雑誌ではないし (雑誌コードも値段もない)、地域を紹介する冊子と言った方がいいのか。でも、県や市が作っているわけではない。観光パンフレットでもない。公民館とかに置かれている無料の奴。
 それが宮崎でも手に入るらしいことが分かった。宮崎駅近くの繁華街、橘通にあるみやざきアートセンターという巨大な公民館みたいなところにある、ということなので行ってもらってきた。
 で、まぁ、pramo の記事は 5p. こちらにも方言要素はないので、紹介のみ。
 特集が「秋田弁でしか伝えられないもの」ということで、こっちがこのホームページにフィットする。
 西成瀬小学校の遠藤熊吉を取り上げている。正確に言えば、その教え子たち、か。北条常久氏も登場する。

 冒頭で、「ままざめ」という語が紹介される。これは食事の準備のことである。『語源探求 秋田方言辞典 (中山健、秋田協同書籍)』によれば「ざめ」は「しまう」の変化したもの。「しまう」は今では「片づける」という意味になっているが、過程に視点を置いた「準備する」という意味もあるのだそうな。なお、『秋田のことば (秋田県教育委員会編、無明舎出版)』には載っていない。つか、「ご飯」を意味する「まま」すら載ってない。なんなんだ、この辞書。

 市民市場に、秋田弁を覚えていってください、という掲示板があるようで、そこにたくさんの秋田弁が並んでいる。
がじゃね」はおそらく「頑是ない」で「子供っぽい」であろう。
んだのも」がわからない。「そうだでけれども」だろうか。だとすると、俺は「んだども」と言う。

 ところで北条氏、「昔は、隠密を防ぐためにわざわざ方言にしてたんだよ」なんて明言してるけど、大丈夫だろうか。
 見つける役には立つと思うけど、そのために方言にした、ってのはまずくはないだろうか。

 意外に量が増えた。来週に続く。




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